大腸癌の発癌メカニズム


大腸癌では遺伝的素因が指摘されているが、いったいどのくらいの頻度で認められるのであろうか。
全大腸癌の約1%が家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis;FAP)、約5%が遺伝性非ポリポーシス大腸癌(hereditary non-polyposis colorectal cancer;HNPCC)で、その他にも半数は疫学的になんらかの遺伝子的背景があるだろうと推定されている。

1.家族性大腸腺腫症(FAP)


  FAPは大腸に数百個に及ぶ腺腫性ポリープが発生し、放置すれば非常に高い頻度で癌化する常染色体優性の遺伝性疾患である。

癌の合併頻度は密生型82%、非密生型45%である。重要なことは年齢を経るに従い大腸癌の合併頻度が高くなり、20歳代で20%、40歳以上で80%にもなる。
 
FAP患者では、およそ70%にAPC遺伝子の変異が認められる。

2.遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)


常染色体優性遺伝で消化管ポリープを伴わない家族集積性のある大腸癌である。

診断基準(1990年:アムステルダム国際会議)

1)第一度近親者(親、子、同胞)を含む3名以上の血縁者が組織学的に確認された大腸癌である。

2)大腸癌の発生が2世代以上にわたっていること。

3)少なくとも1例は50歳未満で診断されていること。

遺伝的な背景
 ヒトの細胞核には約10万の遺伝子が存在しDNAの複製はきわめて正確に行われている。この複製過程で生じる不適切な塩基対を修復・除去する監視システム(酵素)があるが、HNPCC患者ではこのシステムに欠陥があることがわかってきていた。

HNPCC大腸癌から抽出したDNAには反復配列の異常が認められた。

最近、監視システムに関与する蛋白をコードしている遺伝子(hMSH2,hMLH1,hPMS1,hPMS2)変異がHNPCCの本態であることが判明した。


3.一般的な大腸癌



 発癌過程には複数の癌遺伝子・癌抑制遺伝子などの癌関連遺伝子の変異が蓄積されていることが明らかになってきている。

1991年に、Vogelsteinらが多段階発癌モデルを報告している。


多段階発がん説(大腸がん) 「1994年10月27日付朝日新聞参考」


癌抑制遺伝子(APC)の異常によって正常細胞がポリープ化します。次に、癌遺伝子(K-ras)の異常でポリープが大きく成長します。さらに、別の癌抑制遺伝子(p53)の異常でポリープが癌化します。肝臓などへの転移にはDCC,NF2などの遺伝子が関与します。このような大腸癌の発癌には複数の癌関連遺伝子が関係しています。(多段階発癌説)

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