
沈黙は金じゃないのが南米。
「沈黙は金なり」とふつう言われますがラテン国の場合は黙ってばかりの人はアンティパティコ(無愛想なやつ)、代わりに全く人の話を聞かず10分位はずっとしゃべり続ける人のことをシンパティコ(陽気でいいやつ)と呼ぶようで、日本人のようにニコニコしながらナニもしゃべらず首を縦に振るばかりの人間はナニ考えてるのか分からないとラテン人にはどうも不気味に映るようです。日本男性と国際結婚をしたラテン女性の約70%以上は夫が「愛してるよ」よいう言葉を言わない為に{もう私を嫌いになったんだわ、それとも誰か他の女に言ってるのよ・・}と疑いをかけることが多いと聞きます。確かに日本の男はテレやが多く独身のときには何度も言えた熱い言葉が結婚後また子供もいる前で言えるようなタイプはそう多くないとは思います。と書いていながら思い出したのですが私の妻はパラグアイ女性なのですが前に日本から来た旧知の夫婦が帰るので飛行場まで見送りに行った時でしたが、彼らがゲートをくぐり去った後妻が言うには「日本人って冷たいわね。何十年ぶりで会って又別れるっていうのに、ちょっと頭下げて手を振っただけでハイさよならだもの。結婚する前に気付くべきだったわ」なんて文句を言われ私が「あのねぇ日本人ちゅうのは言葉なんかで表現しなくても心は通じあえてんの。べらべら言葉並べてベタベタ抱き合ったりしなくても分かりあえる民族なのよ」と言い返せば「バッカでないのあんたって。夫婦やってもわかんないのに何十年も会ってなきゃ考え方だって変わってるわよ。ナーニあほ言って」と終いには夫婦喧嘩にまで行着き結局、「お休みのキッスできない」「愛してるよと繰り返し言えない」「今日1日あったことを家で報告しない」ぼくは完璧な日本人一世、ダメな男、神様でもないくせにしゃべらなくても心通じ合えていると錯覚しているヘンな外人と烙印を押されてしまっているのです。(なんだかとっても淋しい、でも今更外人になれないし・・・)
しかし就職したくてやってくるここの人達と面談していると「まぁこれだけ自信を持ってるやつって珍しいな」なんて思う方達が本当に多いですね。「五カ国語堪能、大型貨物車運転の熟練者」というふれ込みでやって来て話し始めたらもう止まらず「僕は昔から自分は前世、日本人じゃなかったのか?と考えていた」「ここのヤツ等は本当に仕事をサボるばかりで使い物にならない」などと言いどれだけ自分が優秀な男かを約15分延々と休むことなく語ってくれました。「しかしそれだけ才能があったら他からも誘いは多いだろう」と言えば「大きな店は成長がないよ。ぼくは成長段階を好むのさ」なんて言いながら「あの大きなスーパーマーケットの在庫管理はオレがやったんだがね」と私の友人の店名をあげたので{怪しいな、こんなヤツいなかったぞ}と考えなおし「何語が話せるの?」と話を変えて訊ねました。「ヘッロー、ニイハオ、オブリガード、ボンジュール、安いよ」の五カ国語をつっかえながらも思いだしながら話すのでもう哀れになりそれ以上の追求はやめ、大型車の免許は?と聞けば「ない。というかこの国では僕等には免許はいらない警官に止められても小遣いですむのさ」というのに呆れた私は「後日また来て」と帰ってもらい以前働いていたというスーパーのオーナーにすぐ電話しました。「ダビデのやろう、アイツぅそこに来たの?ひでえヤツよ。口がうまくて皆騙されちゃって、品物横流しするわ売掛金を集金に行かせてもダメ。最後にキャベツの葉むしらせてたけど三日後いなくなって後で分かったのは売掛金も使いこんでたんだよ、今度来たら必ず連絡ちょうだい絶対よ!」と聞くに至りもうガックと疲れてしまいました。
こういう場合我々日本人同士なら「馬鹿だな〜もうどこ行っても使ってもらえないな、そいつは」なんて考えますがここでは全く問題なくまたヨソでも同じことやって上手い事生きているようです。私なんかもしょっちゅう街で昔悪いことやって逃げたやつらと会いますが、皆へっちゃらです。全然気にしていません、明るく何事もなかったかのように爽やかに挨拶してきて{いかに自分が悩んでいるか。あなたに返さねばならないお金のことは片時も忘れたことなんかありゃしない。辛くてたまらないがもう少しの辛抱だ。みんなこの国の政治が悪い}と大統領のせいにしたり大豆の相場やラニーニャによる気候の温暖化に対する杞憂まで語り終え「ちょっと忙しいから」と慌てて去って行くのを黙って見送る私はとってもマヌケだと思うですが、もう諦めました。怒っても仕方ありませんしあれだけしゃべって煙に巻いてしまう彼らに脱帽です。沈黙は金なりなんて南米で言ってる人なんかいるのかな?
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