外交官殺害事件@イラク


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事件に対する米軍の対応も日本の報道も何かおかしい。丸2カ月経つのに被害車両は現地に留め置かれたまま、1月末には事件当初から流れていた「米軍による誤射」説を示唆する質疑が国会で行なわれたが日本の大手マスコミは黙殺した。

これはとりとめのないメモだが10本を超えたので一つに纏めておく。新しいものほど下に配列してある。

2004-02-11 
2004-02-11作成(03年11月〜04年2月の過去ログを纏めて独立ページ化)
2004-02-161項追加(若林議員の議事録)
2004-04-021項追加(3月の動き)、リンク追加&修正
2004-04-0901-27(首藤議員)02-16(若林議員)にリンク追加(衆院と参院の会議録)
4月分2項追加
2004-04-1204-06の項に追記(バースト射撃)、1項追加(銃弾の成分分析)
2004-04-271項追加(週刊ポストの記事)
2004-05-021項追加(「朝まで生テレビ!」)
2004-11-1105-02「イラク問題@朝生」の項に追記を挿入(外交官殺害事件とは無関係)
2013-03-26首藤信彦氏のブログ(2013年03月24日)を引用関連リンクを更新

目次


2003-11-30 外交官殺害事件
2003-12-02 (2)情報錯綜
2003-12-06 (3)階級と褒章
2003-12-06 (4)凶器
2003-12-08 (5)情報操作
2003-12-14 (6)凶弾と疑惑追及

2004-01-08 奥参事官のPC紛失@Nステ
2004-01-27 (7)首藤議員の質問@国会
2004-01-30 (8)警視庁鑑定
2004-02-09 (9)若林議員の推論@国会
2004-02-16 (10)若林議員の議事録
2004-04-02 3月の動き
2004-04-04 TBS報道特集「奥大使はなぜ死んだ?」
2004-04-06 「米軍誤射説」否定報道 /「報ステ」初日の特集
2004-04-12 銃弾の成分分析
2004-04-17 週刊ポスト4月23日号
2004-05-02 イラク問題@「朝生」

2013-03-26 首藤信彦氏の10年目の回顧

関連リンク



 2003-11-30  外交官殺害事件 (12-01追記)

 「テロの標的になる可能性はあるが、方針は変更しない」「テロにひるんではいけない」と勇ましい発言をしていた岡本首相補佐官が、身内から犠牲者が出た途端にイラク訪問中止。やられるのは自衛官、自分たち外交畑の人間は安全だとでも思ってたのか。

 ♪我が身かわいや ほーやれほ(*1)


 ・ 岡本氏がイラク訪問中止 外交官殺害を受けて (11/30、共同通信)
 ・ 日本、イラクで標的の恐れ 岡本補佐官「支援方針変更せず」 (11/6、中日新聞)

 ・ イラク戦争 (Yahoo!News) (リンク名が「イラクで日本人外交官2人殺害」に)(*2)


(*1) 私は『うる星やつら』(高橋留美子)で知ったのだが、この『山椒太夫』のもじり、古くからあるものなのかも。


(*2) 追記 (12-01)
 Yahoo!Newsは「イラク日本人外交官殺害事件」を独立トピックにした。

 銃撃状況で複数説(12/1、時事通信)……米軍は「道路脇の売店に立ち寄った際に銃撃を受けた」、現地警察は「走行時に銃撃を受けた」としており、事件発生時の状況がよくわからない。産経の記事(11/30)は、イラク人警察官の「現場に薬きょうが落ちていなかったのは腑に落ちない」という証言を伝えている。

 テロなのか強盗なのかもわからず陸自幹部も苛立っている(11/30、共同)ということだが、第三の可能性も。イラクには今、民間車両をやたらに銃撃する武装集団が駐留している。

 殺害された奥参事官の「イラク便り」は、新聞やTVで紹介されたために激重になっている。



 2003-12-02  (2)情報錯綜 (12-06加筆)

 日本人外交官殺害事件、発生時の状況や時刻に関する説明が米軍と地元警察とで食い違っている点はうやむやにされると予想していたのだが、意外や新聞もTVもしっかりフォローした。今朝のスーパーモーニング(@テレ朝)では田岡俊次氏が「米軍にFriendly Fire(仲間撃ち)された可能性」に言及(インタビュー)。物証(銃撃された車両等)は米軍が持ち去っているのでこの仮説は検証不能なのだが。

 疑問メモ。「仲間撃ち」という軍事用語があるのかしらん。普通は「誤射」とか「同士討ち」と言うのではないか?(*2)

 ・ 事件状況、なお把握できず=米軍などに依存 (12/1、時事通信)
 ・ 犯行の実像、いまだ不透明…2外交官殺害 (12/1、読売)
 ・ 情報錯そう、断定避ける外務省 (12/1、毎日)


追記 (12-03)
 記事見出しの脱字を訂正。

 書き漏らし。2日のNステで「襲撃に使われたカラシニコフは」云々というナレがあった(*1)。使用された銃器はもう特定されたのか? 薬莢は残っておらず車両も公開されていない。検死で判明したのかしらん。特定されたのなら「カラシニコフ」なんて曖昧な呼称を使わずAK47とかAK74と言いそうなものだが。

 ざっと記事を見渡してみたが該当するニュースは見つけられなかった。上でリンクした読売の記事(12/1)には「地元警察は、襲撃に使用されたのは、カラシニコフ自動小銃との見方を示している」なる一節があるが、これは推測でしかない。2日、日本政府は事件を「テロ」とほぼ断定したが、凶器については「軍用とみられる銃」と曖昧な表現をしている。



(*1) 追記2 (12-03 午後)(12-06 加筆)

 聞き違いの可能性もあるので念のため録画を見直してみた。やはり「凶器はカラシニコフ」と断定している。前後の部分も含め、解説V(@Nステ)のナレーションを引用しておく。

 (襲撃時の状況について米軍と地元警察の情報が食い違っていることにふれた後、)
 「2人が乗っていたのは、窓や車体を防弾仕様にした“軽防弾車”」

 (実射実験の資料映像、10秒強)
 「これは窓やドアに防弾素材を使用した車に実射実験を行なったものだ」

 「襲撃に使われた軍用銃のカラシニコフは、現在、イラクで広く使われている銃だという」

 (日本防弾工学研究所・田之上俊朗所長のインタビュー)
 「今イラクで使われているカラシニコフの弾丸は軟鉄に胴のメッキをした貫通力の高いもので、特殊鋼でもこれぐらい(8〜10ミリ程度?)の厚さでないと止め切れない」(要約)

 「二人が乗っていた車は、かつてレバノンの日本大使館が使用していたものだ」
 (以下略)


 部分引用だが途中省略はしていない。文字だけではわかりにくいので補足すると、これは実射実験映像で弾が窓を貫通する様子を見せ(ただし自動小銃ではなく大口径ライフルによる銃撃)、カラシニコフの威力を専門家に語ってもらい、元レバノン大使・天木直人氏の「ピストルぐらいなら大丈夫だが機関銃のような重火器に対しては軽防弾車は万全ではないという認識をもっていた」云々の証言に繋げて、カラシニコフがうようよいる地域では軽防弾車は安全な乗り物ではない、とする解説Vなのであった。

