身近に存在する遺伝子汚染



水道水に含まれる発ガン物質


日本の多くの水道水には「トリハロメタン」と呼ばれる発ガン物質が含まれている。トリハロメタンは、水道水に塩素を加えて塩素処理を行う際に発生する有機塩素化合物である。

トリハロメタンは「クロロホルム」「ブロモジクロロメタン」「ジブロモクロロメタン」「ブロモホルム」と呼ばれる四つの化学物質の総称である。この四つの物質の中で発ガン性があるのはクロロホルムである。

クロロホルムは、腎臓や肝臓に障害を起こす作用があり、現在では麻酔剤としては使用されていない。その後、発ガン性もあることが、動物実験で証明された。

そのため、塩素処理をした水を飲んでいる人とそうでない人を対象に、消化器癌の発生率を比較する疫学調査がアメリカで行われた。その結果、塩素処理をした水を飲んでいると、男性で3.66倍、女性で2.23倍もガンの発生率が高いことが明らかにされている。



発ガン物質に汚染された大気


急増するスギ花粉症

最近、スギ花粉症の患者が急増している。毎年春先になると、多くのスギ花粉症の患者を見かける。このスギ花粉症という病気は、今から30年前までは医学部でも講義されていなかった。このことは、当時の日本には、スギ花粉症という病気がなかったと言うことがわかる。

実際、日本ではじめてスギ花粉症が見つかったのは、日本中が東京オリンピックで浮かれていた1964年のことである。それ以前の日本には、スギ花粉症という病気はまったく存在しなかったのである。

ところが、1970年代後半になると、そのスギ花粉症が急速に増え始める。現在の日本には、1000万人を超すスギ花粉症の患者がいるといわれる。日本人の10人に1人がスギ花粉症の患者というのだから、今やスギ花粉症は国民病といってもいいほどである。

スギ花粉症はアレルギーによって起こる病気である。口や鼻から吸い込んだスギの花粉が鼻やのどの粘膜にくっつくと、体の中で免疫反応が起きて「IgE」と呼ばれる物質が作られる。このIgEがアレルギーを引き起こすことになる。

スギ花粉症の主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった鼻のアレルギー症状と、涙が止まらない、目がかゆいといった目のアレルギー症状である。

その他にも、喉の痛みといった喉の症状、喘息や咳などの気管支の症状を起こすこともある。さらに症状がひどくなると、睡眠不足や無気力といった精神症状も出てくることもある。

スギ花粉症には、本当にスギの花粉だけが原因なのかという重大な問題がある。単にスギの花粉がスギ花粉症を起こす原因というなら、江戸時代や明治時代の頃から、スギ花粉症の患者がたくさんいないとおかしい。

しかし、1964年以前の日本には、スギ花粉症が存在したという報告例はない。しかも、驚くべきことに、わずか30年という短い間に、何と1000万を超す日本人がスギ花粉症に悩まされるようになってしまったのである。

ここにスギ花粉症に関する興味深いデータがある。スギ花粉の飛散状態が同じ程度の地域について花粉症の発生を比較した調査結果である。

調査は日光地区で行われた。その結果を見ると、トラックの交通量が激しい沿道地域に住んでいる住民のスギ花粉症の罹患率は、13.2%である。一方、交通量の少ない地域の住民は5.4%と、両者の間に二倍以上の差が認められる。

こうした疫学調査の結果、スギ花粉症と車の排気ガスの間に、何らかの因果関係があることを示唆している。

そのため、さらに詳しい研究が行われた結果、スギ花粉症の原因がディーゼル車の排気ガスであることがわかってきた。ディーゼル車の排気ガス中に含まれるディーゼル排気粒子(DPE)がアレルギーを起こすIgE抗体という物質の産生を増強することが証明されたのである。

実際にディーゼル車のDPEを混ぜたスギ花粉をマウスに繰り返し注射すると、スギ花粉に対するIgE抗体が作られてくる。それに対し、スギ花粉だけを注射したマウスでは、スギ花粉に対するIgE抗体がほとんど作られないのである。

さらに驚くべき研究結果が1994年に発表された。ディーゼル車の排気ガスに含まれるDPEに発ガン性があることが、動物実験によって証明されたのである。

私たち日本人は、ディーゼル車から出されるDPEという発ガン物質による新しい遺伝子汚染の脅威にさらされているようである。

「あなたの遺伝子は汚染されている」
中原英臣・佐川峻     早川書房

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