updata 2000.11.26
宇治拾遺物語 巻第十一
 三続 晴明、蛙を殺す事

<広沢の僧正の元で蛙を殺す>
この晴明がある時、広沢の僧正の御房にお伺いして用事を承っていた時に、若い僧達が晴明に向かって、「あなたは式神をお使いになるということですが、たちまちのうちに人を殺すことができるのですか?」という。そこで、晴明は「簡単には殺せません。気力を込めてやれば、殺せましょう。」という。「そんな事ですし、虫などは少しの事で必ず殺せるでしょう。しかし、生き返らせる方法を知らないので、罪を犯す事になってしまいますから、そんな事は意味のないことです。」と言っていると、庭に蛙が出て来て、五・六匹程が踊り出て、池の方へ向かって行った。それを見て、「あれを一つ、それでは殺してください。試しに見せてください。」と僧が行ったので、「罪作りなことをなさるお坊さんですね。しかし、私を試されるのでしたら、殺してご覧にいれましょう。」と言って、草の葉っぱを摘み切って物を唱えるようにして蛙の方へ投げやったところ、その草の葉っぱが蛙の上にかかったと思ったら、蛙はぺちゃんこにつぶれて死んでしまった。これを見て、僧たちの顔色は変わり、恐ろしいと思った。

<晴明の家の噂>
家の中に人がいないときには、この式神を使ったのだろうか、人もいないのに蔀が上げ下ろしされたり、門が閉められたりしていたという。



類話(又は、関連話)
今昔物語集 巻第二十四 安倍晴明随忠行習道語第十六 (安倍晴明、忠行に随いて道を習うこと第十六)

<参考文献>
『新編 日本古典文学全集50「宇治拾遺物語」』(小学館)


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