第六話 

南米を旅する日本の女性は強い。


 ちかごろ思うのですが南米のどこに行っても女性の一人旅が多いのです。

 以前は一人旅は男しか見かけませんでしたが近頃の男性はグループになって 「地球の歩き方」を手にし、どうする?何するとか道端で話し合ってなかなか 決まらず、女性はというとガイドブックも持たずに一人でもどんどんいろんな所へ 行きいろいろと人にはできない経験をしているようです。

 ある日、私はペルーの海岸で砂浜に寝転がってました。ペルーの海は潮流が早く 海もフンボルト海流で非常に冷たくとても水に入る元気はありませんので砂浜 にいる方達を眺めていたのです。あまり東洋人はいない場所なのですが、私から 5M位離れた場所に東洋系の女性が三人の男と一緒にいる光景を目にしました。  見ているとその女性は今はやりのTバックという露出度が高く私が恥ずかしくて 直視できないような水着を着ており、男の一人がオイルを塗ってやり、一人は ウチワみたいなもので風をおくり最後の一人はジュースをささえストローで 彼女に飲ませてやっているのです。私も「どこかの女王さまみたいだなあ、しかし 何者なのだろう?」と考えていた矢先、この彼女と眼があい私がびくっとすると近 よってきて「もしかしてあなた日本人なの?」と尋ねるのでこの南シンボウさんに 似たというべきか三角おにぎりのような顔をした彼女に「はい、そうです。」と答え ました。すると彼女は「ああー久しぶりねえ日本語話すなんて、見たでしょうあの 人達。うざったいのよねえ私を放してくんないの。まあ日本の男に見習わせても いいわよね、全く日本の男ったら女性への接し方をしらないんだから」と私に息巻く のです。

それから一方的に10分くらい日本の男はだらしないとかアプローチをしらないとかグチを言われ私も反論する気がおきず相づちを打ってましたらやっと向こうに行ってくれました。それで私も物好きなので聞き耳をたててましたら彼ら男達が彼女をほめちぎっているのです。例えば「あなたのつぶらな黒い瞳がセクシー」{確かに猫が怒ったときよくやるが細く釣り上がった目みたいではある}「この子供のような真ん丸ほっぺたが可愛くてキスしたくなる」{うん、これも言えてる。しもぶくれの顔立ちだ}「鼻が指でちょっとつまんだみたいにちっちゃくて食べちゃいたい」{おいおい、聞いてりゃ欠点ばかり言ってるんじゃないか?}等、彼らは真顔で口説いているのです。

確かに南米人ははっきりした顔立ちの人が多いので逆にのっぺり顔が好かれるとは聞いてはいましたがまさか南シンボウさんを女性にしたような人が眼のあたりにして口説かれているのを見てさすがに好みというのは人それぞれだと認識しました。それから彼女は今日エスコートする相手一人に荷物は持たせたまま私に「じゃあ、ごきげんよう」といいながら颯爽とモンローウオークしながら去っていきました。男が海外を旅行してもなかなかこういう風に見事に決めるパターンは少なく「いいなあ金髪は」「おおこっち見て微笑んだぞ」「一度でいいから何とかならんか」等、情けないくらいパターンは決まっており、男のこの手の武勇伝は脚色もかなり入るため真実とはいえない場合が多いのです。

 ある友人も「ブエノスアイレスで女優のような奇麗な女性から車へひきずりこまれ 屋敷に連れられ三日間放してもらえずひどい目にあった」「パラグアイは俺が移住し た当時は木から女が降ってくると言われて来たが本当だったな、毎日若い娘が俺を 追っかけてきて畑仕事ができんかった」など男はまあ可愛いものです。

 いずれにしても南米の男は東洋の女性が大好きで又優しくマメで結婚した方も たくさんいますし、日本まで追っかけていった男もいました。ただ大抵そういう男は 日本でも同じですが誰にでも優しく冷めやすい性格ですので南米に旅行される女性達 はよくその辺に気をつけて国際親善に努めて下さい。私も含め現代女性に負けている 男達より「自分は違うぞ日本男児だあ」という話もお便り下されば、他はボツにして でもすぐ掲載します。「やってくれるねえ。」と唸るくらいの痛快な話を待っている 私なのです。


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