
盗む人より盗ませた方が悪いと言うのがラテン
小さいものは忘れましたがもう6回以上は泥棒さんには訪問されました。当地の言い方をすれば罪作りなことをさせてしまったというかそれともクリスティアンの考え方をすれば相手が望むものを分け与えたと言えばよいのでしょうか?
以前うちの店で働いてくれていた女性でしたがとても働きもので人に商品を売るのも上手な娘でした。私としては「久しぶりに良い娘が見つかった」と喜んでましたしその上彼女は困っている同僚に気前よくいつもお金を貸してあげたりする天使のような存在だったのです。一ヶ月くらいたってから気づいたのですが、どうも売れてるわりには売り上げが少ないように思え自分が替わりにキャッシャーをすればやはり増えて彼女がやると少ないのです。いくら店では天使のようでも私にとっては死活問題ですので何度か遠くから監視してますとある日現場を見つけたのです。私は「どうしてこんな事をするんだ!信じていたのに裏切られたよ全く」と言えば彼女は「あなたはどうして鍵を置いていくの?本当に大事なものなら人に盗って下さいと言わんばかりに開けていかないでよ」と言う始末で全く謝りません。「じゃあ俺が悪いって言うんだな。ずっと横にいて監視しなきゃいけないとでも言うのか」と言えば彼女は「その通りです。あなたは私がみなにお金を貸して貧乏なのは知っているはずです。お金が喉から手が出るほど必要なのは分かるでしょう?あたしだってあなたが鍵をかけていくか横にいれば危険を冒してまで盗んだりしないわ神に誓ってもいい」と言うのです。この理論は全く理解できませんでしたが神に誓うまで言われた為、「よし!今の言葉を忘れるなずっと横で監視するからな」ということになりその後二週間が過ぎ、言われる通り平穏無事で良かったと安心しましたが考えてみると「これなら自分がキャッシャーやってんのと同じじゃないか」と何か釈然としない気分でした。
他には家の裏にある倉庫へ泥棒が入ったときですが壁に1mくらいの穴があいておりジャージやシューズがたくさん盗まれました。警官が言うには「非常に鮮やかな手口だ!007並みの仕業師だねこの事件は迷宮いりだな」との事でしたが、マヌケな泥棒で自分の汚れた服を新しいジャージに着替えていったらしく自分の服は置いていて中身を調べると身元が分かりそうな運転免許や市役所の税金払い込み書があったので私が警官に見せると彼は「ううーんこんな物があったの?バカだなこいつは早速調べてみよう」と言いそれから何年も待ってますが全くその後進展がありません。これだけ証拠があっても捕まらないのだから、もうやる気がないとしか思えません。
それからもう警察に頼ってもだめだと自分でガードマンを雇いました。その頃私は当地の日系人野球大会に出てハッスルしすぎ足を骨折したりでまあ踏んだり蹴ったりの日々を送っていましたが、ある晩昼間ずっと寝ているため夜ふけ寝れずに「ああこんな地球の裏側まで来て何でこんな目にあうんだろう」と考えこんでました。すると外でノコギリでもひいているような大きな雑音がするのです。時刻は午前3時、誰かが大工仕事をする時間でもなく私は松葉杖をつきながらそっと扉を開けば何と3人くらいで家の鉄の門を切っている最中でした。あまりの大胆な行為に腹も立ち私は引き出しから38口径のスミス&ウェッソンを出し扉を開けると同時に彼らの3m位手前を狙い撃ち込んでやりました。しかし片手で撃ったために大きくそれ鉄門に当たりもしかしたら相手に当たってしまったのではと私は慌ててしまい階段から落ち泥棒達もまさか撃たれるなどと思ってなかったのか皆無事に逃げてくれました。興奮も収まりしかしガードマンはこの騒動の中何をやっているんだと思い出し、私はまたヒビの入ってしまった痛い足を引き摺り庭まで松葉杖をつき冬の8月気温は4度くらいの凍てつく寒さの中歩いて行きました。
そこで私の見たものはどこから持って来たのかマットを敷き分厚い毛布に包まり横には電気ストーブをつけ頭には毛糸の帽子までかぶって気持ち良さそうに寝ているガードマンその人でした。しばらくはあまりの怒りに口もきけず10分位見たくもないそいつの子供のような寝顔を見てもう起きないと判断しましたので松葉杖で頭を叩いてやりました。それでようやく目を開け私を睨み{なあんだこいつか}という表情で又寝ようとする為私が「起きろ!なに寝てんだお前は。」と怒れば彼が言うには「うるさいなあ。俺は目をつぶっていただけだ寝てなんかいない」と言い逃れ私も「ばか野郎!俺はこの寒い中ずっとお前が寝てるのを見てんだよ。何があったか分かってんのか泥棒が来たんだぞ!それで俺がピストル撃って大変だったんだ」と言えば彼は落ち着いたもので「それで奴等はどうした?」と尋ね自分がもう逃げて行ったと答えると「良かったじゃないか」と言いまた眠りにつこうとする大馬鹿者で泣きたくなってきました。当然のことながら解雇しましたがその後の3人も同じようなもんです。今は頼れるのは犬しかいないとやっと気づいた次第でそれからは一度も被害に遇いません、まあ回り道をしましたが仕方ありません。
南米でよく泥棒にやられたというと皆から{いいなあ裕福なんだ。我が家に来たって持っていくもんなんか無いもんなあ羨ましいよ}と言われあげくの果てには{それだけやっても盗んでいく奴は偉い。特殊技術者だね、その仕事にその位の値はある}と誉める輩もおり近頃はもう相談するのをやめました。ただ悲しい習性ですが物を置けば必ず盗まれるし盗まれた自分が悪いと心に誓っているため日本に帰国した時などその癖が出てしまい情けなく恥ずかしい思いをした事も数多くあります。ただ私は思うのですが彼らを一概に非難できないのは誰でも子供のころ欲しいものを万引きした経験があると思いますが彼らのそれもこれに近いのではと考えるときがあります。どうしてかというと見つかってもし舌をペロと出して笑って物を返すようなケースがあり刹那的に物を欲しがるようであまり計画的な犯罪は多くありません。ということは持ち主さえしっかり管理すれば盗まれないわけで彼らに{罪作り}をさせなくてすむのです。ですから年末海外に旅行される方も多いでしょうが盗まれたことでその国の印象が悪くなるよりはその前に盗まれない努力をするよう心がけて下さい。しかしあまりこんな事ばかり考えて旅行しても面白くないでしょうからほどほどですよね。
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