 ピントがズレている。「軽防弾車の防御力はどの程度のものか?」なんて瑣末なことだ。


(*2) 追記3 (12-06)

 「友軍攻撃」という訳語もあり。



 2003-12-06  (3)階級と褒章 (4)凶器

外交官殺害事件 (3)階級と褒章

 4日夕方、TVニュースをザッピングしていたら「奥大使」というテロップが。「ひどいチョンボだが低い方に間違えるよりはマシか、しかしこれではイラク大使の立場がない」……と思いきや、外務省は内規改正までして死後の2階級特進をしたのか。大使というのは役職だと思っていたのだが「階級」でもあったとは知らなんだ。

 2階級特進、「川口賞」授与勲章授与、……いかにも「官」な儀礼の連発。政府はイラクの復興支援活動従事者を「特別褒章」の対象にし、これに民間人も含める方針のようだが、こりゃあ、かの地でNGOのメンバーやジャーナリストが命を落としたら「お国のためによく働きました」と5〜6階級特進、外務省の丁稚待遇にして戴けるのかも。


*  *  *

 大使といえば。4月6日にバグダッドでロシア駐イラク大使の車列が米軍に銃撃されるという事件があったっけ(第一報では「銃撃戦に巻き込まれた」と報じられたが、翌日米軍による銃撃だったことが明らかに)。これは単なる連想である。

 ・ ロシア大使ら車列銃撃 交戦の巻き添えか−−負傷者から米側の弾丸 (4/7、毎日
 ・ 大使館車列銃撃「米軍が発砲」 露大使が言明 (4/8、同上)



外交官殺害事件 (4)凶器

 11-30の項のタイトルを変更。また、12-02の追記2の補足説明に加筆した。

 「自動小銃ではなくライフル」で意味は通じると思うが、念のため「大口径」を追加、等。
実は、資料映像は「弾が窓を貫通するシーン」と「射撃手がボルトアクションのライフルを操作するシーン」が繋いであるだけで説明がなく、実射に使われた銃が大口径ライフルなのかどうか判然としないのだが。

 6日現在、凶器は特定されていない。2日のNステの「襲撃に使われた軍用銃のカラシニコフ」というのはV制作担当者の早とちりか凡ミスだったんだろう。

 「凶器はカラシニコフ」というのは結果的には正解、となると予想していたのだが(一時的にせよ米軍の管理下にあった日本人外交官の遺体から“それ以外の何か”が出てくるはずもなし)、なぜか警視庁公安部は司法解剖で銃弾を摘出したにもかかわらず「遺族感情を考慮」して銃弾の種類を公表せず。

 ・ 奥さんは頭蓋内損傷、井ノ上さんは失血死 外務省発表 (12/5、朝日:イラク情勢

 奥参事官の遺体を慶応大病院、井ノ上書記官を東大病院で司法解剖した。外事3課は被弾数や銃弾の種類などは、「遺族感情を考慮すると死因以外は明かせない」として公表しなかった。

 なんだこりゃ? 被弾数はすでに(概数だが)報道されている(*1)。それに、なぜ銃弾の種類を伏せる必要があるのか。「警視庁は銃弾を鑑定し、使用された銃の特定を急ぐ」(*2)ということだが、銃が特定されても「遺族感情を考慮」して公表しないつもりか? 実に不可解。

 (*1) 外交官殺害:奥参事官は十数発、井ノ上書記官5発被弾 (12/5、毎日:外交官殺害
 (*2) <外交官殺害>司法解剖で遺体から銃弾摘出 警視庁 (12/5、毎日)



 2003-12-08  (5)情報操作

 7日の「EZ!TV」@CXで、「『日本人外交官は道路脇の売店で買物中に襲撃された』というアメリカの発表が事実と違っていたのはなぜか、情報が錯綜したのか、意図的に情報を伏せたのか?」と森本毅郎に問われ、大野元裕氏(中東調査会)曰く、

 「情報が錯綜した可能性もあるが、腑に落ちないことがある。『殺害された外交官のパスポートは部族長が持っていた』という話(*1)は結果的には作り話であることがわかった。先ほどの話(掃討作戦の成功をアピールするためにCPAはティクリートで会議を開催することにした)と合わせて考えると、アメリカとしては事故ということにするのが望ましいと考えた可能性も否定できない」(要約)。

 「事故」というのは“偶発的な災難”という意味合いか。そういえば、2日の「とくダネ」@CXでもゲストの森本敏氏やレポーターが「事故」という言葉を使っていた。外交・安全保障の観点からすると、外交官が殺害されても敵対勢力による襲撃でなければ「事故」なのかね。

 アメリカの都合で、友好国の外交官謀殺事件を「事故」に見せかけようとしたのだとするとひどい話だ。もっとひどい情報操作が行なわれている可能性、米軍による“誤射”疑惑も依然残っているが、「EZ!TV」はこれには触れなかった。


 パスポートの件を「結果的に作り話だとわかった」とする根拠はなんだろう? 米当局は5日に当初の発表を訂正したが、この件には触れていない(*2)。大野氏の推測か?


 (*1) 並走車から乱射?パスポートなぜ部族長宅に? (12/1、読売:イラク戦争

■所持品

 ハッダード通信員によると、地元ディジュラ署の警官は、奥氏らが所持していた現金、パスポートなどは一切盗まれていなかったと証言した。2人が病院に搬送された際、所持品はなかったが、その後、現金は警察官が回収していたことが判明、パスポートについては、付近の部族長宅で2人のものが発見された。

 部族社会では、重大な問題が発生した場合、部族長にすべてを委ねる伝統がある。パスポートが部族長の手元にあっても不自然ではない。

 出典:並走車から乱射?パスポートなぜ部族長宅に? (12/1、読売:イラク戦争


 上の記事は2日の項でリンクした犯行の実像、いまだ不透明…2外交官殺害と同文。

 (*2) イラクにおける日本人外務省職員殺害事件について (12/5、外務省

 (この項、9日アップロード)



 2003-12-14  (6)凶弾と疑惑追及

 2人の日本人外交官と共に殺害された運転手ジョルジース・ゾラさんの遺体から摘出された凶弾に関する報道あり(写真付き)。「口径が7.62ミリのカラシニコフ銃の弾丸と同じであることがほぼ確認できた」とのこと。7.62ミリということはAK47か。

 ・ 外交官殺害の悲劇、「弾」が語る 運転手の遺体から弾丸 (12/9、朝日)
 ・ 外交官殺害の悲劇、「弾」が語る 運転手の遺体から弾丸 (12/9、朝日

 (この記事ではイラク人運転手となっているがレバノン人じゃなかったっけ? ちょっと検索してみたが、レバノン人としているのは初期の報道のみらしい。レバノンで雇ったイラク人というのが正解か。)


