Crohn病500例の臨床



八尾 恒良 福岡大学筑紫病院消化器科教授

(第39回日本消化器病学会大会 会長講演より)

関連9施設では1973年4月から1995年12月までの22年8ヶ月間に1ヶ月以上の入院加療または6ヶ月以上外来で加療したCrohn患者は538例であった。

この538例について、主として長期予後について解析し、欧米の成績及び1989年の本学会宿題講演にて発表した同じ9施設203例の成績と比較検討する。



1. 累積生存率について


累積生存率は発症5年後100%、10年後99.6%、15年後97.4%、20年後95.2%であった。また、診断5年後100%、10年後99.1%、15年後94.8%であった。

実数では1989年の成績では死亡例は突然死の1例のみであったが、今回の集計では、6例、その死因は突然死2例、中枢神経の変性疾患1例、術後感染症1例、肛門管癌2例であった。
 
欧米でのCrohn病の死亡率は対象の2倍とされている。



2. 累積手術率について


初診時に腸手術が行われていた症例を除いて検討した。

発症後累積手術率および診断後累積手術率は、それぞれ、5年後13.8%、23.0%、10年後32.8%、40.6%、15年後45.9%,52.7%であった。

欧米では、診断後10年の時点ですべての報告で累積手術率は50%を越え、BockusのGastroenterologyにはクローン病患者を10年以上経過を追跡すれば85%以上が手術を要すると記載されている。

今回の成績からは我々が診療しているクローン病患者の累積手術率は欧米のクローン病患者のそれよりも、明らかに低率であった。



3. 10年以上経過例の臨床経過


1) 各年度のIOIBD最高値をその患者IOIBDの代表値とすると、全体の代表値の平均値は診断した年度を最高値とし、翌年より低下し、全経過を1〜2の中間値で経過していた。

2) しかし、約40%では変動しながら2〜3の間で経過し、経過を経ても改善の傾向はなかった。

3) 残りの6割ではIOIBD代表値は経年的に低下し、最近5年間は0〜1の間で経過していた。

以上の成績から見て、我々が管理しているクローン病は、欧米のそれに比し比較的良好な予後のまま経過しているといえよう。

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