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第五十六話
南米の怖い虫
南米に住んでいて日本で虫ってこんなに怖かったかなあと感じることが今まで度々ありました。前にかかったデンゲ熱(デング)なんかその症状は「熱が出て関節の節々が痛く目が疲れやすくショボショボする」という風邪そっくりの症状で普通だったら「病院に行くまでもないな風邪薬でも飲んでよう」と判断し大抵の日本人はすませますね。私もそうしました、ところが1週間たっても全くよくならないんですね〜これが薬飲めば飲むほど具合が悪くなるのです。
おかしいなあと思いつつ友人らが話しているのを聞いてたら「あいつ死んだの?デンゲに刺されたんだって。あぶねえなあ、お互い気をつけないとな」なんて聞いて無知な私が「なにそれって?」と聞けば「風邪の症状にそっくりでさ。風邪薬飲むとその毒がどんどん血液に溶けて益々悪くなるってわけよ。また二回この蚊に刺されたら死ぬんだぜ、怖いだろ。あれセツオ顔色悪くない?」なんて言われ「病は気から」の本家本元と呼ばれてる自分はもう歩く力も無くし「ああ 南米まで来て子供3人いて蚊に刺されたくらいで死んじゃうの?なんて人生なのよ。悲しすぎる。」と世の中真っ暗という顔して間違いであってほしいと願いながら血液検査を受けに行きました。
医者から「いま流行ってるからねえ。どこで刺されたの?毎日もっとひどくなってるみたい?」なんて聞かれるたび心臓が止まるようで結局完治するまで3ヶ月くらいかかりました。それからしばらくして治ってから食べ物やに行くとその店のウェイトレスさんが急にぼくの背中を叩くのです。食ってたものを机にはきだしながら「どうした?ナニすんのよ」と叫べば「デンゲが背中に止まってた。」と答えられ(ひえええええ)と叫びその子に「命助けてくれて本当にありがとう僕は今度刺されたら死ぬんだ」といい震える手でチップあげました。でも毎日蚊よけスプレ−ふって歩くわけにはいきませんものね。ああ もうまた夏が来たし今年の夏は越せるんだろうか?
あともう1つ怖いのが死にはしないのですが「すなのみ」君という虫がいます。彼が怖いのは足の裏、わきの下、股間本当にいやな手の届きにくいような箇所ばかりに卵をうみつけるのです。私の場合は「股間」それも男性自身の先っちょでした。最初はアセモかな?と思っていたのですがとっても痒く日に日に大きく卵が膨らんでくるのです孵化してるんですね。場所が場所だけに医者にも行けず数人の「俺はスナノミ取りの達人」という人に頼んでとってもらうことにしました。まずは足の裏に入ってた卵をとってもらったのですが縫い針でピコ−ンとはじくと卵ごと体外から米粒大が飛んで出ていくのです。これをみて「この人は本物だ」と気を許したのですが、いざ私の男性自身の箇所になると痛さは尋常なものでなく恐らくKGBの拷問とはこのようなものではないかと思えるような激痛でパンツあげるのも忘れ部屋から走って逃げだしました。
「もういい。あの痛さに耐える勇気が僕にはない。こうなったら卵が孵るまでそのままにしとく。」と心に決めました。でも店でお客の応対をしてると突然かゆくなり手でかくことのできない箇所だけに机の角におしつけてかゆみをこらえていたのですが(不思議とまたそれが気持ちいい)ため顔に出るのか、客も気色悪がり「なんなの?この人」って人も多く(これ以上いい年ぶっこいて恥はさらしたくないが、もう観念した。病院に行こう」とブラジルの病院まで行きました。なぜか整形外科ですが。麻酔でもやってくれるかと思ったら腕相撲チャンピオンのようなごっつい手をした医師からどじょうでもつかむようにいきなり握られ太い針を刺した瞬間ぼくのムスコさんは縮みあがりました。「だめだ。ふにゃふにゃして握れない。硬くなるよう努力してくれ」となぜか美人の看護婦さんに誰のものか知りませんがPLAYBOYを持ってこさせ「いいかねリラックスするんだ。手術は1分とかからない。妄想を膨らませて硬くなってほしい。針がちゃんと卵の殻の部分に入らないと万が一卵を傷つけたらキミの体内に今いる砂のみの子供がまた入っていってしまうんだ。だから下半身は緊張しながら硬くなったとき看護婦がゴムで縛る。それだけだ。余計なことは考えないでくれ」と頼まれそれから一時間。私と医者と看護婦は汗まみれになりながら私は大声で叫びまくり結果砂のみくんはコロンと卵ごとでました。不思議なんですけど血なんてでないんですね。その卵分の埋まっていた大きさがへこんでるだけなんです。怖いでしょ?ぼくはその後すなのみ君に好かれたのか4回入られました。そのうち一回は日本のお医者さんがぜひ研究してみたいので日本に帰国する際、すなのみ君も連れてきてほしいと頼まれました。自分の功績でこの憎いスナノミ退治ができるのならと思い飛行機のなかでもボリボリ掻きながら大事につれていったのです。ところがですね日本に着いた最初の晩、お風呂に入ってたら足の裏のすなのみ君は僕の足の裏からポロっと落ちて死んでしまいました。遠い24時間以上の旅行に疲れたのか時差で体を悪くしたのか寒かったのか、なにか可哀想なことをしてしまったと今でも思い出します。あの日を境にすなのみ君とも会えてません。いっしょに住んでるときは憎かったけどあのときの痛痒いような掻くととてっも気持ちのいい快感を思い出すと、股間以外ならまた入ってくれてもいいかな、なんて思ってます。(やめんか このオッサン・・・)