 2ちゃんねるの「疑惑追及スレ@イラク情勢板」では、疑問点を纏めて各国ジャーナリストにメールを送る試みが始まっている。

 ・ 仮説★大使館員を殺したのは?★仮説【3】イラク情勢@2ch掲示板




 2004-01-08  奥参事官のPC紛失@Nステ (04-02追記)

 イラクで殺害された奥参事官のPCが“紛失”している、とする記事が1カ月ほど前「週刊文春」に掲載された。今夜のNステはこの件を取り上げたが(小特集「奥大使殺害の闇 消えた機密フロッピー」)、新情報は皆無。期待外れな内容であった。

 特集は奥氏が携帯していたはずのPDA(電子手帳)が殺害現場から消えた(パスポートや現金は盗られてないのに)、大使館内の奥氏の仕事部屋からフロッピーが消えパソコン内のバックアップも消されていた、という歳川隆雄氏(「インサイドライン」編集長)のインタビュー証言を柱にしたもので、奥氏とORHA(現CPA)の関係を解説し(曰く、「武装ゲリラからすれば奥さんはペンタゴンの一組織であるORHAの一員と位置付けられていた」)、消えたPDAやフロッピーには第一級の機密情報が入っていたかもしれない、それが武装勢力の手に渡っているとしたら……、自衛隊の行動計画が筒抜けになっているとしたら……、「日本政府は10日までに陸上自衛隊の先遣隊に派遣命令を出す――」というナレーション&スーパーが締め括り。“紛失”したPDAやフロッピーに何が入っていたかもわからないのに「としたら……」の連打で不安感を煽られてもなあ。視聴者にどうしろと?

 全体的に説明が曖昧だったが(フロッピーが消えたとする根拠・経緯が不明、等)、詳しくは「文藝春秋」2月号掲載の歳川氏のレポートを読めということらしい。

 歳川氏は奥氏襲撃(=暗殺)とフロッピー奪取、バックアップの消去は連動して行なわれた(大使館内に内通者がいる)という説のようだが、にわかには信じがたい。PDAは襲撃犯が持ち去ったのかもしれないし事件直後のドサクサで誰かがくすねたのかもしれない。いろいろな可能性が考えられる。しかし大使館内のフロッピーが消えPCのバックアップが消された件は“武装勢力”の仕業である可能性は低いのではないか? 現地日本大使館の奥氏の部屋は“武装勢力”の内通者が自由に出入りしPCを操作できる場所なのか? 外務省か米軍に指示されて大使館関係者が隠した(消した)と考えるほうがよほど自然だと思うのだが。


 ・ 奥克彦参事官は「暗殺」!?歳川隆雄のインサイドライン

 ・ アルカイダに重大国家機密を盗られていた/殺害された奥大使の公用パソコンの行方 (2004年1月1・9日号、週刊ポスト

 パスポートは地元の部族長が保管していたという報道は大野元裕氏(中東調査会)によると「作り話」らしいが(@12月07日「EZ!TV」)。煽りまくっているが細部が怪しい記事。

 ・奥参事官のPCはどこに隠されたのか? (03年 12/07、阿修羅掲示板 戦争44
 ・奥氏PCデータ抹消、誰が大使館に潜入しうるか (04年 01/09、阿修羅掲示板 戦争46

 阿修羅掲示板は陰謀論系人士の社交場である、ということも頭の隅に入れておく必要あり。
(鵜呑みにしちゃいかんのは他の掲示板でもマスコミ報道でも同じことだが。)


追記 (01-09)
 録画を見直し、全体的に加筆・リライトした。
 歳川氏のサイトと「週刊ポスト」の記事へのリンクを追加。

追記 (04-02)
 「奥氏のパソコンが紛失」というのは虚偽情報であった(米軍が回収し、すでに外務省に返還されていた)。“紛失”ネタは官邸によるリーク(欺瞞情報)だったとの説もある。4月2日の項(東京新聞の報道)参照。


 2004-01-27  (7)首藤議員の質問@国会 (04-09追記)

 昨日の衆院予算委員会で首藤信彦議員(民主党)が外交官殺害事件の“闇”に踏み込む質問を行なった。ネットでは既出の情報・仮説ばかりだが、国会での発言であるだけに注目に値する。メモしておく。

  • 事件は当初テロによる攻撃とされ「テロに屈してはならない」ということでいろいろ言われたが、果たしてテロだったのか疑問がある。

  • 日本大使館の軽防弾車(ランドクルーザー)の装甲防弾は20ミリ以上ある。あの地域で広く使われているカラシニコフAK47で貫通できるのか疑問だ。
  • カラシニコフの30発弾倉はバナナ型で、一般車両の窓から突き出して車高の高いランドクルーザーを撃つのは難しい。こういう不安定な姿勢での射撃では、韓国の技術者が襲われた事件のように弾は広範囲に散らばる(日本大使館の車両に対しては狭い範囲に集中して撃ち込まれている)。

  • 襲撃された車両の写真はたった3枚しか公開されていない。CPAからは十数枚の写真が送られているはずだ。外務省日本には何枚送られてきたのか正確な枚数をお答え願いたい。
    (川口大臣答弁「記憶していない。警察と相談してあの3枚を公開することにした」云々)

  • 3枚の写真を見ると右側の窓ガラスにまったく弾痕が無い。上方15〜20度の角度、高さ3メートルの位置から撃ち込まれたのではないか。これは、片側の窓ガラスしか割れていないことを説明できる唯一の仮説である。
  • 3メートルの高さということは可能性は2つしかない。時速100キロで走るピックアップトラックの荷台に仁王立ちになって射撃したのか、米軍のハンビー(高機動装輪車)の固定機関銃によるものか。
  • 誰が銃撃したのか。遺体から弾丸が摘出されている。口径は簡単に特定できる。司法解剖で判明した弾丸のスペックをお聞きしたい。
    (小野国家公安委員長「捜査上の支障もあり、関係機関、関係者のご意向も尊重の上、可能な範囲で公表に努めたい」云々)

  • イタリアの外交官の乗る車が米軍車両を追い越そうとして制止され、一瞬速度を落とすのが遅れたため銃撃され通訳が死亡するということも起きている。最近も日本のマスコミがオランダ軍に同様の制止警告を受けている。戦場ではそういう事故(友軍による誤射)も起こりうる。真実を知る必要がある。隠せば我々は国民の信頼を失う。情報公開し、国民に覚悟を求めるべきである。

  • 小泉総理は「テロを乗り越えねばならない」と叫ばれていたが、どういうテロリストがやったとお考えなのか。
    (小泉総理「相当準備された犯行だと思っております」云々)

 米軍による誤射の可能性を強く示唆する発言である。対して川口外務大臣、小野国家公安委員長、小泉総理らの答弁はろくでもない無内容なものばかり。小泉総理は歯切れの悪いモゴモゴした小声に終始。


