遺伝子診断で、将来罹る病気や寿命まで予測できるのか?


「いいか悪いかは別にして、21世紀には子供の時からどんな病気ななるか、あるいはなりやすいかを診断することは可能になるだろう」と村松教授は予測している。

すでに、これまで遺伝子異常がわかっている病気だけでも相当な数にのぼっている。金沢教授によると、神経系の単一遺伝子病だけでも「発見された遺伝子異常は百は越えているだろう」という。これに、糖尿病や高血圧、動脈硬化、がんなどの多因子病を加えれば、その数ははるかに多くなる。

現在、遺伝子診断によって発病前に診断可能な病気の多くは単一遺伝子病だが、多因子病でも遺伝子診断は可能になってきている。たとえば、ある種の動脈硬化でも遺伝子診断が始まっている。

LDL受容体欠損症といって、いわゆる悪玉コレステロールの処理がうまくできなくなる病気がある。この病気の人は、早くから動脈硬化が進行し、二十代で心筋梗塞などを起こし、命を落とすことが多い。この病気は、すでにLDL受容体の遺伝子診断で、発病前に発見できるようになった。

これを早期に発見できれば、たとえば脂肪の摂り方を徹底的にコントロールするといったことで、この病気の発病予防に持ち込むことができるのである。

糖尿病や高血圧の場合は、まだ一部の遺伝子異常がわかってきた段階である。肥満の場合は、ネズミを使った研究によると、食欲をコントロールするod遺伝子の異常が発見されているし、エネルギー代謝に関わるβ3受容体の遺伝子に異常があると、脂肪が燃焼されにくく太りやすいことがわかっている。

また、がんの場合ならば、すでに家族性大腸腺腫症で発病前に遺伝子診断ができるようになっている。白血病の一部でも、その前段階で診断することが可能だ。「今の勢いをもってすれば、21世紀には広範な遺伝子情報が得られるようになり、それによって病気の予知もかなりできるようになる」というのである。しかし、あとでお話しするように、問題はその成果をどう使うかだろう。

ある人の寿命の長さが遺伝子でわかるかどうかという話になると、「今はまだ、おばあさんが長生きだから、あなたもきっと長生きしますよ、という方が当たるレベル」らしい。

今の遺伝子診断から見れば、糖尿病や高血圧、がんなどいろいろな病気になりやすければ、寿命も短いということになる。寿命を決定する「責任遺伝子」というものはないのである。

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