12章 生物学上の母親になるための契約


 「ヤコブ(夫)の子供を産めないことがわかったとき、ラケルは妹(すでにヤコブの子供を産んでいた)に嫉妬し、ヤコブに言った。「私に子供を下さい。さもないと私は死にます!」。ヤコブは激怒してラケルに言った。「おまえの胎に子供を宿らせないのは神だ。私が神に代わることができようか。」。ラケルは言った。「侍女のビルハがいます。彼女のところにお入りなさい。ビルハが子供を産んで私の膝におきます。そうすれば、私も彼女によって子を持つでしょう。」。ラケルは侍女のビルハをヤコブの妻として与えたので、彼はビルハのところに入った。ビルハはみごもって、ヤコブの子を産んだ。ラケルは言った。「神は私の訴えに答え、また、私の声を聞いて、私に子を賜った。」。そして、この子をダンと名付けた。」

 この聖書の物語にあるように、代理出産は、少なくともそれを記録する歴史家が現れたときから行われていたことが分かる。代理出産は、不妊の女性たちが姉妹や友達に夫の子を産ませるよう説得して、その子を自分で育てるという形で、これまでにも密かに利用されてきたようだ。

 代理母契約は、1970年代の終わりにようやく始まった。そして代理母という概念が、一般の人々の意識の中に浸透してきたのは、1980年代初めになってからである。

 代理母と将来の両親の間で結ばれる代理母契約は、代理母利用の過程のなかでもきわめて重要である。この契約には、新生児を両親の保護監督下に引き渡すことがはっきり義務づけられ、また、この契約は、代理母を務める女性の妊娠中の行動についての規制を含む場合もある。

 アメリカにおける代理出産の普及を、将来のさらに発展した生殖産業の利用の先駆けとしてとらえることは可能だろうか?
私は、可能だと考えている。それは、実に驚くべき示唆に富んでいる。代理出産の短い歴史は、アメリカ人が、倫理的な不確実性にも、州独自の禁止令にも、生殖に関わる目標を達成するためのテクノロジー開発の莫大な費用にも、意気をくじかれることはないだろうとつげているようだ。

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