脳の時代が始まった


アメリカ議会は、1990年代を「脳の10年」と謳い、日本が世界に呼びかけた「ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム」も、脳の科学に総力をあげて取り組み始めている。

現代はストレスに満ち、心の病や長寿に伴う痴呆症が増えている。
一方で、私たちは子孫への贈り物である遺伝子・DNAを心配し、宇宙の果てまで考える存在である。それらはすべて脳の働きによる。

人はなぜ愛するのか?
記憶はどこに宿るのか?
ひらめきの瞬間、脳で何が起こるのか?
時に醜く、時に美しい心とはいったい何なのか?
そもそも、心はどこにあるのか?
脳と心を考えるとき、誰しもこうした疑問を抱く。

まさに、人間の「脳」は生命35億年の進化の結晶であり、人間の「心」はそこに宿った宇宙で最も神秘的な世界だといえる。

今回の「脳と心」では、六つのテーマで脳の神秘に迫りたい。
1. 心が生まれた惑星・進化
2. 脳が世界を作る・知覚
3. 人生をつむぐ臓器・記憶
4. 人はなぜ愛するのか・愛情
5. 秘められた復元力・発達と再生
6. 果てしなき脳宇宙・無意識と創造性

さて、第一集では、人間が動物でも持っている「古い脳」の上に、巨大な「新しい脳」を持つにいたった進化の過程を追う。人間の心の芽生えは、6万年前のネアンデルタール人まで遡れるという説がある。

彼らは人類最初の葬式を行い、死者を手厚く葬ったという。その証拠は湾岸戦争でゆれたイランのシャニダール洞窟にあった。おびただしい量の花粉が発見され、分析の結果、それらは仲間を埋葬して花を手向けた跡だとの答えが出された。

時が流れ、高度な科学技術文明を築き上げた現代。一方で私たちは戦争を行い、仲間同士で傷つけあっている。私たちの心の中には、野蛮で、同時に崇高な、二つの人の心が宿っている。
もし、心優しきネアンデルタール人が私たち現代人を見たとしたら……。

         NHKクリエイティブエクゼクティブ・プロデューサー 林 勝彦

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