第十一話 

 外国で見る日本のニュース


 この頃はパラボラアンテナが普及して世界中のニュースがパラグアイでも見れるようになりましたので日本も含め情報が豊かになりました。以前、当地の新聞にも掲載されましたが「日本にはマジンガーZのようなロボットがいるので治安がよいんだろう?」とか「女性はみんなおしんのようにつつましくいつも着物を着ているの?」などの質問をよくパラグアイ人からされたものです。最近ではもうこういった類の質問は皆無となってしまい情報の氾濫が果たして良いものなのか自分勝手ですが以前の方が良かったなあなどと考えてしまう時があります。一方外国にいて日本のニュースを見てますと、先の話とは又違うケースですがあきらかに偏見だと思われる間違った報道もかなりあります。しかし見方を変えてみますと「ああ 日本だなあ」と新たに再確認させられることが少なくありません。

 大分前になりますが神戸大震災の時にブラジル人のインタビュアーが現地に行き、自宅が全壊し一家全員が呆然と道に座り込んでいた場面でしたが彼がこの度は大変でしたねと声をかけると一家の主が「いいえ私のところは大した事はありません。それよりうちの店の男の子の実家に何度も電話をかけてますが通じません心配です。今日は無理して来なくていいから気丈でいるよう伝えてください」としっかり答えてました。それから廃虚となった街からなおもネクタイをしめ背広を着て来るはずもない便を待つサラリーマン達の姿があり特に戦争を体験された方達ほどしっかりされ若い世代ほどパニックに陥りある年配の方が話された「終戦時に比べれば大したことはありません、また今から始めればよいだけです。」と淡々とされておりアナウンサーは「私はサンフランシスコ震災の時も行きましたが、民衆はパニックとなり大変でした。日本人というのは類まれな民族です驚きました」と感心してました。

その後、水の配給に並ぶ人達の列をカメラがとらえました。ちょうどその時最後の列に並ぼうと最新型ベンツを乗り付け一人の貴婦人が大きな水の容器を持って並ぶところでした。早速彼はこのたくさんの宝飾を身につけた彼女へ質問しました「見たところあなたは、裕福そうで何も困ったようには見えませんがどうして水くらいお金を出して買わないのですか?」と外人ゆえに許されるような失礼な事を尋ねると彼女は「いいえ、そんなことをしてはいけません。これは日本人としての当然な義務なのです。」ときっぱり答えさすがにインタビュアーはバツが悪かったのか謝りところでこれからどちらへと聞けば「はあ、実は運転手を長田区の実家に帰したもんですから、今から有馬温泉まで洗濯に行こうと思ってますの、ホホホ」と答える始末で彼は理解しかねるといった顔をしていました。

 また別の番組でこれはメキシコ人のインタビュアーでしたがオウム宗教に対する取材で彼はオウム教が経営する店へ行き女子学生たちがキャーキャーいいながら上祐さんの写真つき中国服を奪いあうようにして買っているところに彼が「この人は何をした人か知ってるの?スターでも何でもないんでしょ。どうしてそんな服が欲しいの」と尋ねると彼女らは「ええー何でだって可愛いじゃん。今日本じゃ流行ってんだよ」と相手にもされず彼もまあ日本の娘は子供だなあという感じで諦め奥の喫茶店に行きました。そこにはどこかの役員でもやっていそうな割腹の良い方がハルマゲドンまんじゅうとコーヒー付きセット¥800というのを食べており彼はすかさず「あなたは常識もおありな方のように見えるが、どうしてハルマゲドンなどという非常識な物を食べるのです。こういうお金が彼らの資金源となり新たな犯罪を犯すとは考えたことがありますか?」とさすがに前の女子学生とは違って強い詰問をしました。するとかえった答えが「何でって?だって美味いよこれ。  しょっちゅう来て食ってるし俺は無宗教だから。そんなの気にして食ったりしてないからなあ」 

 日本には人口の3倍くらいの宗教人口がおりこれはどういう事かというと一人で複数の宗教を持つことや無宗教だと答える事がちっともおかしくない風潮が日本にあるためでカトリックの彼らからすると異次元の者のように思えてくる訳です。それにしてもこういったニュースが国外に流れ、見ている人達はそれぞれの感想を持つでしょうし私のような日本生まれは上のような人が日本にはたくさんいる事は知っていますし決して否定はできません、しかし南米にいますと日本人が外人から敬意を持たれていることはしょっちゅう聞きます。ひとえにこれは何十年も前に移住され苦労してきた日本人移住者たちの努力がある訳で前のようなニュースが流れもし偏見や誤解を持たれるようなことがあれば日本人にとって非常なマイナスであると思います。近頃の日本のニュースやテレビを見て残酷でまた日本でしか受けない低俗なものばかり、今私なんか日本に帰りたいと思う時は食べ物しかありません、それでも故国なのだから悪いニュースは流れてほしくは無いですね、しかしこればっかりは思うようになりません。


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