脳の進化


養老孟司(東京大学医学部教授)


進化は、遺伝子の変化で生じる。それぞれの生物が持っている遺伝子の総体であるゲノム、これが変化しなければ、進化は生じない。そのゲノムが、時間とともに、どのように変わってきたか。根本的には、それが進化を基礎づけることである。

脳の進化を決めているのは、遺伝子か、それとも脳か。もちろん、進化を決めているのは、遺伝子である。しかし、こうゆうふうに進化してきました、その理由はこれです。その進化過程を理解し、あるいは理解しない。その理由で納得する、納得しない、それは脳である。

だから、脳の進化を考えるには、本当は二つのことを考えにいれなくてはいけない。一つは遺伝子、もう一つは、脳である。

すなわち、脳の進化を考えるときには、二つの観点をとる必要がある。

その第一は、遺伝子のはたらき、もっと具体的には発生である。それがわかれば、脳という構造が、それぞれの動物でどうできてきたのか、それを理解できるはずである。それは同時に、進化を解く鍵になる。

第二は、その脳が支配する行動である。その行動がその動物と外界との関係を定める。それがよく理解できれば、脳の進化について、大切な理解が得られることになる。

まとめてみれが、脳の進化は二つの大きな視点から見る必要がある。

一つはその動物の身体の一部としての脳である。これは、根本的には脳を遺伝子の方から理解するやりかたである。もう一つは、その脳が環境の中でどう働くかである。これは、脳と外部との関係であり、外から見た脳といってもいい。この二つを理解することが、脳の進化の理解にとっては、どうしても必要なのである。

戻る


このホームページのホストは です。 無料ホームページをどうぞ!