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第五十四話
南米は宝物がいっぱい?
今年5月ころでしたかパラグアイの友人から古いバイオリンの写真を見せられました。「セツオも知ってるOさんが持ってるストラなんとかとかいう300年前の楽器なんだって。だれか欲しいひとがいたら探してっていわれたんだけど、こんな古いの誰もいらんよね?」と言われ何気なく楽器本体のS字ホールの中に貼ってあるラベルを読むとそれは幻の名器と呼ばれたあの有名なストラディバリウス-1726と書いてあるではないですか!思い起こせば十数年前にリオのノミの市で路上に売られていたバンドネオン(タンゴ演奏に使う楽器)とバイオリン2つで50ドルと薦められるもバイオリンを試して音もだせなかった私は(音も出せないのに買ってもしょうがないな)と購入を諦め重いバンドネオンだけ30ドルで購入し担いでパラグアイに戻ってきたことがありました。数週間後にそのノミの市の売り子の顔写真が載りその横に大きく「リオの窃盗犯グル−プが捕まる。押収した品物の中にあの幻のバイオリンと呼ばれるストラディバリウスがリオのノミの市で見つかる。時価30万ドル。」と読んだときのあのショック。立ち眩みするわ(ずがああん)という叫びが頭に響き「ああぁ 俺はなんてことをしてしまったんだろう。おまけにオレの買ったバンドネオンはボタンがたくさん壊れていて演奏できる状態じゃないなんていわれるわドイツではもう部品も生産してないっていうし修理代1500ドルもかかるちゅうのに。ああ片や3000万円 バカバカバカ」と自分を責めてましたがその名器がもう一度私の目の前に現れる。これは神様のお導き以外なにものでもない。チャンスの神様の後髪はないんだから前髪つかめ二度も同じチャンスを逃してはいけないと確信し私はその日から早速買手を求めて動き始めたのです。
友人のOさんの持つその楽器を見たとき300年の歳月を経てきているだけの年代を感じ(うんうんこんな形してたな色もこんなだった)と感慨にふけりながら彼の言う「ひいおじいさんがヨーロッパから移住してきたとき持ってきたらしく家宝にしろ誰にも見せるなって言われてきたけど今、商売が大変でねお金いるのよ。前にリオで見つかったのが30万ドルなんでしょ?それだけもらえたら充分だから。」と依頼され調査はじめたところ2003年末NYで最後にオークションにかけて売却された価格はなんと1億6千万円。ひええええ。と毎日お金になったらナニ買って海外旅行にも行って、いやあ参ったなあ使いきれないじゃないか。むっふっふ と毎日顔がほころぶのを引き締めるのが大変でした。
このバイオリンが生まれたイタリアに写真鑑定を頼みバイオリンに塗られたニスから年代に間違いないか調べ、ついでだからバイオリンの弾き手を呼んでコンサ−トを開こう。イギリスに寄って世界一のストラディの鑑定家と呼ばれるBEARSさんに鑑定書をもらってオークションかけてお世話になった人がロスにいるから行かなきゃ。あっそうだ途中盗まれてはたいへんだから保険に入らないとね。それと鑑定料って10%かかるんだよなあ1億6千万円で売れるとしたら1600万円も払うのかあ売れるまで支払い待ってくれるのかなあ?など毎日やることいっぱい儲けたお金はなにに使おうなど商売そっちのけで毎日忙しくしていたのです。一ヶ月たったころロンドンの鑑定家からの典雅な英語のお手紙が届きました。それはとても親切で慈愛に満ちた言葉で埋められていたのです。
「あなたのお持ちのストラディは世界中の人々から愛され生まれてから300年たった今でもその美しい音色でみなを魅了しています。(そうなんだよね。僕でも知ってるくらいだし二回めだもんな実物見るの)また貴方はご存知かもしれませんがこのような非常に有名である楽器のため星の数ほど模造品もあります。(そうかもしれんね。悪いやついるもんだ)特にあなたのお持ちのストラディの年号1726年は製造者アントニオさんが天に召された年でして(そうなのかあ。死ぬ間際まで仕事してたんだ。すっごいなあ、じゃあ貴重じゃない逆にとっても。ああもうどうしよう)本物は1までプリントされ残り三桁は彼の手書きとなります。あなたの楽器は17以降の二桁を手書きされていますので恐らく名匠アントニオさん製作のバイオリンではないものと思われます(おい!なんなんだ。喜ばせといて。ウソでしょ?冗談だよね?)本当にお気の毒ですが。でも引き続き調べてほしいと言われるのであればご遠慮なくお申し付けください。(なんなのよこの一ヶ月。どれだけ動いたと思ってんの?日本の友人らにも大盤振る舞いするって連絡してんのに)」とあり私はあまりのショックに口は開きっぱなし。航空チケット。コンサート。保険や。弁護士。大使館。そして本物だと信じて疑っていないバイオリンの持ち主Oさん。なんって言うの? ああぁ 辛すぎる・・としばらく外出もせずに自宅で居留守使ってました。やはり芸術関係で金儲けしようという邪な考えがいけなかったんだとつくづく反省しています。しかしあんなに精巧に贋物作れるんなら頑張って本業に力入れろって言いたいです。まったく300年も前にくだらんもん作りやがって。
でもあるんですよ。まだまだたくさん変わったものが。数百年前のクラシックカ−とかヨ−ロッパの貴婦人たちが持ってた中世のおしゃれなピストル。バイオリンの優れた弾き手でもあったアインシュタイン博士が作曲したナマの楽譜。多くの数学者から「彼の数式は流れるように美しく一級品の美術品だ」と称えられたほどですから見る人が見ればきっとすっごいものなんでしょう。あと幻のワインとか体長2m以上もありそうな北極グマの毛皮。なんでこんなものが南米にあるんだろうと思うようなものがたくさん売られています。こういうものに関心があるかたは是非一度来られて購入し日本のTV鑑定団に出されてみてください。もしかすると・・・・でも¥0と出た場合は決してぼくの名前は出さないでください。古物商の中で「あっまたあのパラグアイの村上か。だめ。鑑定する以前の問題」なんて言われたくありません。それじゃなくても密輸業者なんて呼ばれてるのに。まあこれは当たってるから仕方ないけど。