 委員会の質疑はWEBで動画配信されている。上の発言メモは大雑把で不正確なものなので興味のある人は動画か議事録で確認されたし。

 首藤議員の持ち時間は約59分。上でメモした発言部分は42分〜54分の辺り。
 #618〜620 に首藤発言の要約あり。私のメモより正確かも


追記 (01-28)
 発言メモを数カ所修正(20ミリ以上の「装甲」 → 「防弾」、等)。

 首藤議員のサイトへのリンクを追加。


追記 (04-09)
 衆議院会議録のリンクを追加。


 2004-01-30  (8)警視庁鑑定 (04-02追記)
 イラクで昨年11月、日本人外交官2人が殺害された事件で、弾の口径は7.62ミリで、「カラシニコフ」とも呼ばれる旧ソ連製自動小銃「AK47」が使われた疑いが強いことが、警視庁の調べで分かった。(中略)

 7.62ミリの口径と合う銃は複数あるが、イラク国内の武装組織の間で出回っているAK47が使われた疑いが強いとみられている。

 (警視庁公安部の)調べでは、2人から摘出された弾丸は計5個。つぶれた状態のものが多いが、口径やわずかに残っていた線条痕の詳しい鑑定で、AK47に使われる弾丸の可能性が高いという。


 朝日と毎日は遺体から摘出された弾丸数を、共同は推定口径を書いていない。毎日と共同の記事を引用しておく。

 しかしなんで今頃になって公表したのか。ジョルジース・ゾラさん(運転手)の遺体から摘出された弾丸については先月9日に朝日が弾丸の写真付きで報じている(ディジュレ警察署によれば口径7.62ミリのカラシニコフ銃の弾丸である可能性が高い)。26日の衆院予算委で小野国家公安委員長は「現在鑑定中」などと白々しい答弁をしていたが、この程度のことは先月半ばには判明していたはず。これは、予算委で首藤議員が米軍による誤射の可能性を示唆したことへのリアクションなんだろうな、たぶん。

 03年12月9日の朝日の記事はもう削除されている。特集(自衛隊イラク派遣イラク情勢)にも収録されていない模様(記事一覧で表示されない)(*)。手元に保存してある記事を読み直していたら首藤仮説の根拠の一つである車高に関する記述が目に止まったので下に引用しておく。

 同警察(引用者注:ディジュレ警察署)は、これまでに日本製普通車からの銃撃という目撃証言を得ているが、普通車からでは車高の高い四輪駆動車の前方エンジンフードに銃弾を貫通させることは難しく、より車高の高い車からの銃撃の可能性もあるとして、近く現場周辺住民の事情聴取を始めるという。

出典:
外交官殺害の悲劇、「弾」が語る 運転手の遺体から弾丸 (03年 12/9、朝日)
外交官殺害の悲劇、「弾」が語る 運転手の遺体から弾丸 (03年 12/09、朝日:イラク情勢


(*) 追記 (04-02)
 朝日のイラク情勢階層に記事が保存されているのを発見(なぜか記事一覧には載っていない)。リンクを追加しておく。


 2004-02-09  (9)若林議員の推論@国会
2004年2月6日(金)「日本人外交官襲撃は米軍の誤射か」
 昨日、時間は短かったが、イラク支援特別委員会において総理等に質問する機会があった。詳細な内容は後に掲載する「国会質問会議録」を参照願いたい。委員会の中で私は「日本人外交官殺害の謎」を中心に質問し、殺害は「テロリストによる襲撃」ではなく「米軍の誤射」の可能性を示唆した。質問に集中していた私でも、あまりの内容の衝撃度に場内はざわめきだった感じがした。
(以下略)

出典:日々の雑記帖若林ひでき

2004年2月9日(月)「マスメディアの良識に期待」
 本日午後のイラク特別委員会にて小泉総理他三大臣をまじえ最後の総括質疑が行われる。私も再度質問することになっているが、残念ながら与党多数の力により「自衛隊のイラク派遣」は承認されそうな見込みである。
 前回の私の質疑内容に関し、通信社系や英字新聞を除いて全国紙やテレビの報道は全くなかった。内容の重要度からマスメディアが慎重になることはある程度想定していたが、むしろ意図して報道しなかったのではないかと「ひがみ」さえ感じた報道振りであった。例えば日本を代表するA新聞は、質疑の主なやり取りを紹介した囲み記事で何故か私だけを除外し、他の8人全議員の質疑内容を記載していた。
(以下略)

出典:同上 (アンダーラインは引用者による)


 若林議員のサイトにある「国会質問会議録」はまだ更新されておらず、質問(推論)の詳細は不明。先月26日の首藤議員の質問(仮説)からさらに一歩踏み込む内容だったのだろうか。

 「全国紙やテレビの報道は全くなかった」というのが情けない。そういえば先日の首藤議員の質問(仮説)もブルームバーグしか報じていなかったような。国会で「日本人外交官殺害は米軍の誤射によるものかもしれない」という重大な疑惑が指摘されてもシカトし、明らかに時期外れで不自然な警視庁のリークは忠実に記事にする。日本の大手マスコミの「良識」に期待しても無駄ということだな。

 若林議員はマスコミに頼らず自前で情報発信できるサイトを運営しているんだから、早いとこ「推論」をWEBで提示して欲しい。



 2004-02-16  (10)若林議員の議事録 (04-09追記)

 5日の議事録が参議院ホームページに掲載されている(*)2月5日の議事録から若林議員の「推論」の要点をメモしておく。

  • ランドクルーザーの弾痕は車体左側の窓に集中している。カラシニコフによるものならもっと拡散する(カラシニコフを窓から突き出して撃つのは難しい)。

  • 右側の窓に弾痕が無い。これは高い位置から銃撃されたためと思われる。

  • 車体前方に威嚇射撃を受けたような弾痕が2つある。テロリストがこのような、何かのルールに則ったような射撃をするだろうか。

  • 推論:事件当日はCPAの幹部たちが米軍車両に護衛されてバグダッドからティクリートに向かっていたと思われる。後発の奥参事官らの乗るランドクルーザーは途上でこの車列に追い付き、「何らかの間違いで」接近してしまい、威嚇射撃を受けたのではないだろうか。

 「米軍による誤射」の可能性を示唆しただけの首藤議員よりは踏み込んだ推論だが、ネットでは既出の分析・仮説である。残念ながら目新しい情報・分析視点は提示されていない。

 「推論」提示に先立ち、米軍の不審な対応(虚偽情報)を指摘したり、川口大臣から「CPAから送られてきた被害車両の写真は11枚」という回答を引き出す質疑あり。


(*) 追記 (04-09)

 参議院サイトの会議録保管期間は30日。当該会議録は現在は参議院会議録情報で検索&閲覧できる。



 2004-04-02  3月の動き

 車1台移送するのに3カ月もかかるとは。


*  *  *
 報告書作成にあたり先月末から今月はじめにかけて、奥克彦大使と井ノ上正盛書記官らが殺害されたイラク北部ティクリット近郊を、在イラク大使館の上村司・臨時代理大使が事件以来初めて訪れ調査した。
 犯人像や奥氏ら日本人を標的にしたのかは明確になっていないが、「米軍誤射説」を指摘する声もある中、政府の見解を示す必要があると判断した。政府は同事件を「テロ」としており、それを認定する内容になる見通しだ。

