行動を操る遺伝子たち


山本 大輔


岩波科学ライブラリー50(岩波新書)



本能行動のサーカディアンリズム(約24時間周期の体内時計:バイオリズム)は、ピリオド遺伝子の転写レベルが、自らの負のフィードバック制御をうけ、24時間周期で変動することに、その秘密はあった。
  
本能と環境の接点として、発達可逆性を特徴づける臨界期に注目し、その決定要因を探ってみた。
その結果として、臨界期が、NMDA型グルタミン酸受容体の働きでLPTが起こる期間に対応している可能性が浮かび上がってきた。

この受容体チャンネルを通って神経細胞内に流れ込んだカルシュウムが、いろいろなキナーゼを活性化し、キナーゼはいくつもの転写因子を燐酸化して、最終的には、シナプスの構造・機能を改変するための遺伝子群の転写を引き起こす。

そして転写された遺伝子から、シナプス部分の形を変えるのに必要なタンパク質が作られる。こうして神経接続の可逆的変化が導かれ、行動の環境による修飾が達成されるのであった。
 
サーカディアンリズムは、24時間を周期として個体の生涯を通じ反復される。それに対して臨界期は、数時間から数年と幅があり、一般に一度しかない。

しかしどちらも測時機構に依存する点では共通している。この2つはまったく別の、独立した現象なのであろうか、私は両者をつなぐ糸がやがて発見されるのではないかと想像している。


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