小〜中形、全長10〜21cm程度。体色は変異に富み、体は細長く、尾は長い。目蓋が有り、肺を欠く場合がある。前肢の指は4本、後肢の指は4〜5本。体外受精。7属36種。
タカネサンショウウオ属(Batrachuperus) 7種
*サンショウウオ(Batrachuperus gorganensis Clergue-Gazeau and Thorn, 1979.)分布:
*サンショウウオ(Batrachuperus karlschmidti)分布:
*サンショウウオ(Batrachuperus londongensis)Longdong Stream Salamander 分布:
*サンショウウオ(Batrachuperus mustersi)分布:
*サンショウウオ(Batrachuperus persicus)分布:
*サンショウウオ(Batrachuperus pinchonii)Stream Salamander 分布:
*サンショウウオ(Batrachuperus tibetanus)Alpine Stream Salamander 分布:
*サンショウウオ(Batrachuperus yenyuanensis)Yenyuan Stream Salamander 分布:
*サンショウウオ(Batrachuperus taibaiensis)分布:
サンショウウオ属(Hynobius) 22種
アベサンショウウオ(Hynobius abei Sato, 1934)分布:丹後、但馬。
全長:オスで107mm、メスで96mm程度。肋条は12本が普通。鋤骨歯列は比較的深いU字形。背面は暗褐色で腹面は淡褐色で青白色の小点が散らばる。尾は著しく側扁し、オスではヒレ状になる。近縁種であるホクリクサンショウウオよりも頭部が大きく、胴や尾は短い。カスミサンショウウオグループとされる。カスミサンショウウオとの違いは尾の上縁に淡色の条線を欠くこと。トウホクサンショウウオの卵嚢外皮の縦方向の条線はより明瞭、しかし横方向の条線は弱い。
カスミサンショウウオとの種間雑種も実験室内で確認されているが、カスミサンショウウオがメスの場合は胚期で死滅または不妊となる。(川村、1960) 日本産小形サンショウウオの中で最も分布域が狭い。確実な生息地は3地点でそのうち1地点では環境破壊により絶滅に瀕している。生息地は二次林の内部や周辺で繁殖には湧水が必要。 繁殖期は早く11月中旬ー12月下旬。産卵数は平均約71卵。産卵は2次林の湧水があり泥底で枯れ木や落ち葉の体積がある水たまりや溝中で行われる。成熟には約2年。 確実な産地は4地点とされており、絶滅に瀕している場所も多い。国内のサンショウオ科でも最も分布が限られた種で遺伝的にも特異で進化上重要な種とされる。原記載時には広島県産のサンショウウオも本種とされた、また、本種とされた石川県産のサンショウウオはホクリクサンショウウオとされている。 レッドデータブック(RDB):両生類では唯一の絶滅危惧 [1] A類。種の保護法で保護されており採集は禁止。京都府では天然記念物。
References: 川村智治郎(1960)動物の種分化と生理的隔離、ダーウインの進化論 百年記念論集、日本学術振興会 180-188.
