消化器癌の診断と治療


昭和大学藤が丘病院消化器内科教授
藤田 力也


内視鏡とは


 胃カメラは内視鏡の代名詞になっているが、現在実際に使用されているのは電子内視鏡である。
ファイバースコープも用いられる。
 
外径は上部(食道・胃・十二指腸)用で9-10mm、下部(直腸・大腸)用で11-12mm。先端にレンズがあり、小型テレビカメラ(CCD)が組み込まれている。検査医はテレビモニターを見ながら診断・治療が行える。

 記録はカラー写真、ビデオ、電子プリント、デジタル記憶も可能。内視鏡はX線検査と違って体内に入って観察できるのが強み。癌の中でも小さな病変の診断が可能。組織をかじって癌の診断をしたり(生検)、同時に止血などの治療処置ができることが特徴である。
 
検査の苦痛を和らげるために鎮静剤を検査前に使用する病院が増えている。しかし、内視鏡を体内に挿入するので医療事故もある。



上部消化管癌の診断


 口腔から観察できる喉頭癌、食道癌、胃癌、十二指腸癌など。食道癌の初期のものは肉眼で見えにくいのでヨードで染色することもある。胃癌でも同様にインジゴカルミンでコントラストをつけて補助診断する。癌と紛らわしいのは食道炎・胃炎・胃潰瘍・ポリープなど。



下部消化管癌の診断


 肛門から観察できる直腸癌、大腸癌。紛らわしいのはポリープ、炎症性病変など。ポリープ癌のほかに陥凹性初期癌も発見されている。



内視鏡で切除できる初期の癌


 内腔の粘膜に癌が止まるもので、ある程度大きさが小さければ(2cm以下)治癒切除が可能。内視鏡で切除できるかどうかの精密な診断は超音波内視鏡検査で行っている。

内視鏡切除には、このようないくつかの条件があるので、適応でないものはもちろんのこと、患者の希望によっては初期癌でも外科手術へ。開腹手術もあるが孔を開けただけの腹腔鏡下手術も行われるようになった。



内視鏡切除の方法


 癌には隆起(ポリープ)したものと陥没したものがあり、中間に平坦型。ポリープは輪(スネア)をかけて、電気メスで根元から切除・回収。スネアがかからないものは生理食塩水を注射して人工的にポリープを作り、同じく電気メスで切除・回収する。
 
回収した病巣を2mmの刺身にして、詳しく病理検査し癌かどうか、取り残しがないかどうか調べる。もし取り残しがあれば、内視鏡で再切除かレザー照射。悪性度の高いものでは手術を進める。
 
入院期間は順調であれば1−2週間以内。その後の観察は6ヶ月ごと。他の部分に癌ができたり、同部位の再発が5-10%あるので経過観察が大切である。
 
早期癌の割合が年ごとに増加し、内視鏡で切除できる対象が多くなっていることは喜ばしい。安全性も技術的にもさらに向上していく治療法といえる。

(財)日本消化器病学会 第13回市民公開講座より

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