非情な遺伝子とは


Cancer family syndrome と言う家族集積性に大腸癌が多発する疾患があります。
最初に、この疾患を知ったのは今から10数年前の消化器の学会で、国立がんセンター病院放射線科診断部医長である牛尾恭輔先生の講演を聴いたときでした。現在は遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)といわれている疾患です。

興味深い現象としては、親は通常の大腸癌と同じように60−70歳代の高齢者で大腸癌に罹患します。また同胞間では、だいたい同じ年代、多くは40歳代から50歳代に認められます。しかしながら、次の世代では、20歳代でも大腸癌が発生して来るということです。
このように世代を経るにつれて、大腸癌になる年齢が15−20歳も若年化してくることです。

このことは、障害を受けた遺伝子が自殺行為に走っているとしか考えられません。

すなわち何らかの原因で傷ついた遺伝子は、自分の乗り物である個体が生殖能力を持つ前に個体を抹殺することにより、その異常な遺伝子が人類間に広まるのを予防しているものと思われます。
このように考えると、いかに遺伝子とは非情なものかと考えさせられます。

現在では、この原因がDNA修復酵素(hMSH2,hMLH1,hPMS1,hPMS2)の変異であることが分かってきています。つまり修復酵素の障害により、DNAの正確な複製が出来なくなることにあります。

私が、「利己的な遺伝子」と出会ったのは、その後数年してからでした。
家族性アミロイドーシスといいCancer family syndromといい、遺伝子の持つ非情さを本当に痛感させられる事柄です。

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