C型肝炎ウイルス(キャリア)


聖マリアンナ医科大学内科 飯野 四郎

1. 感染とキャリア化

急性肝炎からの慢性化率は多くの報告されており60〜70%とするものが多い。

供血者でのHCV抗体陽性例でみた場合、第二・第三世代HCV検査で擬陽性となることはほとんどないことから、その40%ではHCV RNAが陰性であり、既往のHCV感染例と考えられる。また、HCV抗体はHCVが排除された後では陰性化することもあることから、実際にはHCVの感染が成立しても少なくとも40%以上はキャリア化し得ないものと考えられる。

一過性感染で終わる例の大部分は6ヶ月以内にALTが正常化するのみならず、HCV RNAも比較的早期に陰性化する。その後、2年間くらいはHCV RNAが陰性化して治癒する例もみられるが、発症からの時間が経過するに従ってその割合は急激に低下する。2年以後の自然治癒は極めてまれである。

2. 無症候性キャリア(ASC)


healthy carrierといえる例はHCV感染の場合HBe抗原陽性HBV ASCとは大きく異なりごく一部、約10%にすぎない。

さらに、経過観察中にGPT異常が発見された例でのその後の経過を見ると、そのままGPT異常が持続する例が34%、一過性の異常に終わるものが32%、異常出没例が34%であった。

よってASCであっても初診時の時点では、画像および血液検査(血小板、ヒアルロン酸、ICG15分停滞率など)によって肝病変の進展度を十分に評価しておく必要がある。

以前は、ALTが正常値で持続していても肝病変が進展するといわれたこともあったが、今では少なくとも1〜2ヶ月ごとにALT測定し、正常値が持続している限り、肝病変の進展は見いだせないことも知られている。

3. C型慢性肝疾患


  一般的には、感染推定時期から20年を過ぎると肝硬変は増加し、25年を過ぎると肝細胞癌例が増加する。しかしながら、症例によって30年を過ぎても軽度の慢性肝炎にとどまっている症例もみられる。
 

このように症例によって進展速度が異なることに関しては多くの研究がなされている。それらを要約すると、感染時の年齢(若い方が遅い)、検査時の年齢(高齢者ほど速い)、飲酒歴、性差(男性が速い)、HLAタイプ、感染経路、HCV RNA量、HCV genotype、宿主の免疫応答などがあげられる。