6章 体外受精と新しい時代の幕開け


1978年7月25日、イギリス、オールダムゼネラル病院で、レズリー・ブラウンとジョンのもとに女の子が誕生したことで、この日は人類の進化上、特筆すべき日になった。子供は体重約2600グラム、ルイーズ・ジョイと名付けられた。ルイーズは、母の子宮外で受精した初めての人間だからである。

この9ヶ月前、パトリック・ステップトウが、レズリー・ブラウンの卵巣から一個の卵子を取り出し、プラスチックの容器に移した。ジョン・ブラウンから採取した精子を同じ培養液に加え、受精が起こったことを同僚のロバート・エドワーズが顕微鏡で確認した。受精卵は、三回分裂したところでブラウン婦人の子宮に戻された。そして9ヶ月後、ルイーズ・ジョイ・ブラウンが誕生したのである。

この誕生は、ステップトウとエドワーズの、ヒトの卵子と受精卵に関する10年以上にわたる研究の集大成であり、この二人こそが、生殖遺伝学の新しい時代の創設者として認められるべきある。

体外受精の成功が開いた可能性には、大きく分けて三つのカテゴリーがある。まず、細胞としての胚の操作だが、これが第二部、及び第三部の主眼である。

第二のカテゴリーは、ある母体から別の母体へ胚を移植できるようになり、母という言葉の意味が変化しつつあるということだ。これについては第四部で論じる。

最後は、体外受精では、胚を子宮という暗闇から、明るい光の中に持ち出すため、中の遺伝子物質を間近で見ることができるようになった。胚の中の遺伝子物質を解読し、改良できるようになったとき。体外受精の低力を実感することができる。それが第五部の主題である。

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