
パラグアイに住んでみたい方達へ(後編)
いやな予感はしていたのですが、やはり税関吏に止められ「どこから来たんだ?」と訊ねられ{いやあ失敗したなあ、これってやっぱり密輸なんだよな}と内心ビビっていたのですが、我々をヒッチハイクした若い女性が彼の手を握りちょっと小額紙幣をあげてうっふんと笑うと税管吏もエヘっと笑ってウィンクして簡単に通してくれました。「はあ〜鮮やかなもんだな。密輸って明るくやるんだね。」とやがて自分がその仕事に深く関係してくることなどその頃は夢にも思わず感動したものです。(人間の運命は分からない・・)パラグアイに入っていろんな国の車やリヤカーが走る中ある一台の新型メルセデスベンツが走っていたのですがその前をインディアンがなんと馬に乗ってゆっくり国道を歩いている風景を見てびっくりしました。{これはシャッターチャンスだ}と急いでカメラを探していたところベンツに乗ったアラブ系の男性が「前をどけ、急いでるんだ」てなことをインディアンに文句つけていたようで、やがて急に馬は立ち止まりインディアンのおじさんは後ろへ振り向き遠くの空でも眺めるような目つきで彼を見ていました。そこでこの馬さんはナニをしたかというと、いきなりブルンブルンと首を大きく振ったと思うやいなや、大量の馬糞を放出しだし彼の尾っぽの下にあったベンツの先っちょについたエンブレムにぐさっと突き刺さるのを確認し又悠々と立ち去って行きました。路上にいたテキ屋の兄ちゃんたちはげらげら笑いアラブ人が顔を真っ赤にしてわめき散らしながら側道の木の枝を折って馬糞を路上に落としていたんですね。今覚えばあの情景が忘れられず{こんな国ってないよなあ?ふつう」と毎日が刺激的でハマってしまったような気もします。
目的地である旧知のNさんとの再会を喜ぶもつかの間で車を渡した途端いっしょに来たコウジさんは「いやあ暑いなあここは。俺はやっぱリオの方がヨカぞ。午後の飛行機で俺はリオに帰るからよ、じゃあ元気でな節男。」とつれなく逃げるように帰って行きました・・・。(なんちゅう人・・・)その後連れて行かれた店にはパラグアイ産まれのまだ十代の日系ニ世の若者がたくさんおり日本語も西語もべらべらでまるで日本に帰ったような気分でしたね〜その後Nさんの家に居候し輸入物のウィスキーがなんと一本8ドル、ワイン1ドルが安いからと全ての銘柄を試してみようという話になり毎晩飲み続け昼間はNさんの任された店を手伝う毎日でした。そこに来るお客さんもアルゼンチンやブラジルそれにイグアスの滝観光に来た様々な人種でして中にはインディアンの方がSONYのラジオにするかウオークマン買うか迷っていたりと退屈しない日々でした。そんなある日Nさんから「アスンシオンのFさんが大統領の友人なので永住権すぐ取れるらしいぞ、取っとけば?」と言われ{まあ日本帰ったらもう来ることも無い国だろうから、くれるんならもらってもいいな}と考えOKするともう翌日から皆が動いてくれ何の書類も無かった私なのにその年の内に永住権が出来てしまったのです。人の話によれば当時のストロエスネル大統領はドイツ人系の人で11月3日産まれ(祝日の紀元節)らしく「私は同じ誕生日である明治天皇を尊敬しているしまた自分が産まれ変わりだと信じている。だから同胞の日本人には永住権をどんどんあげるのだ」と側近に語っていたそうです。(かなり変わってる人ですよね)彼はナチの大物を匿ったり米国に反発するようなことばかりしてクーデターを起こされ世界最長だった34年の独裁政治(当時は軍国でした)を終え現在ブラジルへ亡命していますが帰りたいらしいですね、パラグアイに。我々日本人にはとっても良い人だったんだけどなあ。
1ヶ月のつもりが3月になりやがて1年になるころ、最初は日本的な考え方しかできず相手が異邦人にしか見えなかった日本人の自分が「自分ら日本人の考え方が正しいわけじゃないんだから、彼らからすればオレの方がおかしいと思うだろうなぁ」と変わってきて日に日に日本へ帰りたいという気持が薄くなってしまったのです。そう思えだすと面白いものであらゆるトラブルが非常に刺激的で予想できない問題に直面すると楽しい本やTV番組でも見付けたように釘漬けにされ予想できるアクシデントしかおきない日本では、もう物足らない自分になってしまったのですね〜(かなり変わってると言われます。)
月日のたつのは早いものでNさんの一家も日本に引き上げあのころの日系二世の若者達はもう子供がいたりでほとんど日本に行った子達が多くなってしまいました。結局住むつもりなんか全く無くパラグアイがどこにあるかも知らなかった言葉も出来ない自分が今日までここに住んでいるというのが何故なんだろう?と考えるのですが、やっぱり住みやすいからなんでしょうね〜「ナニもないから空が大きい」「人口約400万人なのに牛は700万頭はいる程、土地がたくさん余ってる」いろんな褒め言葉を聞きますが、一度住んでみないとこの国の良さは文にできないようです。興味があるかた住んでみませんか?
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