電磁波と遺伝子汚染



遺伝子を破壊する放射能


放射能は高エネルギーの電磁波であり、核反応や放射性物質から放出される。波長によって数種類に分類されるが、ガンマ線やエックス線がその代表である。天然にも弱いが存在する。宇宙から来たり、微量の放射性物質が存在するからである。

生物の遺伝子はこの放射能に弱い。どんな物質でも、多かれ少なかれ放射能によってダメージを受けるが、複雑な構造をしている遺伝子は弱いのである。遺伝子はその構造自体に遺伝子情報を蓄えているDNAという特殊な化学物質なので、とくにその影響を受けやすい。

逆に放射能を照射して遺伝子を変化させることによって、品種改良を行うことさえある。生物の性質は遺伝子によって決められているので、放射能を照射することによって、遺伝子に変化を起こさせ、花の色や大きさなどの性質を変えようとするものである。

何世代もかけて、偶然の変化に頼りながら改良していく従来の方法に較べると、はるかに短い時間内で品種改良ができるという利点がある。

ウランやプルトニウムなどを利用し、連鎖反応による核分裂を起こさせ、放射能を出す物質から大量の電気エネルギーを取り出すのが原子力発電である。原子力発電では、放射能のエネルギーを熱エネルギーに変換し、その熱で水を蒸気にして、その蒸気で発電機に直結している蒸気タービンを回して発電する。熱エネルギーを媒介して放射能のエネルギーを電気エネルギーに変換させるわけである。

この原子力発電では、大きく分けて、ウラン燃料など核反応を起こしている本体部分、熱エネルギーに変換するために循環している水などを含む周辺部分、そして、核燃料の包装材料や使用済み核燃料を処置した際出た放射性廃棄物の三つの部分から放射能が放出される。もちろん本体部分が一番強い放射能を出しているが、周辺部分も場所によってはかなり強い放射能を帯びている。

放射性廃棄物は包装材などの放射能の少ない低レベル放射性廃棄物と核燃料を処理した廃液など高い放射能を持っている高レベル放射性廃棄物の二種類がある。高レベル放射性廃棄物は強い放射能を帯びているので保管や処理に特別な施設が必要である。

原子力発電所で発生した史上最悪の事故は、1986年4月26日の未明、正確には現地時間の午前1時24分、ロシアのチェルノブイリで起こった爆発事故である。チェルノブイリには一号から四号まで四基の原発が稼働していたが爆発したのは四号炉である。

チェルノブイリの事故で、原子炉そのものが熱で破壊され、非常に強い放射能を放出している核燃料が溶けだし、流出した。核燃料を包み、中性子の減速に用いる黒鉛は燃えた。原子炉の建物の屋根は吹っ飛び、大量の放射性物質やガスが噴出し、大気にばらまかれた。炉心融解、すなわちメルトダウンといわれ最も恐れられている事故である。

爆発の瞬間に二名が即死したほか、火災鎮圧に出勤した消防夫などが事故直後多量の放射能を浴び、多数が病院で死亡した。現場から30キロ以内の住民は避難させられたが、ばらまかれた放射性物質によって白血病などが多発していると伝えられている。放射能はロシアだけでなく、全ヨーロッパに及び、日本までも達した。放出された放射性物質の量は、広島型原爆数百個をもいわれている。

白血病は体に取り込まれた放射性物質が体内で放出する放射能によって、白血球の遺伝子が損なわれ、癌化することによって起こる。骨髄にある白血球の元になる細胞は細胞分裂が盛んなため、遺伝子が影響を受けやすいのである。それと同じ理由で、細胞分裂が旺盛な胎児や子供は、大人より放射能の影響を受けやすい危険性がある。

放射性物質が放射能を出す期間は、何千年にもわたるものもある。セシウム137の半減期、すなわち放出放射能が半分の強さに減る期間は30年であり、ストロンチウム90の半減期は28年にもおよぶ。プルトニウム239の半減期にいたっては、なんと2万4100年である。チェルノブイリ事故によって汚染された放射能は、21世紀まで確実に残るのである。

セシウムは卵巣に蓄積されやすく、ストロンチウムはカルシウムに似ているので骨などにたまりやすい。卵巣の放射能は卵子の遺伝子に影響を与える。また、骨は骨髄で白血球を生産しているので白血病を引き起こす原因になる。チェルノブイリからの放射性物質がばらまかれた地域ではこれからもガンや先天性の異常などのさまざまな犠牲者を生み出すだろう。



遺伝子汚染が心配される電磁波


電磁波の物理的な定義は、「真空中や物質中を伝わる電場と磁場の波動」ということになる。電場、磁場、波動の頭文字を並べると電磁波になる。

具体的には、電波、赤外線、光、紫外線、エックス線、放射能の一種であるガンマ線などがあり、これらのすべてが電磁波の仲間である。

人体への影響を論じた有名な研究が、スウェーデンのカロリンスカ研究所が、1992年に発表した「カロリンスカ報告書」という疫学調査である。疫学調査とは、多数の人間を対象に、病気の原因や因果関係などを調べる科学的方法である。

この報告書の結論を要約すると、「高圧送電線によって発生する電磁波は小児白血病の原因になる。」というものである。しかも、一般家庭の電灯線や家電製品からでる電磁波でも、人体に影響があるという内容である。

それに先立つ1990年には、アメリカの「ニューヨーカー」という雑誌に「メドウ通りの災厄」という記事が掲載された。記事の内容は、変電所と高圧線がある小さな町「メドウ通り」と呼ばれる狭い地域の住民に、脳腫瘍や白血病といったガンが多発しているというものである。

こうした研究が正しければ、比較的波長の長い電磁波は、短い電磁波である放射能と同様に遺伝子に悪影響を与えることになる。すなわち電磁波が遺伝子を汚染するという意味になる。

一方、逆に送電線からの電磁波はガンなどに関係ないという疫学調査もいくつかある。1995年に、電磁波を白血球細胞に照射してもガン化しないという論文がイギリスの化学雑誌「ネイチャー」に発表された。

結局、この問題に関して、科学的で疑う余地のない結論という限り、どちらとも断定できないのが現状といわざるをえない。

「あなたの遺伝子は汚染されている」
中原英臣・佐川峻     早川書房

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