10月26日(土曜日)

8時起床。びしゃびしゃ雨が降っていた。NH205便パリまで直通11時間45分のフライト。 出発が早いので成田のホテルに前日から泊ったのだが、なかなか不思議な気分だった。 だって空港ってどこの国でもどっか“外国”で浮き世ばなれしてるからね。 道中これといったこともなくCDG到着。実に15年ぶりにメインターミナルに着く。 この胎内めぐりとフレンチSF(アルファビル!)がごっちゃになったような空間よ。 ツアーマネージャーであるボルドーのSonore Records代表フランクのバンに乗り込み、モンマルトルの北 ラマルク通りにあるHotel Flore着。 サクレ・クールまでプチ観光。いいじゃん、晩秋のパリ。こうして夕暮れ時に一人で 歩き回るのは本当にいい気分。パートナーとの二人行動が習慣づいてくると、こういう ことをしなくなる癖みたいなのがついちゃうから、なるべく独りを保つのはいいこと也。 近くのクスクス料理店でディナー。大盛りの鶏肉。皮パリパリでうまいが、おなかいっぱい でごめんなさい。 最後にのんだアフリカの甘い緑茶(すごーく甘いけど、ミントの爽やかさがあとにのこる) がうまかった。 10時頃ホテルに戻ってシャワー。水がはねてびしゃびしゃになる蛇口に「あぁ、ヨーロッパにまたきたよ」 と実感す。
10月27日(日曜日)
11時半頃寝たが午前2時、5時に目が覚める。典型的時差ボケ。7時半に「もういいだろう」と朝飯を食いにいったら まだ6時半だと。今日でサマータイムが切り替わったのだ。どうりで外が真っ暗だと思ったよ。 CNN予報によれば今日の最高気温は13度(パリ)。風がよほど強いらしく、雨も降るらしい。ってことは嵐か?運転大丈夫かなぁ? 昨日フランクがKJ法みたいな小さなメモに 実に几帳面な行程表を作っててほーっと思ったことだが……。 やっと7時の朝食。フランスパンのあまりのうまさに感動し、たっぷり食べる。 食後、部屋に戻ってボーっとしていたら、思わず江崎さん入る(そういう人が神戸にいるのですよ。壁のしみやなんかに感動してぼーっとする人が)。 窓外の灰色の壁があまりに美しいんですもの。ただの灰色レンガに無数の表情を感じる我。 10時出発。さすがにフランスはでかい。リールまでが長かった。アントワープを越えてから ぎっちり渋滞。2時間高速でパックされる。ベルギーやオランダの高速はインフォメーションが 極度に少ない(あってもオランダ語)のでまいる。ハリケーンまがいの暴風が吹いていたので 橋の通行規制をしていたからなのだが、あとできいたらアントワープから電車がとまっちゃったとのことで アンラッキーなようでラッキーだったのか……。 初日の小屋は「WORM」。ロッテルダムのエラスムス橋の近くにある元倉庫って感じの場所。 建物全体をゆらしかねない風が吹きつけ、中はひんやりどころか……寒い!が、サウンドチェック。PAの名前はたしかヨハン。 本番10時〜。ヲノ、私、カールの順にやる。 ヲノさんの演奏には、いつも「音楽とは何か?」を改めて教えられる気がするし、 カールさんには音楽が壊れた後にゾンビのように立ち上がる新しい音楽があると感じさせられる。 私は「オランダ人が外人がオランダ語を話すのをきくと無邪気に喜ぶ」ことを知っていて オランダ語のネタを使ったのではなはだずるいが、案の定喜ばれる。 皆にょきにょきと背が高い。なかでもにゅーっと高い店のコとしゃべってて、 「なぜオランダ人同士でも英語でしゃべったりするのか?」の謎がとけた。 「学校でずっと習ってるから、第二外語として定着してるし、オランダって国が小さいでしょ? だからずっと貿易で食ってたってのがあるし、僕らは特にその中でも英国とアメリカに フォーカスして暮してきたからじゃない?」とのこと。 WORMは残響こそ、それほど長くないが、名古屋のartportや大阪の築港にそっくり。 内装として、床に芝生(ほんもの)が植えてある。こいつのせいで、残響がやや押さえられているらしい。
10月28日(月曜日)
 午前2時、やっと町の中央にあるHotel Bazarに送ってもらう。部屋あけてびっくり! これはアラビアンナイトの世界ではないか? とりあえずきらきらするビーズやベルベッドに囲まれて3時頃就寝 ――と思ったら5時半に目が覚める。疲れすぎ、時差ボケのダブルパンチでどうにもこうにむ眠れず。  7時、夜があけてくると、向かいのビルが紫に見える。夢かうつつか。近づいてみたら カーテンが紫のレースだったのだ。イリュージョン!  8時にガバと起きて朝食。これまたビックリ。WORMのサシャ(オーガナイザーの一人、男性)が「Bazarは朝食がいいらしいよ」 てなことを言っていたが、これは「いいらしい」ぐらいではすまされない。