第4章:第一容疑者


1992年、エジンバラ

 マクラクランは1990年の論文にこう書いた。「エストロゲンは前立腺腫瘍形成の素因をつくる要因である。エストロゲンが作用する決定的な時期は胎生期にあり、その時期にエストロゲンは前立腺に明らかな非常に大きな影響を及ぼす」

典型的な西欧型の食事では血液中のエストロゲン濃度が高く、エストロゲンと結びついてその作用を妨げるタンパク質、性ホルモン結合性グロブリン(SHBG)の濃度が低いことが判明した。いいかえれば、西欧型の食事は内因性エストロゲンの暴露を高めるのだ。



植物性エストロゲン


植物が持つエストロゲン様物質の研究は、はやくも1940年代にオーストラリアではじまった。古くから牧羊地として知られたパース近郊で、羊たちが深刻な生殖障害に見舞われた。その原因は、地中海地方から導入されて日も浅いトリフォリウム・サブテラネウムという種類のクローバーだった。その葉から有効成分が抽出された。分析によって、その成分は弱いエストロゲン様物質をもつトリヒドロキシイソフラボンと判明した。

今日では、多くの植物にエストロゲン様作用を持つ成分が含まれていることが分かっている。

第一のグループ、イソフラボン類は最も一般的だ。自然界におおよそ70種類が存在するが、すべてがエストロゲン様作用を持つわけではない。

第二のグループのクメスタン類はヒマワリの種や油、アルファルファ、ダイズ、サヤインゲン、アズキ、グリンピース、ホウレンソウなどに含まれている。このエストロゲン様作用はイソフラボンの30〜50倍強力だ。

第三のグループはある種の酸性ラクトン類に由来するもので、トウモロコシやコムギに見られる。

植物性エストロゲンが動物の生殖に害を及ぼし得るならば、人間にも同様な害をもたらす可能性があるといえるが、その答えは単純ではない。

驚いたことに、植物性エストロゲンが成人に有益な作用をもたらす可能性を示す、さまざまな証拠があった。研究によれば、西欧の女性に比較して乳癌の罹患率がはるかに低いアジアの女性は、アメリカ人女性の30〜50倍ものダイズ製品を摂取している。

植物性エストロゲンのこのような病気を防ぐ力の仕組みは、まだ解明されていない。

シャープは「動物での研究によれば、エストロゲンは胎仔期・新生仔期にはかなり特異な作用をする可能性があり、成人を基準にしてエストロゲン摂取の影響を測る基本原則は、その時期には不適切であることがしだいに立証されつつある。私が見る限り、最も安全な対応は、植物連鎖の段階を追ってエストロゲン様汚染物質を一つ一つ洗い出し、それらの暴露をできるかぎり減らすことである。」

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