 「それを認定する内容になる見通し」=まず結論ありき、だな。臨時代理大使らの現地“調査”は、政府の「テロ」説を補強するための新証言を“調達”するためのもので、いずれマスコミにリークして「やっぱりあれはテロだった」という世論操作に使われるだろうとの説がネットで流れている。憶測に過ぎないが、いかにもありそうな話だ。


*  *  *

 3月21日の「サンデープロジェクト」に若林議員(民主党)が出演し、「米軍誤射説」を語ったらしい。残念ながら見逃した。上のリンクは「サンプロ」に言及するコラム。


*  *  *
(略)一方で、イラクのセメント工場の視察に、岡本氏が社外取締役を務める民間企業の技術者が政府臨時職員として参加したことが国会で野党から追及を受けていた。


*  *  *

 米軍&日本政府の欺瞞(虚偽)情報を指摘する記事。米軍による誤射を示唆する内容となっている。

 さらに「テロリストがCPAの情報収集のため、現場から奪取した」と憶測の飛んだ奥さんのパソコンは「すでに日本側に回収されたうえ、解析済み」(政府関係者)だという。

 「憶測」というのは週刊ポストや週刊文春、1月8日のNステの特集、文藝春秋2月号(歳川隆雄氏のレポート)あたりのことだな。真偽不明だが、「奥氏のパソコンがなくなった」というネタはテロ説強化のために(?)総理官邸がリークした欺瞞情報だった、との説あり。(参照→ 仮説★大使館員を殺したのは? part4 #313

 東京新聞の記述は「すでに日本側に回収されたうえ、解析済み」というそっけないものだが、外務省は奥氏のPDAが米軍から返還されていることを、この記事が出る直前まで捜査当局にも知らせていなかったらしい。(参照→ 仮説★大使館員を殺したのは? part4 #302

 これが本当だとすると、外務省&総理官邸は真相究明に本気で取り組んでいないというより、逆に真相隠蔽に努力している、と言うべきだな。


*  *  *

 「サンプロ」で語った米軍誤射説への視聴者の反応が上々であったらしい。気をよくしたのかまとめページがアップされた。国会質問会議録も更新されて2月5、9日の議事録も収録されている。頑張ってもらいたい。(しかし、ちょっと仕事遅過ぎ。この内容なら1カ月以上前に出せたはず。米軍誤射説を声高に唱えたら世間から叩かれないか様子見していたようにも思える。あるいは、ネットでの情報発信に若林氏はあまり期待してないのかも。)



2004-04-04 報道特集「奥大使はなぜ死んだ?」04-07追記

 TBSの報道特集 「バグダッド陥落1年…… 最後の肉声 奥大使はなぜ死んだ? 壮絶221日」を見た。

 先月30日には東京新聞が事件の不審点(欺瞞情報)を指摘している。報道特集には硬派の報道を期待したのだが肩透かしをくらった。よく言えば遺族感情に最大限配慮して作られた故人の仕事ぶりを称賛する追悼番組、ありていに言うと外務省謹製かと思われるほどの英雄譚もどき。「走り続けた友」、「挫折と情熱」、「友に伝えた志」、「現場を駆けた奥大使の志」、等々の甘口な章立てのVにもキャスターの語りにも批判精神は欠片もなく、田丸美寿々が政府広報係に見えた。

 奥、井ノ上両氏の追悼と称揚は、昨年12月に政府&マスコミが盛大に繰り返し行なっている。今、報道番組がやるべきことは故人の称賛ではなく、殺害事件の真相解明ではないのか。

 いや、むろん、故人の仕事の軌跡を克明に辿っておくことにも意義はあるだろう。しかし、それにしても、番組冒頭で「突然の悲劇」、「あの事件」と曖昧な言い回しでお茶を濁したきり、両氏の命を奪った「事件」について一切触れないというのは尋常ではない。キャスターの語りにもVのナレーションにも、米軍関係者や外務省の同僚、大学時代の友人の証言にも「悲劇」、「事件」の実際(彼らが銃器で殺害されたということ)に関する言葉が一切無いというのはあまりに不自然だ。

 事件について知らない人にこの番組のVを見せて「奥さんの死の原因はなんだと思う?」と尋ねたら100人中40人は交通事故、30人は過労死と答えるだろう。

 「テロで殺された? 嘘でしょ。番組内でそんなこと一言も言ってなかったよ。この奥さんって人は頑張りすぎて過労で突然死か自殺しちゃったんだと思うなぁ。イラクの人に親身に接して、仕事ができるから米軍の偉い人たちにも信頼されて、骨惜しみせず走りまわって、立派だよほんと。……惜しい人をなくしたねえ」

 タイトルの「奥大使はなぜ死んだ?」という問いに対する特集Vの答えは、学生時代、外交官試験のために(練習のきつい)ラグビー部をやめたことに負い目を感じていた奥氏は身の危険を感じてもけしてイラクの地から逃げ出そうとはしなかった、その敢闘精神ゆえに悲劇に見舞われることになったのだ、ということらしい。

 殺害事件を「悲劇」という曖昧な言葉で覆い隠し、その悲劇的な死の理由を奥氏個人の「現場から逃げない」精神に求める。今日の放送内容は、政府や外務省には歓迎されることだろう。しかし、それでいいのかTBS報道特集。

*  *  *

 文句ばかり書き並べたが、貴重な新証言もあった。メモしておく。

 ペトレイアス少将(昨年4月下旬から今年2月までイラク北部の都市モスルに駐屯していた米陸軍第101空挺師団の師団長、復興事業で奥氏と協力関係にあった)の証言

 「あの日私たちは、モスルまで来るのならヘリを用意すると奥さんに伝えました。しかし彼らは車を選んだんです」

 既報では、奥氏らはCPAの会議が開催されるティクリートを目指していたということだったが、目的地はティクリートではなくさらにずっと北のモスルだったのか?

 なぜ師団長の申し出を断わり、奥氏らはあえて軽防弾車での陸路移動を選んだのか。東京新聞の記事(3/30)に興味深い記述がある。

 「なぜ、会議を最も危険なティクリートで」という疑問が事件当初から浮かんでいた。この月、米軍の死者は前月からほぼ倍増の八十二人。「もう、この地域すら平定した、という米軍の宣伝に尽きます」と政府関係者は明かす。

 「加えて、この会議直後に日本政府の高官がイラク北部を訪れる予定だった。その行路が安全か否か、その下見も兼ねていた」

 政府高官の行路の下見を兼ねていたためヘリではダメで、陸路を行く必要があったということか。この「高官」とは、奥氏らを手足として使っていた、殺害事件直後にイラク訪問を中止して「テロに屈した最初の日本人」と揶揄された、民間企業との癒着疑惑もある(*)、先日妙なタイミングで首相補佐官を辞任 (*)した、あの、岡本行夫首相外交顧問(非公式役職)のことらしい。

 特集Vには、この岡本行夫への生温いインタビューもあった。「奥大使はなぜ死んだ?」と問われたら、この人はなんと答えるのだろう。

 (この項06日アップロード)


