おなかを切らない手術


慶應義塾大学外科教授
北島 政樹


おなかを大きく切らない手術、すなわち腹腔鏡下手術は、1980年代はじめより産婦人科を中心にはじまり、後半になり欧米で胆嚢切除術が腹腔鏡で行われるようになってから急速に発達した新しい手術法です。

おなかをほとんど切らないため、患者さんに与える負担が非常に小さいので、最近の医療のキーワードとなっているQOL(quality of life:生活の質)と低侵襲治療をすべて満足させるものであります。従って腹腔鏡下手術は外科手術の革命ともいわれております。

手術は全身麻酔で行います。まずおへそのしわに沿った1cmぐらいの傷から筒(トラカール)をおなかに入れます。通常、そこから炭酸ガスをおなかの中に入れて(気腹)し、おなかの中(腹腔)を膨らませる代わりにおなかの壁を特殊な器具でつり上げる場合もあります。

筒を介して内視鏡(腹腔鏡)を入れ、おなかの中の画像を大きなモニターに映し出します。そして手術操作のために何カ所かに小さな傷(5-10mm)をつけ、そこから数本の筒を入れます。

この手術の利点は術後の痛みが少ないこと、体の回復が早いこと、美容上優れていることなどが挙げられます。

現在では消化器外科のみでなく、泌尿器科、産婦人科、呼吸器外科などでも内視鏡下手術が行われるようになり、解くに外科では胆石のみでなく、早期胃癌、早期大腸癌、ヘルニア、食道、脾臓疾患まで適応が広がっております。

このように患者さんに優しい腹腔鏡下手術も実際は二次元のモニターテレビを見ながら遠隔操作で手を触れずに行うですので、外科医にとっては数多くのトレーニングを特殊な医療機器が必要になります。

そこで我々は現在慶應義塾大学工学部、マサチュセッツ工科大学および企業と携帯し、モニターテレビ画像の立体化、自由に操れるロボットおよび遠隔操作による手術に取り組んでいます。

これが完成すると、医師が一人しかいない離島においても内視鏡下手術が可能になり、さらに患者さんに優しい手術が提供できるようになります。

最後に健康保険ですが現在行われている手術はほとんどが適応になっており、入院期間が短縮しますので経費が少ない手術もありますことを付け加えさせていただきます。

(財)日本消化器病学会 第13回市民公開講座より

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