(アンジサンショウウオ)(Hynobius amjiensis Gu, 1992 "1991")Anji Salamander 分布:Longwangshan Nature Reserve, Anji County, Zhejiang Province, China
全長:153mm〜166 mm。肋条は13本。
(アリサンサンショウウオ)(Hynobius arisanensis Maki, 1922)Arisan Hynobiid 分布:台湾のアリサン。
オオダイガハラサンショウウオ(Hynobius boulengeri Thompson, 1912)分布:紀伊半島南部、四国、九州・祖母山系と大隅半島の山地。
全長:160〜200mmと大型。肋条は13本。
標高600〜1200m の渓流付近に生息。近畿地方と四国・九州の個体群では形態や遺伝子レベルで差があるとされる。体色は近畿地方の個体群は青みが強い。斑紋はほとんど見られないが、尾に金色の斑紋が僅かに見られることがある。本種の成体は繁殖期以外でも水中で見られることがある。4〜5月の渓流の上流に産卵し卵嚢の片側で8〜25卵。 以前、頭骨の涙骨が外表から見えることからPachpalaminus属とされたが、構造上の差が見られないことから1960年以降はHynobius属とされる。 四国東部で調査では標高1300m以上の山から流れている谷で8月でも水温が18℃以上にならない谷でしか生息していない。高い山から流れる谷ほど生息範囲が広く、山頂から300〜500mの範囲でしか生息していない。この辺りでは最も標高の高い源流部にハコネサンショウウオ、その下にブチサンショウウオが生息しており、オオダイガハラサンショウウオよりも標高の高い山にしか生息していない様子。また、産卵は9℃前後に始まる。標高1500mの山の1300m付近の観察では2年目の8月にはすべて変態している。飼育観察では水温8℃から活発に動き出し、5月下旬には変態している。水温を7℃以下にすると変態直前の幼生ですら変態は抑制される。三重県、奈良県、大分県(奥祖母のオオダイガハラサンショウウオ)で天然記念物。熊本県では指定希少野生動植物。 四国の個体群は幼生時に爪がない特徴などから、別種イシヅチサンショウウオ(Hynobius hirosei)とされる。
References: 田村 毅 (1980) 山の子とサンショウウオ、動物の記録12. 学習研究社、188pp。
(シナサンショウウオ)(Hynobius chinensis G殤ther, 1889)Chinese Salamander 分布:浙江省、湖北省、福建省。低山地に生息。繁殖期は11〜3月。
オオイタサンショウウオ(Hynobius dunni Tago, 1931)分布:大分県、熊本県阿蘇郡、高知県土佐清水市。
全長:100〜140mm。肋条は12〜13本。
低地の竹薮や雑木林の池などの止水に産卵する。繁殖期は2〜4月。卵嚢は巻いたひも状で、片側に20〜70卵含まれる。四肢は長く尾は幅広い。 レッドデータブック(RDB):絶滅危惧 [2] 類。
タイワンサンショウウオ(Hynobius formosanus Maki, 1922)Formosan Salamander, Formosan Hynobiid 分布:台湾、Noko山、Ari山の 山地。
全長:80〜110mm。肋条は13本。
標高2000mを越える高地に生息。止水性とされてきたが、近年核型や産卵状況などから、流水性サンショウウオであることが明らかとなった。
ハクバサンショウウオ(Hynobius hidamontanus Matsui, 1987)分布:長野県白馬村、岐阜県、富山県、新潟県。
全長:90〜100mm。肋条は12〜13本。
模式山地は長野県白馬村。湿原で産卵する止水性。卵嚢の片側で30〜76卵。近年の研究によりヤマサンショウウオ(Hynobius tenuis Nambu, 1991)は本種のシノニムとされる。 レッドデータブック(RDB):絶滅危惧 [1] B類。長野県白馬村で天然記念物。岐阜県では指定希少野生生物として、捕獲及び譲渡等を禁止している。
ヒダサンショウウオ(Hynobius kimurae Dunn, 1923)分布:関東西部〜中国地方。
全長:80〜150mm。肋条は13本。
産地のブナ帯を中心に生息する。体色は変異に富みブチサンショウウオと区別が困難な個体もいる。本種は基本的に茄子紺色の基調色に黄色斑紋を持つが、関東地方の個体群は全体的にスマートで黄色斑紋を全く各個体が多い。本種は主に谷の主沢で産卵し、ブチサンショウウオは枝沢で産卵する傾向が見られる。繁殖は2〜5月頃とバラつく。幼生は越年することが多い。卵嚢の片側は6〜15卵。山陰地方や関東地方の個体群で大型化し20Bを超えることもある。流水生のサンショウウオの尾の断面は丸く、止水生のものと異なる。また、幼生には黒い爪が生じる。
チョウセンサンショウウオ(Hynobius leechii Boulenger, 1887)Northeastern China Hynobiid Salamander 分布:中国北東部から朝鮮半島、済州島。
