MORPHOLOGICAL CHARACTARISTIC

of

JAPANESE FIRE BELLIED NEWT

(Cynops pyrrhogaster)

ニホンイモリ地域個体群の形態特徴

Last updated
2007.1.5


 ニホンイモリ(Cynops pyrrhogaster) Japanese Fire-bellied Newt

 本種は本州、佐渡、隠岐、四国、九州、壱岐、五島列島(トカラ列島の中之島の記録もあるが最近は確認できないため誤りとされる。鹿児島県の島嶼では大隅諸島の屋久島に生息しているよう)に分布する全長80〜130mmの日本固有の有尾類で別名アカハライモリまたはアカハラと呼ばれている。水田、小川、池、沼、渓流付近の水溜まりなどの清水に棲み、水生生活をおくり、繁殖期は4〜7月頃で水草などに1卵ずつ産む。繁殖期のオスの尾は紫色に染まり、体側が四角く張り出し、体表が滑らかになり、メスの前で尾をS字に曲げ細かく振るわせ、フェロモン(ソデフリン)を分泌し求愛を行う。北海道以南九州まで広く分布しており、分類上は分布域に連続してみられるため亜種区分もされていないが、形態や繁殖行動の違いから5地方種属と中間型に区分される。1:広島種属(広島県以西の本州、隠岐、淡路、四国、九州)2:篠山種属(紀伊半島北部、鳥取、岡山)3:中間種属(中部〜紀伊半島南部)4:渥美種属(渥美半島)5:関東種属(関東)6:東北種属(東北、北陸)。また、生化学的に区分すると1:東北集団(東北、北陸)2:関東集団(関東)3:中間型集団(中部〜鳥取、岡山)4:西日本集団(島根、広島以西、四国、九州{南部を一部除く})5:南九州集団(宮崎南部〜大隅半島)に区分される。両手法による区分は必ずしも一致しない。

 本種は国内では最も一般的にペットショップで見られる有尾両生類ではあるが、流通している個体は全くその産地が不明(産地はバラバラで業者がまとめて出荷していると考えられる)である。しかし、その形態、特に腹部の模様は千差万別で欧米のキーパーには非常に魅力的な種となっている。本種は日本に限らずその派手で飼いやすいところから、欧米においても最も一般的に売られている有尾類であったが1997年以降日本からの輸出が止まっていると言われている。現在、欧米で最も一般的に流通している種は、本種の近縁別種である中国種のシナイモリ(Cynops orientalis)に取って代わられている。ここでも中国が台頭している。しかし、欧米のキーパーの間では今なおニホンイモリに対する注目は高く、と言うより輸入が止まって希少種になっているせいか、ペットトレードで流通している本種を腹部の模様で種族の特定が出来ないかと言う論議がしばしば見られる。そこで国内ではあまり注目されない本種の各地域個体群(種族よりももっと出来るだけ細かい情報)に関する特徴が示せればと考えている。腹部の模様に関しては種族別と言うよりは各流域によりある程度の傾向はあるかな、と言う程度しか言えないと思われる。最近は特にペットトレードの個体が逃がされて遺伝子が混じっていることも十分に考えられる。また、腹部だけでなく背面の色彩も様々ではあるが、関東以北の個体はおおむね黒から褐色の個体がほとんどで、西日本の個体は褐色から緑色に近い個体まで変異が見られるように思える。このあたりも情報量が増えてくれば、よりはっきりしたことが言えると思われる。繁殖行動で特異なのはドイツで新亜種記載を勝手にされた”篠山種族”でメスの前でオスが尾を振る時には後肢をメスの頭部に乗せるということで容易に区別できる。その他の種属に関しては情報がないので確認したい。

 ここで取り上げているペットショップで入手した個体に関しては、一応入荷先で産地を明記しているものだが、詳しい場所はもちろん不明。一部ショップ店員が採ってきた場合は信用できる。従って、ショップ由来個体に関しては参考程度として頂きたい。

