マルヒニッキ


10月9日

 こないだアメリカのウェストバージニアに建ったピカピカのモスマン像に首をかしげておりましたけれど、日本も負けちゃいなかった。
 東京のハイテク街が秋葉原なら、ローテク街はなんといっても合羽橋でありますが、そこでおこなわれた「道具まつり」なる、すばらしいローテク・ネーミングのイベントとともに除幕された河童の像が、ピカピカだったんです。金パク張ってやがるんです。東京新聞で見た。ウェブでさがしたがなかった。見つけたら教えてください。
 そしてそれが、なんともキモイんですよ。ヘンにリアルで。実物を見せられぬのがもどかしいが、ポイントプレズントVS合羽橋のピカピカ怪人像対決は合羽橋の勝ち! ヤッター! つーか、モスマンは地元ではいちおう呪わしい存在だが、河童は合羽橋の英雄であるはずなのに、あんなにキモくていいんだろうか。



 短編14期の予選に投票するつもりで、すべてを読んで12作品にチェックを入れていたんだけれども、そこまでで終わってしまった。
 『』『鴉の駅長』『死なずの鳥』『無限ループの愛に』はマークしていたが、『アルジェリア』だけノー・チェックだった。単純にわからなかったんですけれど、感覚にうったえられることも私の場合にはなかった。そういうのであれば、作者の林さんはもっとすごい文章が書けるんじゃないかなあ。目ざせ『短編』のブラッドベリ。
 『緑の石柱』と『午後の林』がダメだったのが意外だったが、前者はデテールにコりすぎ、後者はデテールがなさすぎたのが敗因かもしれない。『アルジェリア』は感覚にうったえることを眼目としたいわば詩的な作品だとして例外であるけれども、ほかの4作品は、デテールにコりすぎずなさすぎずといったところでバランスがよいと思う。千文字のなかにおさまる情報量はとてもかぎられているが、こまかい情報をソツなくムダなく物語の立体感に活用することがひとつの肝要のようです(こう抽象的に口で言うのは簡単です)。しっちゃかめっちゃかなかんじの情報散乱のおもしろさも、たとえば海坂さんなき今もう私がファンだと言える唯一の常連さんであるところの、るるるぶさんの作風にはあります。
 『短編』の予選は複数投票が可能なので、読者たちのナンバー2あるいは3を独占してもトップに立つ。だから得票数から予断はできませんが、しかし本命はやはり『街』でしょう。この気もちよさと気もちわるさのびみょうなブレンドは秀逸のセンス。最後が好きかきらいかぐらいしか分かれ目はあるまい。たとえきらいでも目をつむれる程度ときてる。どうです奥さん。手堅くゆくならこれだ。
 『鴉の駅長』は、私なら律儀だからすなおに乗車券を入れるなあと思ってしまって物語がうまく始められなかったんだけれども、ともあれおもしろくて気のキいた演出もある好作。ただ文章も説明のしかたもちょっとたどたどしいと思ってストレスがあった。構成もちょっとルーズなかんじがする。が、それらがボクトツとした味になって作品を助けている。こうした不器用っぽい作品が決勝でけっこう強い。対抗。
 『死なずの鳥』は千文字を逸脱したスケール感(読み終わったあとに回想してみると千文字とは思えない、あるいは書き手ならばこれを千文字で書く自信がないと思わせるもの)なのだが、あまりキャッチーな世界ではないなあ。『街』にくらべるととくに。ファンタジーというよりフォークロアのふんいきで、ゆえにこの鳥が伝説的UMA(小説のモンスターというより民話の妖怪といったかんじのリアリティ)に見えるわけで、個人的にはとても好き。穴。
 『無限ループの愛に』は、うまく設定されたパロディで、せつなくもイイ話なのですけれど、いかんせんヒネリがないのですね。「無限ループ」のままだし、物語に決着がない。というのは批判にはなりえず、それがこの作品のこの作品たるゆえんであるので、ほとんど先天的な弱点と言えましょう。これも『死なずの鳥』同様、完成度は高いのに根本的な損がある。無印。
 『アルジェリア』は前述のとおり、なにせわからなかったので私にとっては未知数。じつはこれが大本命であったりするのかもしれないが、大穴。道楽なら奥さん、これですぜ。ヘタな火遊びより数等いいや。
 はたして、どれが優勝するでしょうか。倍率ドンで上から「2」「4」「7」「6」「10」というオッズになっております。けっきょく予選得票順。さあハッタハッタ。



 ついでに、恒例のコンさんチェック(これらに投票するとき「第一印象から決めてました」と言うことができる)12作品を発表しておすすめします。

 ★一等星の恋人/三浦
 ★午後の林/赤井都
  メリーゴーランド/やすもとゆうこ
 ★17/西直
 ★緑の石柱/ユウ
  アンリ爺さん/斉藤琴
 ★/曠野反次郎
 ★死なずの鳥/久遠
 ★チョコレートサンデー/るるるぶ☆どっぐちゃん
  鬼灯/朽木花織
  鴉の駅長/ワラビー
  無限ループの愛に/逢澤透明

※「★」印はこのなかから7つえらぶ(予定だったのだが)としたらたぶんこれをえらぶだろうと思われる作品で北斗神拳の使い手。

10月8日

(C) Eishi Kon, 2003



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