10年以上長期生存した肝細胞癌の特徴


 黒松亮子、佐田通夫、谷川久一(久留米大学第二内科)


目的:初回治療としてPEIT,TAE,肝切除を行い、10年以上生存した肝細胞癌症例の臨床病理学的特徴を検討。

対象:1980年1月から1987年12月までに当大学において初回治療を施行され、10年以上経過 観察が可能であった症例(肝切除 116例、PEIT49例、TAE100例)

結果:10年生存率 肝切除15%(17例)PEIT12%(6例)TAE3%(3例)

肝切除例では、臨床病期1期、肝硬変の合併がないこと、無再発期間が3年以上が有意な因子であり、腫瘍経を含めた腫瘍因子は無関係であった。

PEIT症例では、臨床病期1期、無再発期間3年以上、腫瘍経20mm以下が有意な因子であった。

10年以上生存例の再発は、肝切除症例15/17例、PEIT症例10/12例と大部分に認められる。

結語:
1)PEIT症例と肝切除で、10年生存率に有意差は認めなかった。
2)10年生存に腫瘍因子は無関係で、臨床病期と肝機能の保たれていることが重要だった。
3)10年以上生存例は、初回治療から無再発期間が3年以上の症例が多かった。
4)長期的に86%に再発が認められたが、その再発治療が有効な症例が多かった。

肝機能の良い症例は、再発までの期間が長いこと、定期的に経過観察されていれば、再発しても早期に診断され、繰り返し治療に耐えうることから、10年生存が可能であると考えられた。

戻る