 このページを見て、もし採集地が特定できる本種に関して写真や個体の提供をしても良いという方がいらしゃればぜひ筆者(Dr. Grumman)までご連絡下さい。日本種に関しては日本から情報を発信していきたいと考えています。メイルは DrGrumman@hotmail.com までお願いします。

写真の取り方:イモリの腹部を撮影する時は少しコツがいる。イモリを手に持ってひっくり返すと分かるが、すぐに元に戻ろうと身体をひっくり返し撮影どころではない。岩永幸恵氏より教えて頂いたのだが、ガラスやプラスチック板(筆者は透明度からポリスチレン製のケースのフタを使っている)に押さえつけてひっくり返して撮影するとうまくいく。

How to take a photo of ventral pattern of newts: You need little technique to take a photo of their venter. I use a lid of polystyrene box for putting thier abdomen then upside down to take a photo easily.


外部形態や繁殖形態の違いによる種族分類。
Sawada,S. (1963) Studies on the localraces of the Japanese newt, Triturus pyrrhogaster Boie. I. Morphological characters. J. Sci. Hiroshima Univ. B-1 21:167-180 を参考に作図。

化学的分析による種族分類。
林光武(1993)ダンスを踊って求愛−アカハライモリ、週刊朝日百科 動物たちの地球(97):20-22 を参考に作図。


1:東北種族:Tohuko Race(東北、北陸:Tohoku district to Hokuriku district)

 

 山形県寒河江川支流産:Sagae river at Yamagata prefecture

 オス:Male

 メス:Female

 メス:Female

 

 山形県真室川町産:Mamurogawa-cho at Yamagata prefecture

 オス:Male

 オス:Male
 婚姻色が出たオスの腹部はこの様に少し紫がかったぼやけた斑紋になる。

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male
 このオスはほとんどぼやけてない。

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female
 赤が鮮やかなメス。

 オス側面:Male's side
 婚姻色が現れたオス。

 オス尾部:Male's tail
 尾の婚姻色が出ている部分がハイレグ状になっているのが分かる。

 

2:関東種族:Kanto Race(関東:Kanto district)

 千葉県房総半島産(ペットショップ):Boso peninsula of Chiba prefecture(pet trade)

 オス:Male 

 オス:Male 

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female unusual brown back but she became nomal later この個体は関東種族では比較的少ない茶色い背面。その後普通の色となった。

 

 神奈川県産(ペットショップ):Kanagawa prefecture(pet trade)

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 

 群馬県産(ペットショップ):Gunma prefecture(pet trade)

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 

3:中間種族:Intermediate Race(中部〜紀伊半島南部:Chubu district to South of Kii peninsula)

 

 静岡県産(ペットショップ):Shizuoka prefecture(pet trade)

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 

 三重県新宮市産:Shingu-shi, Mie prefecture

 オス:Male 腹部は朱色からオレンジだが、背面は淡い色の個体が多い。斑紋は無いか、両サイドに沿った斑紋が出る個体もいる。

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 

 和歌山県古座市産:Koza-shi, Wakayama prefecture

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 

4:渥美種族:Atsumi Race(渥美半島:Atsumi peninsula)
        No photo available
 本種族はおそらく絶滅したと考えられる。

 This race maybe already extinct. No records were reported long time.

 

 

5:篠山種族:Sasayama Race(紀伊半島北部、鳥取県、岡山県:North of Kii peninsula, Tottori pref. and Okayama pref.)

 

 京都府亀岡市産:Kameoka-shi of Kyoto prefecture

 オス:Male 

 オス:Male あまり細かい模様ではないが、黒斑の中に赤点がある。

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 メス:Female メスにはこの様に黒斑の中に白点が現れる個体も珍しくない。

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 

 京都府長岡京市産:Nagaokakyo-shi of Kyoto prefecture

 オス:Male 両脇に黒い太いラインが走り、赤い顆粒がたくさんちりばめられた感じで、全体的に黒っぽい

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 メス:Female

 メス:Female 黒い太いラインがほぼ融合した感じ

 メス:Female

 メス:Female

 

 京都府丹後半島産:Tango peninsula of Kyoto prefecture

 オス:Male 黒いラインがべっとり付いた感じ

 オス:Male

 オス:Male 両脇に太い黒色のラインが2本走る。

 メス:Female 黒いライン中に褐色の顆粒が一杯入っている

 

 鳥取県千代川支流産(P1):Sendai river of Tottori prefecture (P1; Parent 1)

 オス:Male

 オス:Male

 メス:Female 珍しく黄色い腹部。

 メス:Female

 オス2:メス2の老熟個体の背面。メスはかなり巨大化している。 2pairs of P1. Keeping them since 1990, so may be they are almost 20 years old.

