遺伝子診断を受けることで、どんなメリットがあるのか?


遺伝子診断は、その目的や活用法、遺伝に対する社会的理解、治療法の有無などによって、その評価は大きく異なる。

たとえば、がんの場合、今はがんになるリスクを診断して、早期発見・早期治療に持ち込むとか、効果のある抗がん剤を判定する、といった方向で遺伝子診断は利用されている。

こうした、より効果的な治療法の探索、食生活や生活スタイルのコントロールによって病気を予防する手段としての遺伝子診断には、大いに期待がもたれている。漠然と高血圧や糖尿病の心配をするよりも、この病気にかかる危険がある、とわかった法が生活をコントロールしやすいというのも一つの見方である。

しかし、最も懸念されているのは、それが人間の選別や差別につながらないか、という点である。

「がんの場合、これまでは細胞の形から診断していたのですが、遺伝子診断は形態変化が起こる前に、より早期に診断できる。しかも、感度よく診断できる。そういう意味では非常に効果が大きけれども、たとえば生まれる前に素因がわかることで、子供を産まないとか、がん家系だから結婚しないとか、そういうことになったのでは困る」と浅野教授はいう。

しかも、それを懸念する土壌が日本には存在するから問題なのである。日本人の場合、とかく平等、みんな同じでなければいけない。といった意識が強い。しかし、病気にも個人差・個性だと浅野教授は指摘する。

「病気は内的因子と外的因子で決まるといわれているが、実際にはすべてが遺伝子で規定されている。体の感受性の違いから、タバコを吸っても肺がんになる人もいれば、ならない人もいる。石油化学がすべての人に害になるわけでもない。アルコールに強い人も弱い人もいる。そういったものすべてに個人差があるのです。

単一遺伝子病も、「産まれてくる子供がかわいそうだから産まない」という考えるのではなく、それも個人差だと捉えることが重要なんです。それを認めたうえで、発病を予防する充分な対策を講じる。そういう前提をすべての人が納得して遺伝子診断が進んでいけば、病気の予知もいいかたちの医療につながって行くでしょう」

遺伝子疾患にしても、まだ日本では特殊な病気という認識が強いが、決してそうではないを村松教授は指摘している。「ヒトゲノム計画で、今人間の全遺伝子を解読する計画が進んでいますが、そのうち十個ぐらいの遺伝子異常は、普通の人でも持っているといわれているんです。劣性遺伝病で表に現れていないだけ。決して特殊な病気ではない。そのことを理解してほしい。

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