第11章 人間の代償


最近、シチリア島エリチェにアール・グレコ博士、アブラハム・ブルーワー博士、フデレリック・フォム・サール教授ら、ホルモン攪乱物質の神経及び行動への影響を研究する専門家18人が集まって、会議が開かれた。その席上、つぎのような合意がなされた。

「ホルモン攪乱化学物質は神経や行動の発達を根本から阻害し、その結果、子宮内でそうした化学物質にさらされた胎児の可能性を蝕む…

発達途上の脳のホルモン攪乱物質の暴露は、その構造および機能に恒久的な変化をもたらす…

生命のはじまりの時期に人間や動物がそうした多種多様な化学物質にさらされた場合、成人では恒久的な変化をもたらさない暴露レベルで、脳の発達に甚大かつ不可逆的な異常を与えてしまう。…

このことは知的能力や社会への適応力の減少、周囲の要求に対する応答力など多種多様な機能的行動の阻害といった形で現れる。このような人間ならではの特質が広範囲に失われることは、社会そのものを変えてします。…」

「今現在、私たちが恐れているのは、人類の絶滅ではなく、人類が知らぬ間に蝕まれていることです。」とコルボーン、ダマノスキ、マイヤーズは「失われた未来」の中で訴えている。

「人間一人ひとりの可能性が失われることを恐れています。私たちの行動、知性、社会認知力といった、人間を人間たらしめている得難い特質を根本から蝕み、変えてしまうホルモン攪乱化学物質の力を恐れています。…危険にさらされているのは、ただ単に人間一人ひとりの運命ではなく、もっとも影響に敏感な弱者に限らず、人類すべての可能性が広範囲に浸食されていることなのです。」

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