 繁殖期のオスの頭部. 耳腺が張り出している。 Head of breeding style male.

 繁殖期のオス。体側と腹部の側部も盛り上がり、張り出している。 Breeding square style male.

 繁殖期のオスの上部. 耳腺と体側が張り出している。 Head and square body of breeding style male.

 繁殖期のオス。下あごと頸の部分がコブ状になり、婚姻色で紫に染まっている。 Breeding purple color of the mouth and neck of male.

 繁殖期のオス。尾と腹部の赤斑上部が婚姻色で紫に染まっている。 Breeding purple color tail and body side.

 下の兄弟の親の一部。1990年頃に鳥取県千代川の支流で採集した個体群。2004年春の撮影なので14年ぐらいは飼育しているため、生後20年は経っていると考えられる。

 

 鳥取県千代川支流産(G1):Sendai river of Tottori prefecture (G1; Generation 1)

 オス:Male 黒斑の中にも赤色(オレンジ)の点が入る。飼育下第一世代(G1)のため腹部はまだオレンジ。

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 上の4匹は上記P1(G0)の仔の兄弟姉妹で腹部の模様もそっくりで、模様も遺伝することが分かる。1997年生まれで5年後の2002年春に初めて発情した。普通に餌やりをすると成熟に5年かかった。本種族は他と異なり求愛ダンスのファンニング時に、オスの後肢をメスの首当たりに乗せる特徴がある。

 

6:広島種族:Hiroshima Race(広島県以西の本州、隠岐、淡路、四国、九州:Island of Honsyu of West of Hiroshima pref., Okinoshima island, Awaji-shima island, island of Shikoku and Kyushu)

 

 広島県産(ペットショップ):Hiroshima prefecture(pet trade)

 メス:Female

 

 高知県四万十川産(ペットショップ):Shimanto river of Kochi prefecture in island of Shikoku(pet trade)

 オス:Male 細かい斑点が混じる。

 オス:Male

 メス:Female

 

 高知県土佐郡土佐町産:Tosa-cho, Tosa-Gun of Kochi prefecture in island of Shikoku

 オス:Male かなり鮮やかな赤。黒斑はほとんど無い個体もいるが、両サイドからは離れているものが多い。

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female


 

  佐賀県神崎郡三瀬産(写真提供;岩永幸恵氏):Mise of Saga prefecture in island of Kyushu(Photo by Sachie IWANAGA)

 オス:Male 朱色でほとんど黒斑はない。

 オス:Male

 メス:Female

 メス:Female

 

 熊本県阿蘇市産:Aso-shi, Kumamoto prefecture

 オス:Male オレンジが強い。黒斑は両サイドにくっつくものが多い。

 メス:Female

 

 メス:Female

 メス:Female

 

 

 メス:Female

 メス:Female

 

 宮崎県児湯郡都農町産:Tsuno-Cho, Koyu-Gun of Miyazaki prefecture in island of Kyushu 

 オス:Male 朱色っぽい個体が多い。黒斑は両サイドからは離れているものが多い。

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 

 宮崎県東諸県郡綾町産:Aya-Cho, Higashimoro-Gun of Miyazaki prefecture in island of Kyushu

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 オス:Male

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female

 メス:Female


 CAPTIVITY  イモリとサラマンダーとサンショウウオとカエルの飼育。


 FOODS 有尾両生類のエサについて。活き餌の入手、維持、繁殖。人工飼料の特徴、与え方を解説。


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