家族性アミロイドーシス(FAP)

 
 家族性アミロイドーシス(FAP)は1950年初めポルトガルのポルトの医師アンドレーデが、ポルト近郊で奇妙な病気が同一家族に発症していることに気づいたことから発見された病気である。

アミロイドと呼ばれる不溶性の物質が体内に蓄積し、手、足をはじめ肝臓、心臓など様々な臓器の働きに障害を引き起こす病気で、だいたい30歳以降に発症する重い病気である。

日本でも1970年代に熊本大学の荒木淑郎博士や東京女子医科大学の鬼頭昭三博士によって発見されている。

このFAPの原因物質は長い間不明であったが、病気の発見から三〇年近くたった1978年にポルトガルの医師ペドロ・コスタはそれがトランスサイレチン(TTR)とよばれる血清タンパクの一つであることをつきとめた。

われわれはFAP患者のTTRタンパクを分析していた宮崎医科大学の松尾寿之教授(当時)らの協力を得てTTRの遺伝子の分離を試み、九州大学の第一内科学教室からきていた佐々木裕之が1984年にFAPのTTR遺伝子の一カ所に塩基配列の遺贈があり、そのためTTRタンパクの30番目のアミノ酸がバリン(Val)からメチオニン(Met)に変化していることを初めてあかした。

いったんTTR遺伝子の構造がわかると、FAPと診断された病気に対して世界中で遺伝子の分析が始まり、その結果、FAPには、日本、ポルトガル、スウエーデンなど広く世界中に見られる型のほかに、いくつかの異なる型が存在することが明らかとなった。

また、発症の初期にはFAPの診断が、遺伝子分析で正確かつ迅速に行えるようになった点は医学にとって大きな進歩であった。

しかしFAPには肝移植以外には有効な治療法がなく、診断法の確立は患者に直接の恩恵をもたらしていないのが現状であるが、今後は新しい治療法の開発が進んでいくだろう。

出会い 中島明先生
崎祐司先生への追悼
蔵本正司先生への追悼

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