免疫学(血清)的検査

 免疫学検査は、主に患者さんの血清中にある抗原や抗体を検出して病因を探るものです。

 動物はすべて自分(自己)と外部のもの(非自己)を細胞レベルで認識します。外部のものに対しては、反応して除去しようとします。たとえば、他人の臓器を移植するときによくその相性が問題となりますが、それはこの反応によるものです。身近な例では風邪を引いたときにそれを自己治癒力で治そうとしますが、風邪を引いたとき細菌が体に入っています。これを抗原と呼びます。そして、体の中ではその細菌を異物として捉え、抗原を働かないようにする抗体を作り出そうとします。この抗原と抗体が結びつき、抗原の働きをなくそうとするのが抗原抗体反応といいます。その機序は多様な過程を踏んで行いますので、触れませんが、このようにして、体は細菌を無毒化・排除しようとして、疾患から治ろうとするのです。

 免疫学的検査ではたとえば、AIDSや成人T細胞白血病、梅毒、ウイルス性肝炎、ツツガムシ病の患者さんの血清を用いてその有無や、病気の軽重を調べます。また、アレルギーや多発性骨髄腫や膠原病のような細菌やウイルスと関係ない疾患についても調べることができます。

アレルギー

 即時型アレルギーは、体液性免疫によるアレルギーで、T〜V型に分類され、遅延型アレルギーは細胞性免疫によるアレルギーで、W型アレルギーと呼ばれています。

T型アレルギーアナフィラキシー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎。
U型アレルギー…血液型不適合輸血、新生児溶血性貧血 、自己免疫性溶血性貧血 、紫小板減少性紫斑病、溶血性貧血など。
V型アレルギー…血清病、膜性糸球体腎炎など。
W型アレルギー…接触性皮膚炎 、ツベルクリン反応、臓器移植拒絶反応など。

寒冷凝集反応(原理は直接赤血球凝集反応を利用)
 
マイコプラズマ肺炎、寒冷凝集素病、悪性リンパ腫、伝染性単核症、ウイルス性肺炎、自己免疫性溶血性貧血、マラリア、トリパノソーマ症、レイノー症候群、肝疾患、サルファ剤長期服用者などで上昇。

Paul-Bunnell反応
 
白血病、ホジキン病、ウイルス性肝炎、ウイルス性肺炎、麻疹、溶血性貧血、ヘルペス、関節リウマチ、血清病などで陽性

RPR法・ガラス板法・TPHA
 
梅毒検査であるが、RPR法とガラス板法は非特異的に陽性を示すことがある。梅毒以外の疾患や種痘・日本脳炎・インフルエンザなどの予防接種後の健康人でも偽陽性を示す。急性偽陽性と慢性偽陽性がある。生物学的偽陽性反応の出現率はSLEや慢性関節リウマチ、肝疾患、伝染性肝炎その他である。このため、TPHA検査を欠かすことはできない。

CRP
 
リウマチ熱・慢性関節リウマチ・細菌感染症・心筋梗塞・悪性腫瘍・白血病・ムンプスの一部・ウイルス性肝炎などで増加する。

IgG
 自己免疫疾患・膠原病・サルコイドーシス・ホジキン病の一部・IgG型骨髄腫・慢性肝炎・肝硬変・膿瘍などで増加する。ネフローゼ症候群・妊娠・2〜6ヶ月の乳児、IgA型骨髄腫・マクログロブリン血症・急性白血病の一部・悪性リンパ腫・神経が細胞腫などで減少する。
IgA
IgA型多発性骨髄腫、各種慢性肝疾患、感染症、本態性M蛋白血症、ネフローゼ症候群などその他多くの疾患で増加。
原発性免疫不全症やその他多くの疾患で低下。

HCG
 悪性絨毛皮腫・絨毛性疾患・妊娠・切迫流産・胞状奇胎・子宮外妊娠などで陽性となる。しかし、希釈倍率を誤ると陰性となることがあるので注意が必要である。

MMP-3
RAの鑑別診断や病勢把握

BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)
心不全、心筋梗塞、狭心症、高血圧などで上昇。

抗核抗体
 SLE、多発性筋炎、全身性硬化症、強皮症、レイノー症候群などの膠原病などで出現する。出現するパターンがいくつかあり、診断の参考となる。

抗ストレプトリジンO
 溶連菌感染の補助診断として用いる。
抗GAD抗体
 インスリン依存型糖尿病(IDDM)で高値

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