THE MIRACLE PLANET


太陽系の惑星の中で、地球だけになぜ海があり、大気があり、大陸があるのか、そして、なぜ生命は生まれたのか。

第1章:超新星の爆発


それは、星の死から始まった


今から46億年前のあるとき、名もなき一つの星が死んだ。

星にもまた生まれてから死ぬまでの一生がある。宇宙全体から見れば、その星の死はありふれた出来事であったろう。だが、銀河系の端に位置していたその星の劇的な最期がなかったら、ここにいる私たちはいっさい存在していなかった。

この出来事から、太陽系第三惑星「地球」誕生というドラマの幕は切って落とされたのだった。

原始星は中心部の温度が摂氏1000万度を越えるようになると、水素がヘリウムに変わる核融合反応が始まり、一人前の恒星として光を放ち始める。年老いて水素が無くなると、今度は燃えかすのヘリウムを新しい燃料にして、炭素や酸素という重い元素を合成する。

46年前に死んだ星は、質量が太陽の8倍以上ある重い星だった。

こういった星では、さらにマグネシウムやケイ素などのより重い元素がつくられる。そして、最後に燃えることのできない鉄が生まれたときに、その星は劇的な最期を迎えた。

熱源を失った中心部が重力崩壊し、その反動で星はすさまじい爆発を起こし、粉々に吹き飛んでしまったのだ。超新星の爆発である。

超新星爆発の火の玉の中では、爆発寸前に金、銀、ウランなどの重い元素が作り出され、星の内部にたまったさまざまな元素とともに、爆風によって遠くに吹き飛ばされる。それは、生命に不可欠な材料が銀河系内に解き放たれた瞬間でもあった。

第2章:原始太陽系星雲の誕生


私たちの故郷が生まれた


超新星の劇的な大爆発は、激しい衝動波を生み、ガスとチリからなる星間雲の密度のゆらぎを生じさせた。

星間雲のある部分では、ガスとチリが吹き寄せられ、一つの大きな渦をつくる。この渦が、私たちの故郷、原始太陽系星雲だ。

原始太陽系星雲は、重力によりその中心部に向かって加速的に収縮してゆく。中心部のガスの密度はますます増大し、やがて不透明で高温の核をつくる。

こうして原始太陽は出現した。原始太陽は、その中心が摂氏1000万度に達したころ、核融合反応を起こし、恒星として輝き始める。

原始太陽はある質量を獲得したところで収縮を止め、それにともなって星間雲全体の収縮運動も次第にゆっくりしたものへと移り、やがて収縮段階を終了する。

この段階で原始太陽系は、中心に輝く太陽、その周囲を回転する原始惑星雲という構図を持つことになる。

第3章:鉱物粒子の凝縮


微惑星群が原始太陽系を埋めつくす


原始惑星雲は、回転を速めながら形状を扁平な姿へと変えつつ、自らの熱を宇宙空間に放射し、次第に冷えてゆく。

その冷却過程で、ガスを構成する元素がさまざまに反応し、鉱物粒子という新しい段階を迎える。

このとき、カルシウムやアルミニウムを含む鉱物粒子がまず現れ、次いで鉄やマグネシウムなどの金属が加わったケイ酸塩が凝縮する。さらに温度が下がったところで、水、メタン、アンモニアなどの細かい氷結晶が浮かんでくる。

凝縮したさまざまな鉱物粒子は、最初は漂っているだけだが、そのうち太陽からの引力と遠心力の合力を受けて、扁平な原子惑星雲の水面上に沈殿していく。この沈殿は数千年といった程度で完了する。

沈殿した微粒子群は濃密な層を形成し、その空間密度がある濃さに達したとき、一瞬のうちに、無数の小さな固まりに分裂する。小さいといっても、その直径は10qにも及ぶ。

固体微粒子がくっつき合った、微惑星と呼ばれるこの塊が次のステージの主役になる。

第4章:微惑星の衝突・合体


巨大な天体へと成長する微惑星


無数の微惑星が出来た頃の原始太陽系の中心では、ガスの大部分を集めた太陽が、ほぼできあがろうとしていた。

太陽に近いところでは、太陽から出る強い太陽風(太陽から連続性に流れ出てゆくイオン化したガスの流れ)などの影響によって、原始惑星雲ガスはほとんど吹き払われているが、遠いところでは、なだかなりのガスが残っている。