2004-04-06 「米軍誤射説」否定報道 /「報ステ」初日の特集04-12追記

 車は3月4日に日本に空輸され、公安部で鑑定を進めていた

(略)これまでの鑑定で、2人の体内や車内から旧ソ連製の自動小銃「AK―47」に使われる銃弾と同口径の銃弾が計6発見つかっている。

(略)銃弾の口径は旧ソ連製自動小銃「AK47」(カラシニコフ)と同じ7.62ミリと判明したが、銃の種類や数は特定できなかった

(略)

 こうした状況から、公安部は襲撃した車両との距離は4メートル以内、発射した高さは約1メートルと判断。並走する車の窓から撃たれたとみており、発射位置が標準で地上約2メートルとされる米軍車両からの誤射の可能性は低いとみている。

(略)銃撃された四輪駆動車には計36カ所の弾痕があり、大半の銃弾は、ほぼ水平方向か下方から撃たれていたことが5日、警視庁の検証で分かった。
 軍用車両の銃座など高い位置から撃たれた形跡はなく、一部で指摘された「米軍誤射説」の可能性はほぼなくなった

 警察庁の瀬川勝久警備局長は同日、参院イラク復興支援・有事法制特別委員会で検証結果を報告。米軍車両の機関銃は高さ約二メートルの位置にあり「(米軍の)軽装甲車から撃ったとする状況とは矛盾する」と述べ、一部で指摘された「米軍誤射説」の可能性は極めて低いとの見解を示した

 (引用文中の二重アンダーラインは引用者による)

 銃の種類も数も特定できないとしながら、あいかわらず「AK-47と同口径の7.62ミリ」なんて書き方をしている。

 しかし奇妙な報道である。まるで、3カ月もかけて被害車両を日本に移送し1カ月もかけて鑑定をしていたのは「米軍誤射説」を否定するのが目的だったかのようだ。情報操作ではなく、捜査をしてくれ。(オヤジギャグとか言うな)

*  *  *

 古舘伊知郎の「報道ステーション」第1回放送の特集は「日本人外交官殺害 井ノ上さんの最期の言葉」。22:52〜23:02という遅い時間に放送された。

 特集Vを流す前に古舘は「この番組のスクープです!」と煽っていたが、発見された時に井ノ上氏はまだ息があってアラビア語で助けを求めた、というのは既報のような?(未確認、記憶違いかも)

 特集Vの中身は上記の「現地取材で新証言」と国本圭一氏(銃器評論家)による被害車両の弾痕分析(ガラスのヒビは貫通痕から波紋のように均等に広がっている、よって銃弾はほぼ水平に撃ち込まれたと思われる)&凶器の推定(AK-47の可能性が高い、口径7.62ミリでは他に米軍のM25狙撃銃がある云々)(*2)

 V明けに古舘が被害車両の同型車(窓ガラスに白い弾痕付き)の横に立って補足説明。画面にハンビー(米軍車両)をCG合成し、ハンビーの銃架は地上約2メートルの高さ、これで銃撃されたのならヒビが下方に広がった弾痕が一つぐらいないとおかしいが、水平か下方から撃ち込まれた弾痕しかない、「米軍誤射説」は否定された感がある、とコメント。

 そうかねえ? そもそもランドクルーザーの窓ガラスって垂直に立っているのかね、大型バスの窓ガラスのように?(*1)

 「報ステ」の弾痕に関する解説&コメントは、今日午後の捜査当局による「米軍誤射説」否定に歩調を合わせたかのような奇妙なものであった。

04-07 追記

「報ステ」の録画を見直して後半部分を加筆&修正した。

(*1) ランクルの側面の窓ガラスは(フロントガラスほどではないが)傾斜している(トヨタ ランドクルーザー諸元表の寸法図、防弾ランドクルーザーの写真参照)。並走する乗用車から“水平に”撃ち込むのは無理っぽい。ガラスのヒビを根拠にするなら、古舘のコメントとは逆に「米軍誤射説」がより有力になる。さて、警視庁公安部の「撃ち込まれた角度が判明したのは10カ所。最も低い地上77.8センチの弾痕を除き、すべて1メートル以上でほぼ水平かやや上向きに撃ち込まれていた」時事)というのは、何かもっと確実な物証があるのだろうか?

(*2) イラクには口径7.62ミリの銃はAK-47とM25しか存在しないかのような国本氏の解説には疑問あり。該当する銃は他にも複数ある。7.62ミリという数値が出ても「米軍誤射説」が消えないのは、ハンビーの中にはM60機関銃を装備したものがあって、これの口径が7.62ミリだからである(*3)。そういえば特集Vの中に「(事件現場で)取材中、アメリカ軍の戦車がそばを通った。事件直後もアメリカ軍のコンボイが通ったという」というナレがあったが、この時画面に映ったM2ブラッドレー歩兵戦闘車(戦車ではない)に装備されているM240機関銃の口径も7.62ミリである。


04-09 追記(ハンビー登載火器)

(*3) 7日の追記の補足。民主党の首藤議員は1月26日の衆院予算委で「米軍のハンビーに銃撃された可能性」を示唆したが、その後2月17日の予算委では具体的な銃器の名称を挙げている(ことに先ほど気づいた)。首藤議員はハンビーの登載火器としてM60ではなくM240B機関銃を挙げている。議事録の当該箇所を引用しておく。

 そこで、私は、その三発当たったところからふっと思ったんですが、これは全く関係ないかもしれませんが、ひょっとしたら三発バーストで撃っているんじゃないかな、こういうふうに思うわけですよ。
 そうしたら、三発バーストで撃ったとなると、それは警察が発表した七・六二ミリの中で、ここで最も使われている銃はカラシニコフ、AK47、アブトマット・カラシニコフというカラシニコフの四七年制式版の古い古い銃ですよ。そして、アメリカ軍が使っているM二四〇B、これはハンビーの上にあって、非常に新しい、ベルギーのFN―MAGがつくったものを改良してやっていた物すごい新しい銃ですよね。そうすれば、三点バーストで撃っているかもしれないし、そうでなかったとしても、非常に集中度の高い痕跡になると思うんですよね。

出典:第159国会 予算委員会 第11号(平成16年2月17日)衆議院

  • 引用冒頭の「三発当たった」云々は前部座席の3つの弾痕のこと。
  • M240BはM60の後継機関銃。1996年制式採用で現在はまだ混在している。

疑問メモ。警察の発表では凶器の口径は7.62ミリ→弾痕は集中している→AK-47の連射なら弾は拡散する→米軍のハンビー(固定銃架のM240BないしM60)が疑わしい、という推論はわかるのだが。上の引用中の「三点バースト」云々は意味不明である。AK-47やM60、M240Bに三点バースト機構は付いてないのでは?(自信なし)


04-12 追記(バースト射撃)

