ラミブジンによるB型慢性肝炎の治療


 佐田通夫(久留米大学第二内科)、ラミブジン治験委員会


B型肝炎ウイルスの逆転写酵素を阻害し、また基質としてウイルスDNAに取り込まれ、HBV-DNAの伸長を止めるという二つの作用によってHBVの増殖を強力に抑制すると考えられているラミブジンのB型慢性肝炎に対する効果を検討した。

対象:B型慢性肝炎と診断され、ALT値に異常を認めHBV-DNA陽性であった137例

方法:ラミブジン100mg一日一回投与

結果:血中HBV DNAは、ラミブジン投与群では、投与2週目より著明な低下が観察され、投与8週目には検出感度以下となり以後投与終了時まで持続した。しかし、投与終了後には多くの症例で治験開始前値に復した。
e抗原量およびALT値も、同様な推移が観察された。

ラミブジンはHBVの増殖を強力に抑制すると同時に肝機能異常を改善することが明らかになったことから、B型慢性肝炎の治療薬として有用と思われた。

一方、いくつかの問題点も明らかになった。
1.治療終了後に多くの症例でHBVの再増殖が見られること。
2.増殖をきっかけに肝障害の増悪をきたす例をみること。
3.ラミブジン耐性株が出現してくることも明らかとなった。
4.32週投与してもウイルスの完全排除が見られないことも課題の一つである。

今後これらの問題点を克服するために投与法方の工夫、適応症例の選択、さらに多剤との併用療法などを検討する必要がある。


今後のB型慢性肝炎の治療

HBVによる細胞障害機序は、ウイルスが直接肝細胞を傷害するのではなく、HBV感染肝細胞膜上に表出されたHBV関連抗原に対する生体の免疫応答によるもの。

B型肝炎の治療
1.直接ウイルスに作用するもの
2.宿主の免疫能に作用するもの

1.抗ウイルス剤ー Lamivudine

Lamivudineは英国グラクソ社で開発されたヌクレオシド誘導体で抗ウイルス剤である。
LamivudineはHIVの複製過程である逆転写を特異的に阻害することから、海外では当初HIV治療薬としての開発が行われた。その後の研究により本剤はHBVにも有効であることが明らかになり、1992年より海外においてB型慢性肝炎治療薬としての開発が開発された。

LamivudineのHBVに対する作用機序は、 Lamivudineが細胞内で三リン酸誘導体にリン酸化され、HBVの逆転写酵素を阻害すると共にウイルスDNA鎖に取り込まれその伸長を止めることにより、抗ウイルス活性を示すと考えられている。

一方、 Lamivudineはcis(-)enantiomerという天然の核酸にはない立配置であるために、哺乳類のDNA複製には影響しないことが特徴である。

2.免疫増強剤ーSizofiram(SPG)

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