原始太陽系を埋め尽くしている、おびただしい数の微惑星群。その数は10兆個にものぼる。微惑星は太陽の周りを回りながら互いに激しい衝突を繰り返す。衝突して合体し、大きく成長する微惑星もあれば、互いに砕け散ってしまうケースも多かっただろう。

衝突によって運良く自らの質量を増やした微惑星は、その重力も大きくなり、さらに他の微惑星を引き寄せ、取り込んでゆく。

こうしたことが1000万年−1億年にわたって続き、成長していった微惑星は、もはや微惑星とは呼べないほどの巨大な天体として、それぞれの軌道で、周囲を圧倒する存在となってゆく。

太陽系の内側に位置する4つの惑星(水星・金星・地球・火星)は金属と岩石からなり、外側の木星・土星・天王星・海王星はヘリウムや水素などで出来たガス惑星となった。太陽系には2つの異なったタイプの惑星、「地球型惑星」と「木星型惑星」が存在することになったのである。

また、地球型惑星と木星型惑星の間に、岩石質や金属質の粒子を成分をして形成された小惑星帯と呼ばれる領域がある。ここは成長できなかった小惑星が無数に存在する空間だ。

こうして、原始地球を含む惑星達が、ようやくその相貌を現したのである。

第5章:原始惑星の誕生


そして、原始地球が生まれた


微惑星の衝突はまだ続いているが、原始太陽系の全体像はほぼできあがった。太陽の光度はまだ低く、現在の光度の70%ぐらいしかない。

太陽に近い領域では、すでに星雲ガスは吹き払われ、4つの原始惑星−水星、金星、地球、火星−の姿がはっきり見える。しかし、外側の領域では依然として濃いガスがたちこめており、木星、土星といった惑星の姿は定かでない。

原始地球には、微惑星が毎秒数q〜10数qという非常に速いスピードで衝突している。衝突は地表に大小さまざまなクレーターの跡を印していく。それは、原始地球がなおも成長を続けていることの証だ。

微惑星の衝突は、依然と変わらずに続いているが、衝突規模は大きく激しくなっている。成長した原始地球の重力が、強い力で微惑星を引き寄せるからだ。

原始地球は軌道周辺の微惑星をかきあつめるようにして、成長を続けていく。だが、微惑星の衝突は原始地球の重力を増やしただけではない。地球の進化という点で、さらに重要な意味を持っていたのである。

第6章:水蒸気大気の形成


地球は濃密な大気に包まれた


微惑星が超高速で原始地球の地表に衝突した瞬間、微惑星に含まれていた水や炭素の化合物はたちまちのうちに蒸発する。

そうしたことが日に何度となく繰り返され、蒸発量は膨大なものとなっていく。蒸発したガスは絶えず地表を漂い、次第に濃密さを増していった。

このような衝突による「脱ガス現象」は、原始地球の半径が現在の20%ほどに達したあたりで原始大気を形成し始める。

そして、半径が現在の35%くらいまで成長したところで、大気の増加率は急激に大きくなる。

それは、大きくなった原始地球が重力を強め、それに伴い微惑星の衝突速度が速くなって、それまでは20%程度だった脱ガス率が、この段階で100%に達するからである。

脱ガス成分としてとくに量が多いのは水と一酸化炭素だが、水が80%を占めるので、原始地球の大気は水蒸気で出来た大気といってよいだろう。

この水蒸気大気が、地球に新たな進化をもたらすのである。

第7章:マグマ・オーシャン−原始地球をおおう溶岩の海


微惑星に衝突は、大量の衝突エネルギーを原始地球の地表で解放し、そのほとんどを熱に変える。そのため、衝突地点は非常な高温になる。

このとき、地表を覆う大気がなければ、その熱は瞬時に宇宙空間に逃げていってしまい、地表に長くとどまることはない。

だが、原始地球には濃密な水蒸気大気が存在していた。大気には熱をため込む性質がある。熱い大気の壁に阻まれ、逃げ道をなくした熱は、地表温度を次第に上昇させていった。

やがて、高温によって地表の岩石が溶けてゆく。地表にマグマの海ができはじめたのだ。

マグマの海が地表を覆うようになると、原始地球に新たな現象が生まれた。それまで増加する一方だった原始大気の量と地表温度が一定に保たれるようになったのだ。これは、水蒸気の圧力に応じて、マグマが水蒸気を吸い込んだり、吐き出したりするためである。

