
大根蒔く話も出でし集会所 なべ
毬青く栗包みて篭に盛る もりたけ
秋雨の続きて今朝は遅く起き もりたけ
洗顔の秋水の音さわやかに もりたけ
新米の文字光って店の中 もりたけ
緑戻りて秋霖の山に降る もりたけ
秋雨を突いて友来るコンサート けいじ
レシタティーブの音決め萩咲くコンサート けいじ
ステージの花どよめいてフォルテシモ けいじ
ピアニストへ贈る花束秋の色 けいじ
歌い終え友集い来て生ビール けいじ
蟋蟀の音色聞きとる夜更けかな 和章
軒先で輪台付けもはかどらず 和章
みそ汁の鍋混ぜる秋の朝一人 晃
入室の少女の声の秋の朝 晃
豊作を祝う今年の舞姿 陽子
秋の舞鼻歌こぼれ花を織る 隆博
落ち穂拾う鳩の集まり雀鳴く 隆博
遠景に低く流れる秋の雲 スカイウェイ
雨上がる朝餉に紫蘇の実香り摘む けいじ
女郎蜘蛛踏ん張りており道を変え けいじ
弦月を見上げて干し物取り入れる けいじ
幼子の手にあまるほど秋なすび 和章
コスモスの揺れに応じて赤とんぼ 和章
給食に木犀の香り添えられて 晃
<給食に木犀の香の添えられる>
鯖寿司の二切れ残し飯終える なべ
父と子が花火の向こうでおなじ顔 スカイウェイ
そろりそろ筋肉痛のきざむ秋 隆博
小豆干す日和へ運ぶ籠の音 隆博
行商の声にはねこけ止まる秋 隆博
フェニックス秋刀魚だす女目が涼し 緑丘
砂漠にも新涼の風サボテン立つ 緑丘
新涼やサボテン青し砂漠かな 緑丘
秋雨で口を潤す砂漠かな 緑丘
異国にて秋刀魚商い二十年 緑丘
<異国にて秋刀魚商い目が涼し>
百日紅咲いてる横に青い柿 てつじ
落ち葉から顔出す根っこ蛇に似る てつじ
彼岸過ぎても蒸し暑さ残るエルニーニョ てつじ
妻帰るアメリカ土産の秋のカゼ てつじ
留守の間に夏草しげり妻嘆く てつじ
日を浴びつダムとなりたる山の秋 登美子
秋高し雲行くわれのシルエット 登美子
赤とんぼ群とぶ空の茜曇 登美子
学童の見上げる空の鰯曇 登美子
我が祈り声にはならずちちろ虫 登美子
川音の終夜眠らず秋出水 なべ
出水跡累々白き石の原 なべ
勝ち組の歓声遠く赤蜻蛉 けいじ
喪の服の肩に木犀降り掛かる けいじ
線路脇曼珠沙華時速130 けいじ
ドア閉まるふと百合の香流れ来る けいじ
富士山の見える駅から鰯曇 けいじ
野菊咲く足下に露秋彼岸 和章
落ち鮎の土産と共に自慢話 和章
曇天の開けて懸がい菊の露 晃
コスモスの揺れて水路に水の澄む 晃
秋の夜の雷の止んでみんな静か 晃
霧隠(こも)る道を下れば街の朝 晃
山柿の小さき黄色実る朝 晃
新聞配達の少年背を丸め遅い秋 晃
太陽へ霧降かかる里の朝 晃
三日月の雫に濡るる虫の声 晃
秋気澄む園児の笑い聞こえ来て 晃
言葉なく月下美人に時忘れ 陽子
愛でる程月下美人のはかなきか 陽子
空さわぎ息止め運ぶ月下美人 隆博
月下美人待ち焦がれる日また今宵 隆博
月下美人月明かりより見る開花 隆博
月明かり求め得る花月下美人 隆博
白をたたむたった一夜の月下美人 隆博
サボテンの指さす方に月かかる 緑丘
岩砂漠月に照らされ静かなり 緑丘
秋雨の咲かす砂漠の赤い花 緑丘
ブラインド揺れて秋雨と風の来る 森竹
秋霖の強さを沁みて土湿る 森竹
図書館を秋雨の音包み込む 森竹
雨降って虫の音聴けず二日過ぐ 森竹
稲穂ゆれ夜の風少し軽くなる 森竹
沢蟹のハサミ届かず稲光 隆博
掘り起こす爪の黒さと山の芋 隆博
<土砂降りの夜が明けこんなにも虫鳴く 信之>
鳴りだして赤さわやかに警報機 弘子
秋曇ノートを入れし袋提げ 弘子
飼われ鈴虫夜も鳴き昼も鳴き 弘子
鉄柵にもたれて眺め彼岸花 弘子
帰り道大きく拾う栗の毬 弘子
新米が炊けてる音と香がのぼる 泰子
