生殖細胞に遺伝子治療を用いるのが禁止されているのは、なぜか?


遺伝子治療に使われる細胞に、卵子や精子などの生殖細胞を使うことは禁じられている。

体のほとんどを構成する体細胞の場合、遺伝子治療によって遺伝子を細胞に持ち込んでも、効果は一代限りで終わる。実際に今行われている遺伝子治療には、一代限りの効果を期待したものばかりである。遺伝性疾患の原因となる遺伝子異常は、治療とは関係なく子孫に伝えられて行くわけだ。

しかし、生殖細胞に遺伝子が組み込まれると、その遺伝子は子々孫々まで伝えられる可能性がある。とすると、一方では治療によって遺伝性疾患から子孫が解放される可能性がある。その一方で、万が一治療にミスがあれば、そのミスが代々受け継がれていくことにもなりかねない。自然の摂理という意味でも、安全性の面でも、今は生殖細胞には手を着けないというのが、世界的なルールだ。そういう諸々の理由で、遺伝子治療の対象となる病気は今のところ限定されているのである。

癌の場合、死に至る病気であること、患者の数から見ても治療の需要が多く、かつ安全の点であまり問題がないこと。さらに抗癌剤治療より患者にとっては負担が少ないという期待などの点から、遺伝子治療の研究が進められている。

実際に申請されたプロトコルの数から見ると、癌の中でも悪性黒色種(皮膚癌の一つ)がもっとも多く、次いで脳腫瘍を卵巣癌や乳癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、大腸癌などが続いている。

糖尿病や高血圧も癌と同じ多因子病であるが、他にも治療法があるので遺伝子治療の需要は癌より少ない。ただ、高騰する医療費の問題などで、アメリカなどでは関節リュウマチや狭心症などの遺伝子治療のプロトコルも認められている。

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