全長:85〜114mm。肋条は13本。
平地から山地にかけて生息。繁殖期は3月〜5月。湿原や湧水の流れる溝の水たまりなどで産卵。渓流に産卵することもある。 済州島産のものは近年Hynobius quelpaertensis として別種となった。
トウホクサンショウウオ(Hynobius lichenatus Boulenger, 1883)分布:東北、北関東、新潟県。
全長:100〜140mm。肋条は11〜12本。
後肢が4肢のものも多い。低地の森林から1,000m以上の山地にも生息。基本的には止水で産卵するが、渓流などでも見つかる。斑紋等の変異が大きく同定には注意が必要。標高が高くなるにつれ小型化する傾向がある。卵嚢の片側で20〜30卵。越年して変態することも多い。トウキョウサンショウウオときわめて近縁とされる。
*サンショウウオ(Hynobius mantschuriensis Mori, 1927)分布:Xiangyue County, Liaoning, China
ブチサンショウウオ(Hynobius naevius Temminck and Schlegel, 1838)分布:岐阜県根尾村以西の本州、四国、九州。
全長:80〜130mm。肋条は13本。
300〜1700mの山地に生息。山陰地方の個体は大型で13〜15Bになり、近畿、四国地方では10B程度。背面は暗紫色から黒色で、白色から濃茶色の連続した地衣類状斑や独立した銀色斑紋が散らばる。四国の個体は暗紫色から濃茶色で、オレンジから黄色の連続した地衣類状斑紋を持つ。繁殖期は3〜4月頃で、渓流の石の下などに産卵する。卵嚢の片側で10〜20卵。幼生は越年する。これまで中国地方や九州では産卵場所や幼生が確認されているが近畿、四国では確認されていない。伏流水中で産卵し、幼生期を過ごすものと考えられている。これらの個体は、別種コガタブチサンショウウオ
(Hynobius
yatsui
Oyama)とされた。
カスミサンショウウオ(Hynobius neblosus Temminck and Schlegel, 1838)分布:鈴鹿山脈以西の本州、四国東部、九州北西部。淡路島、壱岐島、五島列島。
全長:70〜110mm。肋条は13本。
丘陵地や低山地の雑木林や竹薮に生息。産卵は場所により異なり12〜3月。水田や溝や池などにバナナ状またはコイル状の卵嚢を産む。卵嚢の片側で25〜60卵。 以前はトウキョウサンショウウオは本種の亜種とされていたが、近年遺伝的にはかなり離れているとされる。しかし、温度の適応範囲が異なる個体群があり、種内でも交雑実験からもかなり分化が進んでいると考えられている。特に山陰地方の標高1,000m程度に生息する「高地型」と呼ばれる個体群は渓流の源流部に生息・産卵するものと、止水域に生息・産卵する2タイプが知られている。高地型は渓流の石の隙間に産卵し、卵数も少なく、やや大型で尾は棒状。ヒダサンショウウオと同じ様な場所で産卵し、幼生も混生している。高地型の特徴として、体側から腹部にかけて地衣類状斑紋を帯び、尾は棒状、後肢は4肢性であることが多い。兵庫県、岡山県、広島県、鳥取県、島根県で確認されており、全長は約10B程度。平地型とは形態的に異なる特徴を示すが、遺伝子レベルでは大きな差は見られないとされる。
近年、これまで本種は鈴鹿山脈以西に分布するとされ、愛知県名古屋市周辺、知多半島や渥美半島にも孤立して分布する個体群はトウキョウサンショウウオとされ、”オワリサンショウウオ”と呼ばれることもあったが、Matsuiら(2001)により酵素タンパク質の調査が行われ、愛知県産の個体群はトウキョウサンショウウオとは明らかにかけ離れ、カスミサンショウウオの変異の中に収まった。この岐阜、三重、愛知の個体群と長崎の個体群ではかなりの遺伝的距離があり、本種の地域による遺伝的変異はかなりあり、現在調査が進められている。愛知県内で調査に用いた3個体群は、名古屋市、知多半島、渥美半島のもので、中でも渥美半島産の個体群は近隣の知多半島や名古屋市産の個体群よりもむしろ伊勢湾対岸の岐阜や三重県産の個体群と、より近いという結果になった。現在のところ渥美半島が対岸の紀伊半島とつながっていたとする地理学的な証拠は見あたらないのでこれ以上は言及していない。これまでも生化学的に愛知県産個体群の調査は行われていたのだが、調査個体数が少なかったため、はっきりと本種とするだけのデータが得られていなかったため、そのステータスがあやふやとなっていた。
References: Matsui M, Nishikawa K, Tanabe S, Misawa Y., (2001) Systematic status of Hynobius tokyoensis (Amphibia: Urodela) from Aichi Prefecture, Japan: a biochemical survey, Comp Biochem Physiol B Biochem Mol Biol,130(2): 181-9.