ゲストブックで冨山さんから「バースト射撃」に関するご教示をいただいた(「バースト=銃のメカニズム」ではなく、引金を切る射撃法も「バースト」と言う)。ただ、首藤議員の「バースト」発言は“凶器となった銃は何なのか。口径以外の情報が出てこない。銃弾の成分分析の結果を早く公開せよ”という文脈でのものなので、射撃法の謂でこの言葉を使ったとは考えづらい。

2月17日の予算委会議録を読み直してみた。首藤議員の「三点バースト」は捜査当局に対する牽制としてわざと専門用語を使っただけで、あまり深い意味はないように思えてきた。イラクで使われている銃の種類やその仕様(口径等)について私(首藤)はちゃんと把握しているぞ、子供騙しの「回答」は許さないぞ、という牽制。ちなみに1月26日の予算委でも首藤議員は、

現代科学でいえば、その弾の口径を特定するのは簡単なんですよ。たった五種類の弾しかここにはないんです。五・四五ミリ、五・五六ミリ、七・六二ミリ、九ミリ、十二・七ミリ、たった五種類ですよ。その中の一体どの弾であるのか

と、口径の種類を早口で列挙して“銃器に詳しい”ことをアピールし、銃弾のスペック(口径や成分)の情報公開を迫っている。

首藤議員の質問に対し小野国家公安委員長はまともな応答をせず、警察は4日後の30日、「口径は7.62ミリ(AK-47である可能性が高い)」という「米軍誤射説」否定の情報をリークした。「米軍誤射説」が事件の真相に正しく迫るものなのか見当違いの推論なのかはまだ不明だが、これを国会の場でぶつけたからこそ小出しに情報が出てきた。それなりに意義のある“仮説”だとは言えるだろう。


2004-04-12 銃弾の成分分析

 ゲストブックで「バースト射撃」について冨山さんからご教示をいただいた。6日の項に追記を入れておく。

*  *  *

 今月5日の「米軍誤射説」否定報道では成分分析についての言及がなかったが、翌6日の毎日の記事は銃弾の成分(鑑定結果)にふれている。数値を明示しない曖昧なしろものだが、リンク&引用しておく。

◆警視庁による鑑定結果◆

 【弾痕】(略)

 【射入角】(略)

 【銃弾】

車内から112点、2人の遺体から20点の金属片を採取。うち、49点を銃弾の一部と推計。成分は銅、亜鉛、鉛、アンチモン。銃弾から、銃器は特定できず

出典:「米軍誤射説」薄まる−−警視庁鑑定 ◇「なお疑問」民主追及 (4/6、毎日)

 この記事は神浦元彰氏(軍事評論家)の「AK-47である可能性が高い」というコメントとともに若林議員(民主党)の「この鑑定結果で米軍誤射説を否定するのは間違いだ」という主張も紹介している。

 「一方、同様に真相究明を求めてきた自民党の舛添要一参院議員は『(米軍誤射説の論拠だった)上から撃ったとすることは否定された』と述べている」というのは謎だが、まあ、マスゾエはどうだっていい。

 久しぶりに神浦氏のサイトを覗いてみた。最新情報ページに見解が書かれている(4/6)。神浦氏は事件に関する疑惑の数々についてほとんど知らないまま見解を述べているように思われる。


2004-04-17 週刊ポスト4月23日号

 外交官殺害事件@イラクについて「週刊ポスト」4月23日号と「週刊大衆」4月26日号が記事にした。前者のタイトルは「隠された真相 奥大使は『米軍の誤射』」、後者は「在イラク外交官殺害事件それでも消えない『米軍誤射説』の闇」。ネットで既出のことばかりで新事実・分析は出ていないが疑惑の数々がよく纏まっているのでポストのみ購入。

 ポストの記事には「いきなりの惨禍の中で井ノ上書記官は、血まみれの手で無線機を握って、こと切れた」とある(p.37)。「こと切れた」というのは「講談師、見てきたような嘘を言い」的な蛇足か。5日の報ステは事件直後に井ノ上氏はまだ息があったという「スクープ」証言を放送している。

 この記述のポイントは「血まみれの手で無線機を握って」である。ネットでは先週、次のような指摘(リーク)がされている。

731 名前:レバノン人の謎 投稿日:04/04/07 20:32 ID:JrnIyMzk
田岡氏によると、CNNの現地記者が米軍基地にあった被害車を撮影し
た時に、無線用マイクが車内にあり、血がついていたそうです。つまり、
井ノ上さんは、事件発生直後には意識があり、血で真っ赤になった手で
無線を握って恐らく大使館に事件発生を伝え、助けを求めた可能性があ
るということです。しかも、この重要な証拠を外務省は、証拠として警
察に本日現在提出していない。これは、刑法104条の証拠隠滅罪に該
当する可能性が極めて高いと考えられます。日本に移送する前に、車載
の無線マイクをわざわざはずしていたということは、誰が指示したのか
も含めて、国会できちんと真相が解明されないといけない。かなり悪質
な意図的証拠隠滅です。

出典:仮説★大使館員を殺したのは? part4 #731イラク情勢@2ch掲示板
(二重アンダーラインは引用者による)

744 名前:国連な成しさん 投稿日:04/04/08 13:34 ID:M0BZowDI
>>731
 昨日深夜に警察庁から連絡が入り、ハンディートーキーは車と一緒に
警察で解析されていた、提出されていないというのは勘違いだったと訂
正された。外務省に未提出なら提出しないと刑法違反で刑事告発すると
通告したのが効いたのか、素早い反応を見せた。ついでに、ハンディー
トーキーにべっとりついていた血液は、井ノ上さんのものと鑑識で確認
したということもわかった。つまり、銃撃の直後に、意識のあった井ノ
上さんは、無線のマイクを握って、ほぼ間違いなく日本大使館に事件を
知らせて助けを求めようとしたということだろう。丁度、昼時で無線が
つながらなかったのか、それとも外務省が、事件発生直後から知ってい
ながら、隠していたのか? 当日、事件発生から1時間余りたった日本
時間午後8時すぎに首相官邸では小泉首相と福田官房長官が何やら密談
している。その時、すでに首相が事件を知っていて、米軍に事実の隠蔽
への協力を求めた可能性が浮上してきた。 

出典:仮説★大使館員を殺したのは? part4 #744イラク情勢@2ch掲示板
(改行位置は引用者が変更)

 ポストの記事は、外務省が奥氏のパソコンと井ノ上氏のデジカメを隠してごく最近(3月下旬)まで捜査当局に提出していなかったことを指摘しているが、この“無線機のマイク隠し”を巡る不可解な動きにはふれていない(事件の時系列表には「無線連絡」の記述があるが、無線機に言及しているのは上で引用した1箇所のみ)。

 なお、この記事はWEBでも読めるが上で引用した箇所(「いきなりの惨禍の中で〜」)はWEB版では割愛されている。


2004-05-02 イラク問題@「朝生」11-11 追記

 先月30日の「朝まで生テレビ!」のテーマはイラク問題。イラク利権の分配論議に対するアレズ・ファクレジャハニさん(イラン人留学生)の憤慨発言とか、武見敬三議員のキルギス人質事件での苦労(自慢)話のハッタリを一撃で粉砕する橋田信介氏(カメラマン)の突っ込みなどいろいろ興味深い発言があった。

