カルテの向こうに

徳永 進(鳥取赤十字病院内科)
(新潮社)

この本は、私が30歳代の頃、「スコープ」(日本アップジョン株式会社)に
連載されていたもので、忙しい医療の現実に潰されそうになるたびに、
こういう医療もあるのだと励まされた文章でした。

現在の医療は、高度医療のためか、医者と患者の関係が歪んできているような気がします。
もう一度、この本を読んで医療の原点を考えてみたい。

光じいさんの立場

死んでもええぞ


作者自身のあとがき

「臨床医」という言葉や「地方勤務医」という言葉が、ぼくは好きだ。
実際の地方勤務医の生活は、結構しんどい。いろんな病気を相手しないといけないし、
ほぼ24時間、臨戦態勢をとっていないといけない。

でもそれらの言葉の中に、地方巡業のドサまわりをしている
サーカス団の雰囲気があって、好きだ。
ぼくら地方勤務医は、毎日いろんなことに出会っている。
悲しいこと、嬉しいこと、どっちでもないこと、腹が立つこと、危ないこと、ホッとすること、
そんなことごとに出会っている。

地方勤務医として働きながら、人間って面白いな、患者さんってすごいな。といつも思う。
その面白さに引きずられて、ぼくは臨床に立ち続けているのだろうと思う。
癌であることを知っていても、死の近くに生きていていることを知っていても、
皆んながそれぞれのやり方で健闘する。そのすがすがしさに、僕は魅きつけられる。