クロサンショウウオ(Hynobius nigrescens Stejneger, 1907)分布:福井県以北の中部から北関東、東北、佐渡島。
全長:130〜150mm。肋条は11〜12本。
山地に生息。繁殖期は2〜5月。池や沼、湿地で産卵。卵嚢の片側で30〜40卵。繁殖期のオスは身体が平たく膨らみ、尾が伸張する。オスは水中の小枝や草の茎で尾を振りメスを誘い、メスはそこに1対の卵嚢を生みつけるがオスは産卵が始まるとメスに抱きつき助産行動をとる。時には10数匹のオスが放精に集まりサンショウウオ団子を作る。本種の卵嚢は白色でアケビ形で間違うことはない。中部地方の標高1,000m付近などでまれに透明の卵嚢も見られる。また基本的に止水に産卵するが、源流部や多少流れのあるところでも産卵する。またホクリクサンショウウオ、ハクバサンショウウオ(ヤマサンショウウオ)、トウホクサンショウウオ等と混生産卵が確認されている。サドサンショウウオ(Hynobius sadoensis Sato, 1940)は本種のシノニムとされる。これは佐渡島の「サドサンショウウオ」と本州のクロサンショウウオの遺伝的隔離が地質学的に15万年とされ十分でなかったために、本州産クロサンショウウオの遺伝的分化の方が高くなっているため。
References:
松井正文(1996)
両生類総論、 両生類の進化、 東京大学出版会、222-223。
Matsui, M., H. Iwasawa, H. Takahashi, T.
Hayashi and M. Kumakura. (1992) Invalid specific status of
Hynobius sadoensis Sato : Electrophoretic evidence ( Amphibia
: Caudata ). J. herpetol. 26 : 308-315.
オキサンショウウオ(Hynobius okiensis Sato, 1940)分布:島根県隠岐島後。
全長:120〜130mm。肋条は13本。
島内の山地の森林に生息。繁殖期は早春。産卵は主に沢の源流部や枝沢の標高の高い場所で見られるが、海岸近くでも見られる。卵嚢の片側で10〜30卵。幼生は越年することが多い。成体は止水性サンショウウオに似る。ブチサンショウウオグループとされる。成体は年間を通して沢で生息する。 レッドデータブック(RDB):絶滅危惧 [2] 類。
*サンショウウオ(Hynobius quelpaertensis)分布:韓国南西部沿岸及び済州島。
全長:10〜10mm。肋条は1本。
エゾサンショウウオ(Hynobius retardatus Dunn, 1923)分布:北海道。
全長:140〜190mm。肋条は11本。
山麓の森林に多いが平地や山地にもに生息。繁殖期は雪解け後の4〜5月。地域により7月中旬頃になることもある。池や沼、湿地で産卵。卵嚢の片側で20〜80卵。トウホクサンショウウオグループとされる。 止水性サンショウウオの幼生は共食いが激しく、本種などの一部の種においては共食いモルフと呼ばれる頭部が著しく巨大化する共食いに適した形態の幼生に成長する。これには血縁に関係があることが示唆されている。タイガーサラマンダーでは兄弟姉妹では共食いが起こらない。サンショウウオ科は対外受精のため同じ卵嚢でも完全な血縁は難しいが、一つの卵嚢由来でも共食いが起こるものと起こらないものがあり、それは10日以内に判定できる。一つの卵嚢を2個に分けて飼育した場合も片方が起こればもう片方も起こり、起こらなければもう片方も起こらない。また、共食いが起こっている水槽に起こっていない幼生を移した場合、共食いを始めるので能力がないわけではない。父親が同じ純粋な兄弟では共食いが起こらないのではないかと推測している。幼生は共食いモルフでなければ体長と両眼を通る頭部の幅は比例して成長するが(例:体長 22mm、頭部幅 5.8mm)、共食いモルフでは成長と共に頭部は巨大化する(例:体長 22mm、頭部幅 8mm)、全長も30mm(頭部幅9.8mm)近くまで成長する。また、成長も極端に早く室温で平均60日で変態するのに対して共食いモルフは40日で変態する。これは「他者を喰う」ことで寒冷地に適応したと考えられる。 本種は幼形成熟するネオテニーが倶多楽湖で1924年に確認されていたが、和人によるヒメマスの放流などにより全滅した。
References:
若原正己(1996)
エゾサンショウウオ幼生の共食いと血縁認識、遺伝 50(7):68-72.
