
海外駐在員は苦労してます。
日本は海で囲まれているのでなおさら外国というのが遠く感じられそれで海外という言葉になるのでしょうが当然生活や商売習慣の違いでトラブルも多くつらく悲しい こともたくさん出てきますが、それをはたから見ていると「ああ日本人だなあ」と美点、欠点みな日本にいるときは気づかなかったケースもたくさん経験できます。
ある日ブラジルから日本商社のサンパウロ駐在員がやってきました。彼の使命は 三日後に日本からやってくる一流企業の会長に世界一のイグアスの滝を見せる事と 南米の香港と言われるパラグアイ、エステの町を案内する為、絶対ミスは許されない 至上命令が本社より特Aランク(VIPの接待をする、金はいくらでも使え)であったわけです。彼、Mさんはブラジル駐在5年このような要人を接待するのも久しいらしく鼻息も荒く、日本人の少ないエステの町からBさんがサポートするように決まり 早速、ストップウオッチ付きで綿密なスケジュールを作成しBさんへも自分の部下の ごとくアゴで指図し無理難題を注文しだしたのです。
「会長は滝が第一目的であってパラグアイは二の次である。だからパスポートにパラグアイの入国スタンプを押さなくてすむようにしてくれ」と言うのです。今は違いますが天皇陛下の葬儀によばれたパラグアイ大統領に対する日本の細やかな接待に対するお礼に大統領が日本人はこれからビザ無しでOKとなりましたが当時はちゃんとブラジルを出国しパラグアイに入国しなければならなかった訳です。
まあパスポート位、見せればすむのにと説明しても「会長が手間に時間がかかって不機嫌になっては困る」というため、アミーゴの国ですから何とかその手配もすまし、何を食べるかカジノは何時に行くのか?会長に勝たせるよう話をつけろとか{ここまでやらなきゃならないのかなあ}と思える下調べも完了し当日になりました。
会長は非常にさばけた良い方で高齢にも関わらず滝の散歩道を3KMほど歩き喜んで観光され、まずはMさんは満足しながらいかに彼が何日も前に来て下調べをしたかの説明に余念がないようでした。その後のパラグアイ入国も無事ノーチェックできりぬけアメ横のような騒々しさと会長が言ってましたが「終戦後のヤミ市のような何でも売ろうと言う活気があって面白い町だなあ」と満足されており急に「わしはワインを土産に買いたいんやが、ここは免税店が多いようだが見つからんかなあ?」と言えばMさん「はい存じ上げております会長はご自宅までワイン貯蔵室をお持ちなくらいワイン党だと本社の方から伺ってます。ではBさんワインを売っているところへ会長をお連れしなさい」と指示を与えました。着いたところはレバノン人がやっている大きな酒店でしたが、ある一本のワインを見つけたときの会長の興奮はすごいもので「これはフランスの何とかワインだすごい!この年は不作でこの地方のこの赤ワインは貴重だよ。こんなところで見つかるなんて、しかし高いだろうなあ」と言われるので一応値段を尋ねたところレバノン人が「8ドル」と答えました。Mさんが「ええー」と叫ぶと高いと思ったのか「5ドルでいい」となりました。そこでMさんすかさず「10ドルで釣りはいらん。早く包め」と指図し逃げ出すように店を出ましてMさんは会長に「これは私から会長に贈らせてください」と渡すと会長は大喜びで「いやあ本当にいいの?、南米でこんな貴重なワインが入手できるなんて感謝するよMくん。ありがとう」とMさんも今回の仕事の満足感で顔を真っ赤にして喜びを押さえるのに必死なようでした。
それから少し早いがレストランに行ってこのワインをあけて祝杯しようと会長はすぐにも試したくて我慢ができない様子でした。料理が出てコルクも開けてボーイが誰が一杯めのワインチェックをするかとなった時Mさんが突然「実は黙っててすみません。私はブラジル駐在となってからほとんど南米のワイン銘柄を飲んだくらいワインにはうるさいのです。できましたら私に一杯め試させていただけませんか?」と言い会長も「ええよ、Mさんのおかげやからなこんなワインが見つかったんも。遠慮せんでワシはスペイン語できんから助かるわ」となってMさん緊張しながらグラスをゆっくり飲みほしました。そして「いやあ私もいろんなワインを頂きましたがこれは美味い。重厚というかなんと言えばよいのでしょう下先にひろがるピリピリした味わいなんか他と比べようがありませんこのようなワインを頂き至福です」と感動もさめない面持ちで答え、では会長もと飲んだとたん「何やこれは腐っとる。もう酢になっとるやんか。」と言いながらグラスに吐き出しました。
Mさんの顔が赤から青くなり「Bくん何てことをしてくれたの。腐ってるワインを 売ってる店なんかに連れていってもし会長が腹でもこわされたらどうしてくれるんだ」と怒るのを会長は平気で「わしはいいよ、全部吐き出したから。やっぱこんな暑い ところでボトルを立てて何年も置いとったら腐るわな。ワインは息をするからボトルを寝せてコルクに息させないかんのよ」と答えBさんは堪えられずに笑ってしまったためMさんは怨みがましくBさんを睨み会長はというと「でもこのボトル価値あるなあ。持って帰ってみんなに見せたろう」と屈託がなく哀れMさんだけが浮いてしまいました。翌日空港出発の際みんな集合しているのにMさんが部屋から出てこなくてBさんが呼びにいくと部屋の中から「お前のおかげで下痢だ、昨日も一睡もしてないんだぞ」と答えるので横にいた会長が「まあ仕方ないか飛行機に乗り遅れるといかんので彼は置いて行こう、彼はスペイン語ができるから大丈夫やろう」と結局置いていかれBさん曰く「日本の仕事は大変だ、やっぱり南米生活が楽でいいや」とつくづく感じたそうです。
海外で日本と同じ接待をしいられる現地社員は大変です。タイプとして別れるのは 一日も早く日本に帰りたい本社への想いが恋人へのように一時たりとも忘れられない タイプそれとも駐在が長くなり南米は気楽でいい本社の奴等は分かりもしないくせに いい加減言ってるよと日に日に現地に溶け込んでいき日本に帰国すると人間関係とかの苦労で胃潰瘍になりまた海外駐在を望む人いろいろです。ですから皆さんも海外に 旅行されコンダクターなんかに文句ばかり言って「日本だったらねえ」とかあまり 困らせるような事はありませんよう気をつけてください。
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