13章.あなたとインフォームドコンセント。



  ここ数年「インフォームドコンセント」という言葉が良く使われるようになってきたので、耳にする機会も多く

なっていることと思います。「インフォームド」、つまり、医療側の「十分に説明する」という言葉と、「コンセント」

患者側の「同意する」という意味を合わせた言葉です。なので、「説明と同意」や「知らされた上での同意」また

「十分な説明と納得した上での同意」という説明になろうかと思います。それまでの手術の際に良く見られた単

なる同意書への署名を見直し、しっかりと医者からの説明がなされて、患者がしっかり納得した上で手術に望

めるように変わってきつつある点で、とても良いことと思います。


  輸血を行う際には、医師から患者に輸血の必要性と危険性、代替療法の有無、輸血しない場合の危険性

について説明し患者の同意を得ることが義務づけられています。


  ここまでこのサイトでは多くのスペースを使って、エホバの証人に関係する輸血の情報を取り上げてきまし

た。中にはあなたにとって目にしたくない情報もあったかもしれません。しかし、いかなる事柄にしても判断す

るためには「正しい知識、正しい情報」が必要なことには同意されることと思います。


  実際のところ、私はこのHPに書くことをためらっていました。なぜならば、ここを読んでしまったがゆえに、

血に関するエホバの証人のあなたの良心の判断が狭まってしまうのではないだろうか、と考えたからです。

しかし、「正しい知識、正しい情報」が必要だという考えが強まったので、書くことにしました。そのことが必ず

読む人の役に立つことだと信じているからです。


  さて、インフォームドコンセントの話に戻りますが、あなたにもその権利があるということをここで協調して

おきたいと思います。「なにをあたり前のことを言っているんだ」と思われるかもしれません。それというのはこ

ういうことです。つまり、あなたが病気が事故で輸血、もしくはそれに関連した成分を使った治療が必要だと医

者から言われる状況になったとします。多くの場合、仲間の兄弟姉妹たちが来て、あなたの信仰が揺らがな

いように励ましてくれることでしょう。難しい状況になれば「医療組織委員会」の兄弟たちが助けにやってくるか

もしれません。


  それはそれで素晴らしいことなのですが、問題は、あなたが本当の意味で「患者の権利」を行使しづらい

状況になってしまうかもしれない、ということです。つまり、あなたはある方法に関して自分の判断でこうして欲

しいと考えていたとしても、その希望を医者に伝えづらい状況になってしまう危険性があるのではないだろうか

ということです。


   別に私はあなたの信仰を弱らせようと考えているわけではありません。ただ、エホバの証人としての立場

の前に、「一人の患者としての権利」を行使して欲しい、そう願っているだけなのです。


   医者には「守秘義務」というものがあります。あなたに関する治療や手術に関し、第三者に漏らしてはな

ならい、という義務です。あなたが他の証人たちに言って欲しくないと医者に言えばそれは必ず守られます。

あなたの良心の判断が咎めないのであれば、どのような方法であっても選ぶことが出来るということです。そ

のことだけは忘れないで欲しいと思います。



_____

   少し意地悪なことを書いてみます。前の章で書きましたように、血に関する見解はこれまで少しづつ変更

されてきました。端的に書くと「使える血の成分の範囲が拡大してきた」ということです。仮にこんな話を書いて

みます。あなたの最愛の家族が病気で、現在のエホバの証人の見解では禁止されている方法を使わなけれ

ば助かる見こみは数%だと医者から言われたとします。そしてその方法さえ使えれば1週間後には退院でき

るくらいの簡単な手術になるとも言われました。しかし、禁止されていることを破れば、即、排斥になってしまい

ます。悩んだ末、数%の確率に賭け、手術を行うことにしました。手術は長時間にも及び、最終的にはおしくも

亡くなってしまう、という結果になってしまいました。葬式が終り、失意のどん底にいるあなたがふと目にしたも

のみの塔の「読者からの質問」にはこのような記事が掲載されていました。「クリスチャンは○○という治療法

を受け入れますか」。続きにはこう書かれています。「そのことに関しては個人の良心で判断することができま

す。」・・・・・。」 


   これは仮の話ですが決してあり得ない話ではありません。実際のところ、つい数年前までは「分画を用い

た治療」は禁止だった、ということを考えるとそのことはすぐに分かるのではないでしょうか? 


   

 


前に戻る  目次に戻る 次へ進む