 外交官殺害事件に関して非常に気になる発言があったのでメモしておく。

 マスコミ各社はサマワから社員を引き揚げてしまい現場に残っているのはフリーのジャーナリストだけ、日本のマスコミはこれでいいのか、という話の流れの中でテレ朝の川村晃司氏が、現場をフリーに丸投げしているわけではない、外交官殺害事件の現場に真っ先に入ったのはフリーではなく朝日の記者だ、と発言。これに対して勝谷誠彦氏、橋田氏らが「最初に現場に行ったのはイラク人だ」、「共同通信じゃなかったっけ?」などと突っ込み、川村氏は、現場取材の第一報はイラク人からのものだがそれは無署名記事、その後の署名記事は朝日の記者自身が現場で確認してから書いたものだ、と応答。それに続いてのやりとり。

川村
だから共同通信もイラク人の情報をもとに、含めて、……最終的には彼ら(朝日や共同の記者)が行って確認しているわけで。事前情報はいろんな形で収集するわけですよ
勝谷
奥さんと井ノ上さんのところの射撃については僕と橋田さんがまだ喋れないこともいろいろ聞いてきましたけれども、聞きたいのは首藤さんたちが「米軍誤射説」ってのをさんざんおっしゃってたし、どなたでしたかお仲間の方がホームページを一生懸命やってらっしゃるけど、どなたが見に行ったんですか、現場は?
誰も行ってないでしょ
首藤
行ってないよ
勝谷
なんで行かないんですか
首藤
え? それこそ、それこそ(笑)、禁止されてて、×××行くたびに、僕らが行こうとしてやるたびに「CPAに通告します」「CPAに通告します」って言うから。そりゃ、国境で入れなくなったら大変だから
勝谷
いや、行きゃあいいじゃないですか、誰でも入れますよ! イラクなんて今、国無いんだから。ビザ無いんだから。行きゃあいいじゃないですか!!
首藤
いやいや、だから、
勝谷
俺、俺ね、あのホームページやなんか、米軍の誤射誤射って、そりゃ誤射かどうかわかりませんよ。だけど、現場も行かない人間がねえ! よくあれだけねえ、あしざまにねえ、×××、
首藤
いやそうじゃないですよ、そうじゃないですよ。そりゃあ違うんだよ
川村
首藤さん、首藤さん、(と制止し、他の出席者に向かって)この間もずーっとそれは取材をしているから言うけれども、首藤さんは、「じゃあ自分が行ってあの車をもって来る」ということまで言ったわけ。それではじめてあの車が(日本に)帰ってきて、(外務省は)写真なんかも提供した。それは基本的には国会議員の役割としての仕事をね、彼は国会の中でやってるわけであって。それを、彼が行かないからね、なにか真実が発見できないとか事実がわからないとかっていう問題ではないんですよ。それぞれの役割分担だから
勝谷
首藤さん本人が行けとは言ってませんよ
川村
彼が(国会等で)言ったことによって(写真などが)出てきた
勝谷
だけど、だけど、じゃあ民主党なら民主党が誰か人を送って、きちっとそれを調べた上で言っているのかどうか! ってことですよ
首藤
まあそれはね、現場は警察も人を送れない×××
橋田
今、自衛隊員は一生懸命(サマワで)額に汗して働いてるわけですよ
(以下、ゴールデンウイークで閣僚が海外に遊びに行っているがイラクに行こうという志のある国会議員はいないのか云々)

 (×××は聴き取れない箇所)

 首藤氏の発言中に橋田氏が強引に割り込み、外交官殺害事件に関する話は尻切れで終わり。橋田氏は話の流れが見えてないのかと思ったが、録画を見直してみると意図的に事件から話を逸らそうとしたようにも思える。

感想

05-04 追記

川村氏の名前・所属を間違えていた。訂正しておく。

×「朝日の川村晃一氏」 → ○「テレ朝の川村晃司氏」

11-11 追記

アレズ・ファクレジャハニさん(イラン人留学生)の憤慨発言や武見敬三議員に対する橋田信介氏の痛烈なツッコミ等については宇佐美保氏「日本人論客達のお粗末」を参照されたい。

5月27日、橋田氏はイラクで取材中(自衛隊の駐屯するサマワからバグダッドへの帰路)、何者かに襲撃され殺害された。(共同通信 05/28

4月30日の「朝まで生テレビ!」で勝谷誠彦は外交官殺害事件に関して何か重要な情報を掴んでいるかのような発言をしていたが、結局これは単なるハッタリだったようだ。橋田氏らが殺害された後、勝谷のWEB日記の過去ログを辿っていて、外交官殺害事件が報じられた直後の03年11月30日、奥氏らに対しとんでもない暴言を書きつけていたことを知った。ハッタリと暴言。勝谷という人物は、とりあえず大声で過激なことを言って(書いて)世間の耳目を集めれば勝ちとでも思っているらしい。



2013年


2013-03-26 首藤信彦氏の10年目の回顧

 首藤信彦氏が3月24日に、外交官射殺事件に言及するブログ記事を書いている。当該箇所を引用しておく。

 ではなぜアメリカからの度重なる派兵要請を拒否し続けた日本が、自衛隊を送るようになったのか?それは同年11月にティクリット近郊で発生した、二人の外交官:奥・井ノ上の射殺事件だ。それをテロリストの攻撃ときめつけ、「テロに屈しない」という空虚な発言から自衛隊派遣へとつながっていった。テロリスト?テロリストにとってアメリカ追従の日本人外交官を殺害したことは、組織の成果として大宣伝しそうなものだが、本件だけはどのテログループ、反政府グループも今日にいたるまで犯行声明をだしていない。

 小生はこの事件がアメリカ軍あるいは当時跋扈していた民間戦争会社によるものだと主張し、国会でも小泉首相を追及したが、結局はうやむやにされてしまった。せっかくあれだけ努力して被害車両を日本まで持ち帰ってきたのに残念だ。

 本件は別にアメリカ陰謀説でもアメリカ軍の横暴を証明するためでもない。戦場では友軍の誤射はまるで日常茶飯事のごとく常に発生する。しかし、その事実を隠し、被害者の行動を英雄視したり美化したりすることによって、現実から逃避させ、さらにテロへの闘いというように政策目標をゆがめて民意を誘導していく...もう辟易するような日本政治のワンパターンだ。真実に向き合うことのできない国家や国民は正しい政治を選択する資格がないのだろう。

イラク開戦10周年の影に忘れられる日本人外交官射殺事件 - すとう信彦 -オフィシャルサイト


 引用省略した前半部で、首藤氏は今年1月に起きたアルジェリア人質事件について言及している。これについてはリンクのみ記しておく。



 8年10カ月が経過して、関連リンクに入れておいたサイトがかなり消えてしまった。わかる範囲で代替リンクを追加した。(過去の雑文中のリンクは、リンクが切れていても記録の意味でそのままにしておく。)




関連リンク




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