ライトノベル・クロスレビュー

いい年をした大人4人が、大真面目にライトノベルを評価する企画コーナー。

30代からのライトノベル入門として参考にしていただければ幸いです。

傑作・珍作に関わらず、バラエティ豊かなラインナップになるように選出した6作品を、
10段階評価で採点。

それでは、まずは総合順位から発表します。


 

総合順位
 

順位

タイトル

点数

「わたしたちの田村くん」

(竹宮ゆゆこ/電撃文庫)

31

2

GOSICK

(桜庭一樹/富士見ミステリー文庫)

26

3

 

「失はれる物語」

(乙一/角川文庫)

25

4

 

「されど罪人は竜と踊る」

(浅井ラボ/角川スニーカー文庫)

22

5

「撲殺天使ドクロちゃん」

(おかゆまさき/電撃文庫)

18

6

「今日からマのつく自由業」

(喬林知/角川ビーンズ文庫)

15


総評

意外といえば意外な、ラノベの必須要素と言ってもいいSFやミステリーの要素のまったくない、オーソドックスなラブコメが首位を獲得するという結果に。ヒロインとの甘酸っぱくもほろ苦い青春劇が、30代男性のノスタルジーのツボをついたということでしょうか(笑)。
しかし、作品としての完成度が高いのはこの点数が証明する通りで、およそ美少女というものに理解を示さない御仁でない限り(笑)、読んで損をするということはないでしょう。女性の作者特有の柔らかいタッチとシビアな視線のバランスが絶妙。
桜庭一樹の作品は、いつもの女史らしからぬ王道展開で、ラノベのど真ん中に快作を叩き込んだ、という感じ。商業的に、ジャンルに迎合したと言えなくもないが、大の読書家である作者らしい、過去の名作の様々なギミックを駆使して描き上げた、極めて構築性の高い一冊。
「失はれる物語」「されど罪人は竜と踊る」は、得点なしの評者が出たにもかかわらず、中位にランクインしたハイアベレージの作品。ラノベらしいアクの強さ(もしくはラノベらしくない部分)に抵抗がなければ、オススメできる佳作。
「撲殺天使ドクロちゃん」は、予想していた通りに評価真っ二つの問題作。しかし、このような作品が出版されるところにラノベの真価があるような気がしてなりません。
最下位に低迷した「今日からマのつく自由業」は、女性向けレーベルの作品ということで、おっさんばかりの評者の中では厳しかったか。だが、今回の課題図書の中では一番売れている作品であることも間違いなく、レビュアー層によってはもっと上位に食い込めたはず。
奇しくも超常的な要素のない青春小説、本格ミステリがワンツー・フィニッシュを飾った今回の結果。すなわち、30代からのラノベ入門として言えることは一つ、
「ライトノベルの中に、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者の出てこない本があったら、それから読んでみなさい。以上!」

 

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