若原正己(1994)
エゾサンショウウオの現在・過去・未来、遺伝
48(12):4-5.
ソナンサンショウウオ(Hynobius sonani Maki, 1922)Sonan's Hynobiid 分布:台湾中央山脈。
全長:98〜129mm。肋条は13本。
標高3000m前後の高山の森林や竹林に生息。流水に産卵するものと思われる。片側の卵嚢には6〜10卵含まれる。ブチサンショウウオグループとされる。
ベッコウサンショウウオ(Hynobius stejnegeri Dunn, 1923)分布:熊本、宮崎、鹿児島県。
全長:85〜145mm。肋条は13本。
阿蘇以南の標高500m以上の高地に生息。場所によってはブチサンショウウオと混棲する。繁殖期は5月頃。渓流の源流域に産卵。早春。卵嚢の片側で17〜28卵。ブチサンショウウオグループとされる。 レッドデータブック(RDB):準絶滅危惧。熊本県では天然記念物。宮崎県、鹿児島県では指定希少野生動植物。分布域全域で、捕獲譲渡が禁止されている。
ホクリクサンショウウオ(Hynobius takedai Matsui and Miyazaki, 1984)分布:石川、富山県。
全長:90〜110mm。肋条は12〜13本。
低地の二次林に生息。繁殖期は2〜3月頃。湿地などに産卵。卵嚢の片側で67〜107卵。発見当時はアベサンショウウオと思われたが、1984年新種記載された。トウホクサンショウウオグループとされる。 レッドデータブック(RDB):絶滅危惧 [1] B類。
トウキョウサンショウウオ(Hynobius tokyoensis Tago, 1931)分布:福島県から関東地方。
全長:90〜130mm。肋条は12本。
海抜300m以下の丘陵地や低山地帯に生息。繁殖期は2〜3月。湧水や水田、水たまり、溝などに産卵。卵嚢の片側で20〜80卵。1979年にカスミサンショウウオの亜種とされていたものから別種とされた。カスミサンショウウオグループとされるが、遺伝的にはトウホクサンショウウオに近い。連続分布西限は静岡県だが、愛知県名古屋市周辺にも孤立して分布。形態的にも異なる点が見られ、オワリサンショウウオと呼ばれる。近々、別種記載されるという話もある。
連続分布西限は静岡県東部だが、愛知県名古屋市周辺、知多半島や渥美半島にも孤立して分布しているとされ、形態的にも鈴鹿山脈以西に分布するカスミサンショウウオと中間的な特徴(1.トウキョウサンショウウオでは肋条が12本なのがカスミサンショウウオと同じ13本。2.カスミサンショウウオのように背中線が黄色くない。3.上顎の鋤口蓋歯列がトウキョウサンショウウオではU字状なのがカスミサンショウウオと同じくV字状。4.卵嚢がカスミサンショウウオのように軟らかいコイル状ではなく、トウキョウサンショウウオの様に硬いバナナ状)を示すとされ、”オワリサンショウウオ”と呼ばれることもある個体群が知られていた。そこでMatsuiら(2001)は、このトウキョウサンショウウオ愛知県産個体群の酵素タンパク質の調査を行った。愛知県産3個体群・神奈川県産のトウキョウサンショウウオ、岐阜県・三重県・長崎県産のカスミサンショウウオ、福島県産のトウホクサンショウウオ合計110個体を用い、アロザイム分析を行った。その結果、愛知県産の個体群はトウキョウサンショウウオとは明らかにかけ離れ、カスミサンショウウオの変異の中に収まった。岐阜、三重、愛知の個体群と長崎の個体群ではかなりの遺伝的距離もあり、よく言われるようにカスミサンショウウオの地域変異は大きく、現在調査が進められている。愛知県内で調査した3個体群は名古屋市、知多半島、渥美半島のもので、その中で渥美半島産の個体群は近隣の知多半島や名古屋市産の個体群よりもむしろ伊勢湾対岸の岐阜や三重県産の個体群とより近いという結果が出ている点が興味深いが、渥美半島が対岸の紀伊半島とつながっていたとする地理学的な証拠は今のところ見あたらないのでこれ以上は言及していない。これまでも生化学的に愛知県産個体群の調査は行われていたのだが、調査個体数が少なかったため、はっきりとカスミサンショウウオとするだけのデータが得られていなかったため、そのステータスがあやふやとなっていた。ちなみに内山りゅうら(2002)には未記載種オワリサンショウウオ(Hynobius sp.)として扱われている。
