
十四歳の少女は私の先生
私は移住したときスペイン語は全く話せませんでした。そのためにフラムという移住地から来た日系二世の女の子がいつも店で私に言葉を教えてくれていました。 その頃、日本語の活字に飢えていた私はいつも暇なとき昔の日本の新聞を誰かから借りてきては何年も前のニュースを読んでいたのです。
ある日いつものように私が新聞を店の中で広げて読んでましたら、彼女(私のスペイン語教師)が横から写真を覗き込み、漢字があまり読めなかった彼女は「この娘、可愛いねどうしたの?」尋ねてきて、そのころ日本のアイドル歌手だった岡田ゆきこという歌手が自殺し、それを追って50人後追い自殺した事件が載っていたので私が「この娘は自殺して、それを追って50人が自殺したんだ」と答えると彼女は興奮し「どうして?ひどい女だったんだね。こんな可愛い顔してるくせに」というので私も不思議に思い「ええ、何でこの歌手が悪いってことになるの?」と尋ねました。
彼女は「だってそうじゃない。50人も付き合って尻軽女よ、最低!」と答え私が慌てて「いやこの子達は付き合ってなんかいないよただのフアンなんだ」と言えば「ばっかじゃないのあんた。絶対付き合ってたんだよSEXもしてんだよ。でなきゃあ何で知らない人のために死ぬの」と怒るので私が「日本にはこういう熱狂的なフアンがいっぱいいるんだよ。よくある話なんだ」と答えれば「日本の女の子はバカだね。日本には光源氏(かなり古い例えですが)みたいなカッコイイ男の子がいっぱいいるじゃない、この娘ならいくらでも彼氏が見つかるよ。死んじゃったらおしまいよ馬鹿よバカ」と言い私もこの14歳の娘とは信じられない物事の考え方に共感すると同時に{外国ではこういう風に物事をとらえるんだ個性があるよなあ}と日本では情報が氾濫しマスコミの記事とすべてが同じ意見になりがちなところがあるのになあと感心してました。
そうすると彼女は次の自殺の記事を指差しどうしたか尋ねるのです。それはサラ金地獄を苦にしてやはり自殺したという記事でした、「まあ日本は裕福な国って聞いてたけどよく自殺するよねえ」と呆れてまして私がこの男性は一千万円借金して悩んだあげく死を選んだんだ可哀相だなあと言うに至って「ええー千万円っていったら一億ガラニーすっごい!ここなら一生暮らせるよ。金持ちだよこの人はそれだけ借りれる能力があれば、どうしてパラグアイに来なかったの」と言うので私は頭が痛くなり「いいか、日本では一日でも返済が遅れたら利息もふえて信用も無くなっていくのよ、そんな時、海外になんか行ってる場合じゃないでしょ」と言えば彼女は「私が言いたいのは、この人は死ぬほど苦しんだんだからもう許してあげてもいいと思うの。
逆に貸した人も儲けようと思って貸したんでしょう、商売は損するときもあるじゃない。それともこのサラ金の社長さんがこの金こげついて自殺するっていうの?」と詰問され「いやあ、サラ金の社長が自殺した記事はみたことないなあ」といえば彼女は得意になって「みてごらんなさい。死んだら返えしたくたって返せないんだから私はクリスチャンだからある人が無い人に恵むのは悪くないと思うし神からもらった命を粗末にしちゃいけないんだよ。いいじゃない南米にでも来て牛買ったり野菜作ってそのうち儲かったら返してあげればいいのよ、死んだら許してくれるって日本人は考えてんじゃない、結局」とまあ言い返せない位の説得力をもち私が「ちょっと危ない考え方だが、お前の考え方は14歳とは思えない程しっかりしてるね」と誉めれば「ふつうじゃないの。私の友達でもみんなそう考えるよ。
日本人がちょっと変わってるんだと思うけど」と言われ日本にいれば当たり前だと考えていたことが、海外にいる彼女らにはふつうではないと言われ自分の子供と言ってもおかしくない歳頃の娘を前にして「世界は広い、日本は狭い」と思いしらされ新たな発見をし又、会話できるようになってパラグアイ人からこんな考え方もできるんだと教わる度、最初はショックだったことが最近では当たり前だと思うようになりいつも又以前のように毎日トラブルがあれば楽しいのになあと願っている私は人に言わせれば普通ではないそうです。
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