すべてが完璧。 「honey」がついているのだが、honeyとはハチの巣からさっきこそげおとしてきたようなほんまもんの蜂蜜。 ヨーグルトも生フルーツ入り。おいしいパンケーキ。クリームチーズといったらほんとに クリーミーだし、トルコチーズというのもはじめて食ったがクセがなくてうまい。絞りたてのオレンジジュースつき。  ちなみにBazarは朝食付シングル60ユーロ、ダブルでも66ユーロとリーズナブル。 (Witte de Withstraat 16, 3012BP, Rotterdam. tel 010-2065151, fax 010-2065159)  ホテル向かいのオーナメント屋でお買い物。ちょっと散歩もしたが、ますますロッテルダムが好きになる。    さて出発。昨日とうってかわって暑いぐらいのインデアンサマー。車中、ヲノ氏に大学の授業の話など伺う。 テクニックや理論よりアイデアの出し方を教えるとのこと(紙一枚やぶいて、その音サンプリングしてみろ、とか) なるほど。  例によって渋滞。牛に囲まれた状態で1時間スタック。昼食はサービスエリアでステーキを食す。まぁまぁ。ビールつけて25ユーロ。  ベルギー・ゲントの会場は小ホール的なLOGOS。 ここのオーナー、ゴドフリーが作っているオートマタ(狂気の発明楽器)の数々がずらり。明和電気が子どもに見えるよーな“大人の偏執”を感じさせる。 パートナーのモニークは藤本由紀夫氏がキッチュに化けたような自作オルゴール製作者&パフォーマー。 ガラス箱にビー玉入れただけで、ころがすと「海の音がする」やつなんか、ポエムですね。  こういう自作系の小屋(その他の場所もとにかくすごい)に来ると“ものづくり”の苦しさとかスランプよりも “楽しさ”が圧倒的に前に出ててハッピーになれますね。  ギグはカール(初期作品を思わせるロマンなグラニュラー)、ヲノ(ネタ同じでも曲は昨日と全然違う。さすが)、Yukoの順。場所に雰囲気があるので、すこし歩いたりして パフォーマンス的にやってみた。ネタはオランダ語カセット。ほら、ベルギー人はこんなことに いちいちはしゃがないでしょ?(笑)  モニークに「コングラッチュレーション」と言われ、花束もらい、若いスタッフのハンス(王子様風好青年)とトルコ風のうまいピザ食って 深夜12時ホテルSt.ジョセフに撃沈。ゲントはこじんまりして、とってもきれいな町でした。
10月29日(火曜日)
 6時起きで7時出発。今日はベルリンまで行かないといけないから。 はじめて目覚ましに起される。もっと寝ていたいとも思う。これすなわちちゃんと寝られたってこと。  曇天の下、ゲント→アントワープ→エッセン→ドルトムントときて、現在ハノーヴァーの手前。午後0時50分。  オランダやベルギーに比べてドイツの風景はやや退屈だったのだが、このへんは畑地がふかふかしていていい感じ。 時折風力発電の風車に迎えられる。  昼食、サービスエリアでポークチョップ。ヲノ氏のシュニッツェルを一口もらったら、えらいうまかった。それにしてもヨーロッパ(特にドイツ)のサービスエリアの売店では当然のように酒を売っているのに驚く。当然ワインを飲む。  その後ずーっとずーっとドライブしていたら、当然だがベルリンに着く。なるほどこれは森の中の都市だな。 森に囲まれてヒューマンスケールを越えたでかいビル、広い道。私がナビをする。 ティアガルテン、天使像、ブランデンブルグ門、ウンターデンリンデン……大都市にはじめて、 それも日の暮れ頃に入ると感動するもんだなー。  話にはきいてたけど……てなモニュメントをあれこれ目のあたりにしてキャアキャア騒ぎ、写真をとる。  5時すぎ、旧東側のアレクサンダープラッツ近くにあるPODEWILに着く。  ミュージックキュレイターのエリカ(よくしゃべる大人な女性)、カタリナ(若い、いかにもベルリナー風のパンクファッション)、ハンス(ドイツの正直なイモ兄ちゃん風のPA) に会い、サウンドチェック。エリカとごく近くの恐ろしく古そうなアイスバイン屋へ。 ビーフグーラッシュを食すが、塩からいよ、これ。アイスバインを食ったカールさん、 魚を食ったヲノ氏にきいたら、みんな似たような塩味だったらしー。ビール(クマのマークのベルリナーピルスナー)はうまい。  PODEWILのクラブスペースでなぜかshittingのライブ開始10時半。今日は私が最初。 話にはきいてたが、ベルリンのオーディエンスは熱心で熱い。お誉めの言葉、多数いただく。 カールさんはGruetagruetz(だっけ?そういう名前の曲)を演奏。ヲノさんのサンプラーピアノ弾きも熱かった。    ハネたら1時をまわってて、結局街の反対側にあるアコモデーション(誰かさんの家)についたら3時だった。撃沈。 次へ