References:
Matsui M, Nishikawa K,
Tanabe S, Misawa Y., (2001) Systematic status of Hynobius tokyoensis (Amphibia: Urodela) from Aichi
Prefecture, Japan: a biochemical survey, Comp Biochem Physiol B Biochem Mol
Biol,130(2): 181-9.
内山 りゅう, 沼田 研児, 前田 憲男, 関
慎太郎(2002)決定版 日本の両生爬虫類、平凡社
ツシマサンショウウオ(Hynobius tsuensis Ab, 1922)分布:長崎県対馬。
全長:100〜120mm。肋条は12〜13本。
山地に生息。繁殖期は3〜4月。小さな渓流の石の下に産卵。卵嚢の片側で12〜40卵。受精率は非常に悪い。体色に性差の見られる個体も多い。カスミサンショウウオグループとされる。
(トルキスタンサンショウウオ)(Hynobius turkestanicus Nikolsky, 1910 "1909")Turkestanian Salamander 分布:中央アジア、パミールからサマルカンド。
全長:90mm。肋条は14本。
山地に生息。
コリサンショウウオ(Hynobius yangi)分布:韓国、孝岩里周辺。
全長:10〜10mm。肋条は1〜1本。
コガタブチサンショウウオ(Hynobius yatsui Oyama)分布:愛知・三重県、滋賀県、奈良県、大阪府、和歌山県、徳島県、高知県、愛媛県、福岡県、大分県、宮崎県、熊本県、鹿児島県。
全長9〜15cm。源流部の伏流水中で産卵し、幼生はそのまま変態するとされる。
References:
リュウサンショウウオ属(Liua) 1種
リュウサンショウウオ(Liua shihi)Wushan Salamander 分布:
ハコネサンショウウオ属(Onychodactylus) 2種
ハコネサンショウウオモドキ(Onychodactylus fisheri)Long-Tailed Clawed Salamander, Fischer's Clawed Salamander 分布:朝鮮半島。
ハコネサンショウウオ(Onychodactylus japonicus)Japanese Clawed Salamander 分布:本州、四国の山地。
全長:100〜190mm。肋条は13〜15本。
標高500m以上の山地に多く高山帯にも生息。繁殖期は初夏と晩秋。渓流の源流近くの大きな岩の裏や伏流水中などに産卵。そのため産卵が確認されている場所は、全国でも数カ所しかない。卵嚢の片側で5〜7卵。変態するまでに2年を要する。水温10℃で孵化に5ヶ月要する。低温期、乾燥期、高温期などは湧水の豊富な渓流付近の地中などで生活あるいは休眠する。本種は成体では肺を持たない。西日本の個体群は分布が不連続で体色など異なる点が見られる。西日本の個体群では背面に赤色斑紋を持ち、東日本の個体群では背面に茶褐色の連続した斑紋が現れる傾向がある。分布境界や一部の地域では中間的な特徴を持った個体や東西のタイプ等が見られる。 福島県檜枝岐村では6〜7月に民宿で天ぷらや唐揚げにして出される。本種は環境変化に敏感で弱い種であるため、安定した水源深くの産卵場所を破壊するような調査や採集は慎まなければならない。
References: 飯塚光司(1995) ハコネサンショウウオモドキとモンヘビトンボ、遺伝 48(9):75-76
フトサンショウウオ属(Pachyhynobius) 1種
