形態進化と遺伝子進化


カンブリア紀には、遺伝子も急速に進化していたことが、最近の研究でわかった。


様々な形態の多細胞動物が誕生したカンブリア紀。その時代はまた、遺伝子が急速に進化し、多様な遺伝子ができあがった時代でもあることが、最近の研究でわかってきた。

脊索動物が出現してからカンブリア紀をはさんで、魚類とそれ以外の高等脊椎動物が分岐するまでの約2億年と、その後から現在まで約4億年を比較すると、前期の2億年間にたくさんの遺伝子がつくられている。しかも前期の方が遺伝子の進化のスピードがずっと速い。この現象は何を意味しているのだろうか。

京都大学の宮田隆教授(理学部生物学教室)は、「カンブリア紀を挟んだ2億年は、生存競争の相手が少なく、自然淘汰の圧力も弱かった。普通ならとうてい競争にも勝てそうもない奇妙な形態をした生物でも、充分繁栄を享受できた。また生物の体のつくりも後期に比べれば、まだ未熟で、組織も単純。

こうした時代にたくさんの新しい遺伝子が急速に進化していることは、遺伝子の進化と形態の進化が、深く関係していることを示していると考えられる。

現在生物の形態・組織や器官の進化は、ダーウィンの自然淘汰では説明が出来ず、中立説で説明されます。

しかし、最近の私どもの研究から、遺伝子の進化は形態から制約を受けていることが、だんだん分かってきました。たぶん、カンブリア紀のように形態が自由に変化できる状態では、形態から遺伝子への制約も緩和され、遺伝子がどんどん進化できたのでしょう。

現在、分子進化学者に残された最も大きな課題は、この表現型レベルの進化と遺伝子レベルの進化を橋渡しし、2つのレベルの進化をいかに統一的に理解するかと言うことですが、形態や組織と遺伝子の進化の研究が進めば、進化のメカニズムもより総合的に分かってくるでしょう。」と。語る。

動物たちが、自由にさまざまな形態を試みることができたカンブリア紀は、形態や組織の制約が少なく、遺伝子も自由に変化できた時代でもある。

戻る


このホームページのホストは です。 無料ホームページをどうぞ!