大気の水蒸気の量が多くなると地表温度が上昇し、マグマの海の面積が大きくなるので、水蒸気はどんどんマグマにとけ込んでゆく。

その結果、水蒸気大気の量が減り、地表にたまった熱が宇宙空間に逃げるため、地表温度が下がり、マグマの海は冷えて固まってゆく。

マグマの海が無くなるにつれて、今度は微惑星の衝突エネルギーが大きくなるので、脱ガス現象が活発化する。そして、ふたたび水蒸気がたまるようになり、地表温度が上昇する。

こうして、地表温度はある幅(1500〜1700度K)をもって一定に保たれ、原始大気中の水蒸気量も一定になる。この仕組みがなかったら、地表温度はとめどなく上昇し続け、物質はすべてガス化してしまい、地球は現在とは似ても似つかぬガス惑星になっていただろう。

第8章:海の誕生−マグマの惑星から水惑星へ


原始地球をすっぽりとおおった熱い水蒸気に雲は、地表のマグマの海が高温のため、地上数百qという高い位置にとどまって、なかなか地表に降り降りてくることが出来ない。

原始地球の形成がほぼ終わる頃になると、激しい微惑星の衝突も収束に向かっていった。地表で解放される衝突エネルギーは減少し、原始大気と地表は徐々に冷えてゆく。マグマの海の割合も次第に減り、固まった地表が現れてくる。地表が冷えるにしたがい、雲は少しずつ下降し始める。

やがて、冷却がある時点(地表温度がおよそ650度K)に達したとき、突然、雲が一気に地表近くまで降りてきた。そして、雲の下の乾燥した大気は湿り気を帯び、土砂降りの雨となる。地球に初めて雨が降ったのだ。

地球最初の雨は摂氏300度近くもある高温の雨である。雨は滝のように降り注ぎ、地表を大気の温度を下げ、さらに新たな雨を呼ぶ。いつ果てるともない豪雨が続き、地表では大洪水が荒れ狂った。そうしたことがどれくらい続いたろうか。

地表にたまった雨は、やがて海に成長していった。膨大な量の水蒸気が雨となって降り終わるまで、どれほどの時間を要したか定かでない。

少なくとも38億年前には確実に海は存在していた。

最初の海は、おそらく摂氏150度ぐらいの高温で、雨に含まれていた塩酸のために強い酸性を示していたと考えられる。

また、海の誕生直後の大気は、一酸化炭素を主成分とする窒素との混合大気であった。しかし、一酸化炭素は、まだ大気中に残る水蒸気の光分解によって酸素が作られるために次第に酸化され、結局は二酸化炭素に変わってしまう。

そのころの原始地球大気には、およそ60気圧の二酸化炭素に相当する量の炭素が含まれていた。現在の地球大気には、二酸化炭素はわずか0.0003気圧しか含まれていない。もし、数気圧の二酸化炭素が大気中にとどまっていたら、その温室効果によって地表の温度は下がらず、逆に太陽の輝きが増すにつれて温度は上昇し、海は干上がっていただろう。当然、生命は存在しなかった。

そうならなかったのは、二酸化炭素が大気、海、海洋底、マントルの間を循環し、最終的には大陸に取り込まれたからである。

地球が地球であるためには、海を持っていること、そして大陸が存在することが、絶対条件なのである。

このような地球の歩みの中で、清明な誕生し、成長していった。ここまでに至る道のりは、偶然に一つの星が死んだことから始まった。

そして、さまざまな物理的な条件をクリアしながら、地球は水惑星となっていった。それは、必然に基づいた進化だったといえるのである。

生命−40億年はるかな旅(1)

戻る


このホームページのホストは です。 無料ホームページをどうぞ!