胃ポリープ


丸山雅一(癌研究会付属病院内科部長)


「胃にポリープがある」といわれると、"がんになるのではないか"と心配する人が、まだまだ多いようです。しかし、胃にできるポリープのほとんどは、治療の必要がなく、心配ありません。



胃ポリープとは

検診や人間ドックなどで胃の検査を受けると、「ポリープ」が発見されることがよくあります。そのようなとき、"ポリープが将来がんになるのではないか"という不安を持つ人がいまだに多いようです。

確かに30年ほど前には、ポリープは前癌状態といわれて、ある程度の大きさになると、開腹手術をして取り除いていました。
しかし、現在では、胃のポリープは癌とは全く関係ない、ということがわかっています。

よく知られているように、胃のポリープは胃の粘膜が隆起してくる病気です。胃の中に生じる隆起を総称して「隆起生病変」といいますが、隆起病変には、ポリープのほかにもさまざまなものがあります。

次に、隆起生病変にはどんなものがあるか、詳しく説明します。



腫瘍性病変と非腫瘍性病変

胃の隆起生病変には、「腫瘍性病変」と「非腫瘍性病変」に大きく分けることができます。

腫瘍性病変

腫瘍性病変は、どんどん際限なく増殖していくのが特徴です。さらに、ほかの臓器やリンパ節などに、転移するかどうかにより、「悪性」と「良性」とに分類されます。

胃癌のように転移する腫瘍が「悪性腫瘍」で、ほかの臓器に転移すると、生命に関わることもあります。「良性腫瘍」は、大きくなっても、ほかの臓器に転移することはないため、生命に関わるようなことはまずありません。

また、腫瘍性病変は、それがどこから発生するかによって、「上皮性」と「非上皮性」に分けられます。上皮性は胃の粘膜から発生するもので、非上皮性は粘膜より下の組織(筋肉など)から発生するものを指します。

悪性の上皮性腫瘍には、癌腫。非上皮性腫瘍には、肉腫や悪性リンパ腫があります。良性の上皮性腫瘍には腺腫。非上皮性腫瘍には平滑筋腫などがあります。

非腫瘍性病変

非腫瘍性病変は、ある一定の大きさになると、もうそれ以上大きくならないのが特徴です。

非上皮性病変も、やはり「上皮性」と「非上皮性」に分けられますが、非上皮性の病変はあまり見られず、ほとんどが上皮性の病変です。

非腫瘍性の上皮性病変には、「過形成ポリープ」、「のう胞性ポリープ」、「潰瘍」、「びらん」などがあります。

一般にポリープと呼ばれているのは、隆起性病変の中でも、良性のものですが、厳密には、胃のポリープとは「過形成ポリープ」を指します。



検査

ポリープは、自覚症状がほとんどないので、集団検診などで胃のエックス線造影検査を行ったときに、偶然見つかるケースがほとんどです。

エックス線造影検査は、バリウムを飲んだ後、さらに発泡剤を飲んで胃を膨らませて、エックス線撮影をする検査です。この検査によって、胃壁に隆起性病変が発見された場合には、内視鏡検査を行って、さらに詳しく調べることになります。

内視鏡検査では、胃壁を直接観察することができます。そのため、病変部分の形態や大きさ、色調などがはっきりとわかり、これでポリープであるかどうか、ほぼ診断がつきます。

形態だけではポリープと診断できず、胃癌の可能性も疑われるような場合には、組織を採って調べる「生検」が行われ、癌であるかポリープであるかを確認することになります。

「取り除く治療が行われる」と思っていいる人がいますが、これは誤解です。普通は何の治療も行いません。

なぜなら、胃にポリープができていても、特別な場合を除き、何の症状も現れません。大きさも一定以上には大きくならず、癌のように転移して生命を脅かすこともありません。したがって、わざわざポリープを取り除く必要がないのです。

ポリープを切除するケース

以下の二つの場合にのみ行います。

1. 貧血になっている場合:大きなポリープができていたり、大きくなくても、ポリープがたくさんできている場合には、まれにポリープの表面からじわじわと出血が起きることがあります。出血が続き、それによって、貧血になっている場合には、ポリープを切除することが必要になります。

2. 通過障害がある場合:胃の出口付近に有茎性の大きなポリープができていると、ポリープの頭の部分が胃の出口に詰まって、胃の内容物の通過障害を招くことがあります。そのために、胃がもたれるなどの症状が出ることがあります。この場合にも、ポリープを切除する必要があります。

ポリープの切除は、内視鏡を使った「ポリペクトミー」が行われます。これは、内視鏡の先端に付けたワイヤーを、ポリープの隆起した部分に引っかけ、高周波電流を流して焼き切る方法で、患者さんの身体的負担の少ない方法です。

胃のポリープは、良性のものなので、癌化することはなく、心配ありません。また、自然に脱落することもあります。ただし、貧血や胃のもたれなどの自覚症状がある場合は、きちんと検査をして、適切な治療を受けることが大切です。

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