フトサンショウウオ(Pachyhynobius shangchengensis)Shangcheng Stout Salamander 分布:
*サンショウウオ属(Pseudohynobius)
*サンショウウオ(Pseudohynobius tsinpaensis)
*サンショウウオ(Pseudohynobius
flavomaculatus)
セイホウサンショウウオ属(Ranodon) 2種
*セイホウサンショウウオ(Ranodon sibiricus Kessler, 1866)Semirechensk Salamander, Central Asian Salamander 分布:カザフスタン南部のJunggarian Ala Tau、新彊ウイグル自治区北西部。
肋条は11〜13本。
繁殖期は4月下旬から8月上旬。渓流の源流部などで産卵。片側の卵嚢には38〜53卵。幼生は越年する。中国では漢方の原料となるため個体数は少ない。カザフスタンでは保護されている。
シンパセイホウサンショウウオ(Ranodon tsinpaensis Liu and Hu, 1966)Tsinpa Salamander 分布:中国の四川省、貴州省、湖西省、湖北省、陜西省。
全長:119mm〜189mm。標高1700m〜1860mの山地性。
日本遺伝学会第73回大会 一般講演 要旨
黒尾正樹(弘前大・農生)、長谷川葉子(弘前大・院理)、池部千賀子(東邦大 ・薬)、呉 貫夫、曽 暁茂(中国科学院・成都生物研)、河野晴一(東邦大・理)
高頻度反復DNA及び核型を指標としたサンショウウオ科3種の系統関係の推定
核ゲノムの同祖的高頻度反復DNAの塩基配列を指標として,サンショウウオ科(Hynobiidae)に属する3種のサンショウウオ(Pseudohynobius flavomaculatus, Ranodon tsinpaensis, Ranodon shihi)の系統関係の推定を試みた。これら3種の分類には複数の異なる意見があり,形態学的差異が顕著な後者2種を別属とする意見もある。本研究における高頻度反復DNA及び核型分析の結果は,後者2種を同属とする意見を支持するものであった。
References:
池田純(2001)、Aqua life、Jan.137
キタサンショウウオ属(Salamandrella) 1種
キタサンショウウオ(Salamandrella keyserlingii)Siberian Salamander, Siberian Newt 分布:北海道(釧路)、ロシア西部からモンゴル北部、中国北東部、朝鮮半島、サハリン。
全長:80〜120mm。肋条は13本。後肢は4本。
釧路では湿地帯に生息。繁殖期は4月中旬から5月中旬。湿地帯の中の野地坊主などに産卵。卵嚢の片側で50〜90卵。有尾類中最も分布域の広い種。 レッドデータブック(RDB):準絶滅危惧。
ロシアにおいては、全長130mm。肋条は14本。ツンドラやステップなどに生息。夏の間の3〜4ヶ月だけ活動。成体は-45℃においても凍ることはない。卵数は50〜60。短い期間なら卵は凍っても生き延びることができる。孵化時は約10mmで約45mmで変態する。
References: Richard A. Griffitihs (1996) Newts and salamanders of Europe. Academic press. 165-166.
References: 松井正文(1996) 両生類総論、 両生類の進化, 東京大学出版会: 37.
池田純(1996)世界の両生類、爬虫類、両生類800種図鑑、ピーシーズ、290-295
立脇康嗣(1999)山椒魚雑話、環境科学ニュース NUE、環境科学株式会社 6:3-4.
立脇康嗣(2001)山椒魚に魅せられて、環境科学ニュース NUE、環境科学株式会社 10:10-17.
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