第二十七話 

 マニュアルがない、それが南米。


 南米に住みだしてずいぶんと年月がたちましたが、レストランあるいは買い物に行って応対してくれる人それぞれに個性がありお決まりのフレーズというのが無いんですね南米は。日本ならファミリーレストランなどでは、もう機械と話しているのではと思えるほど画一化した注文の取り方で便利ではありますがなんだか南米に住むうちに味気なく感じ出した私なのです。

 昔、来たころよく行ったレストランでしたがメニューに載っていなくても絶対に無いと言わないアキンドの鏡と呼びたいようなコックがいました。まあ時間はあるからいいのですが最低一時間は待たされ皆も「どうしてあんなに時間がかかるのだろうか?」とある日奥の調理場を観察していましたら、注文を受けてから買い物に行きどうも調理方法を友人の食堂に聞きにいっているようなんですね。彼にそれを追求すると「ウチは新鮮さが売り物さ今買ってきたものを料理したほうが旨いに決まってるだろう、料理のレシピだってうろ覚えだったりするから肝心なところ聞いてくるのよ」と答えさらに調理場を探しても冷蔵庫が無いのですね。可哀相なのとまあ結構旨いのでその後も通っていた訳です。

 ある日昼ご飯を食べに行ったところ彼が「活きの良い地鶏が手に入ったんだ、今日はこれを注文してくれよ」と血だらけのニワトリを脚からつかんで我々に見せるのです。気味は悪かったのですが又改めて買い物に行かれると時間もかかるのでそれにしようとなりました。結構出てきた料理は旨く地鶏なので味があり「なかなかいけるな〜」とコックに言えば彼は嬉しそうに頷くのでした。それからしばらく彼の鳥料理は続き一週間たったころ警官3人が彼に職務質問をしていました。聞いていると「おまえの犬が毎日警察署でかっているニワトリを盗んでいくと情報が入ったがどうなんだ?」と追求しており彼も平然を装って知らないとつっぱねていましたが庭には犬さんが食べれなかったトサカやクチバシが梅の花でも散ったかのように散乱しているのをもう一人の警官がみつけ、彼も観念したのか「オレは知らない。犬が持ってきたんだ。そしてオレは食ってなんかいない、そこにいる日本人たちが毎日食べた」と矛先をかえ結局おまえらも同罪だと始末書を書かされ彼は留置所に連れていかれました。彼はその後ウェイターとしての素質をかわれ店をしめ他のレストランに行きましたが相変わらず「その品はありません」と答えないサービス精神が災いしていつも調理場のコックとケンカしていました、今はどこにいるのかなあ?

 マニュアルといえばPCにインストールするCDの説明書にある日本語が全く理解できない私は(未だによく分かりません、ああいうマニュアルを書く人の日本語学テストしてみたいですよ全くぅ)先日間違って買ったブラジルのCDーROMのマニュアルを読んで猛烈に感動したのです。なぜなら私にも分かるんです、そのインストールのやり方が。どういうことかと申しますとブラジルの場合とても優しいんですね説明文字がまた次にいくための指示も「いいわね、左のボタンをクリックするのよぅ間違って右を押したらダーメ。そしたら次の文がでるけど慌てちゃいけないわ。ゆぅくっり読んで次に行くの、じゃあいいわねハイマウスの左を一回押して〜緊張しないでいいのよ」といった調子で決して日本語のように「このまま作業を継続すると正常に起動しないか、あるいは現在お持ちのデータが破壊される可能性があります」とガン宣告でもするような傷つく物言いはしないのです。ハマりました私は、今後は日本語なんかのマニュアルは読みません。もっと人に優しい、そのかわり子供の絵本のように分かりやすい文字でつづられた分厚いブラジルのマニュアルでインストールするのです。でも日本語CD−ROMの方を皆さん貸してくれるんですよ、誰か簡単な日本語に直してくれないかなあ〜

 やはりマニュアルは人に優しくなければいけません。通えたい内容さえ伝えたら簡潔に言葉をはっしょても構わないなんて考えマニュアル作ってはいけないんです。読めない人が悪いんだ的な表現はしてはいけないと思いますね。ブラジルのように子供だって読める文章にすべきです。これからどんどんインターネットやPCが一般化していく時代なんでしょうがそのうち日本語のマニュアルが南米風に修正されひょっとすると日本に輸出されたりする時代も来るかもしれないですよぉ〜  


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