<新米の炊けている音と香とのぼる>
炊きたての新米匂いのうまさかな 泰子
清潔な光となりて秋日さす 泰子
絵の具みどりを買いに街まで秋雨連れ 泰子
久しぶりの雨に作物葉を広げ 泰子
稲光してまた海の方を見る 正子
この家にも木犀在りし垣匂う なべ
長雨に稲穂の寝相あっちこっち 陽子
川模様台風去りて真っ平ら 隆博
<台風の去りゆきて川真っ平ら>
柚青く棘の息吹き香るとき 隆博
兄ちゃんが叱られている百舌の声 けいじ
玄関に萩ゆれ妻の誕生日 けいじ
玄関に花かざる妻の誕生日 けいじ
台風一過鬼まんじゅうを艶やかに けいじ
木犀の香の確かにと振り返る なべ
青天を広げ野分の過ぎし朝 智則
秋水をそっと掬って差し水に 智則
秋天の近くへ近くへ児の歌う 智則
終電の去った線路へ虫の声 智則
長き夜を自分単位の刻にする 智則
山路分け栗の毬ふむ秋彼岸 和章
垣根ごし微かに香る金木犀 和章
紅萩のなびく山道に向かえられ 隆博
薄く厚く目につく赤彼岸坂 隆博
歳時記を手にとって少年の秋を詠む 晃
赤まんまの花しごく児の愛らしき 晃
老桜を労る細さや秋の雨 晃
サルビアを育てし少女の喜々として 晃
頬杖の少女の視線の天高し 晃
柿の実のまだ青けれど豊の秋 晃
休憩に声放たれて秋に舞う 晃
秋風に喜寿を祝って声の波 陽子
涼風と花一輪で父に会い 陽子
踊りの師匠手ぬぐい舞う台風 隆博
祭近し習う生徒ののぼせる日 隆博
<残る虫鳴く窓のまだ暗き朝 信之>
台風のまだあの辺り雲走る なべ
台風の接近に胸躍らせ子らの沸く 晃
神楽市棗取る手雨に濡れ 隆博
ピオーネ子らに配る母神楽市 隆博
プチケーキ喜寿の甘み秋の里 隆博
秋の色すずしくなってきもちいい 千佳
網戸から風鈴の音がなくなった さち
秋の葉が風とともに地面に広がる 浩美
稲刈りの後ろを群れ飛ぶ赤とんぼ 香
この風が秋のかおりをはこんでる 美緒
明日からは長そで着ようとくしゃみして 千秋
青澄んだ空が見守る運動会 綾香
あけびとる祖父の姿がたのもしい 宏太
コスモスの香りいっぱい庭の先 あゆみ
山の木はところどころに赤い服 美緒
満月やすすきの影もさわやかに こずえ
畑から赤いおいもが顔を出す 智絵
すすきの穂風のリズムにゆれている 洋介
秋の風まだ青き葉をうばいさり 和人
藍色の空をとんぼが茜に染める 由美子
停電が虫の鳴き声呼び覚ます 知裕
稲刈りが終わり落穂にトンボ飛ぶ 真衣
とうさんのとったしめじで今日もナベ 裕佑
弁当に秋のおいしさ梨一つ 康富
秋風が服を一枚多くする 洋一
ご法話をきいてるお庭の紅の萩 真佐子
高々とくもの囲張れり今朝の秋 真佐子
蟷螂の斧振り上げたままに落つ なべ
おそかったねと言う娘の瞳に秋の夕焼け 孝昌
娘はねむり一人飲む夜の流れ星 孝昌
亡き犬の好きな原っぱ蔓珠沙華 けいじ
リハビリの人ベンチに座る曼珠沙華 けいじ
寄り添いて風受けている曼珠沙華 けいじ
バスを待つ人あり朝の曼珠沙華 けいじ
昼下がり縁側にある茗荷竹 和章
東屋の隅を色どる水引き草 和章
風強く実入りの栗の飛び違う 和章
ぶなしめじ野生の姿で今届く 晃
凍鮎夏のにおいを持っており 晃
歳時記を手にとって子の秋を詠む 晃
父母がいて部屋の静かに秋湿り 晃
苦瓜の苦そうなところ売っており 晃
欠けた葉も野にある強さよほととぎす 晃
白菊の野にあるゆえになお白し 晃
赤まんま花しごく手の愛らしき 晃
水くみの天秤きしませ小坂登る 晃
海岸の秋坂道に水運ぶ 晃
一歩登る祖父の左肩秋水の桶 晃
落ち葉踏み切れたガットに汗たれる 隆博
箒に覆い被さる若落ち葉 隆博
テニスコート靴まで色づきボール飛ぶ 隆博
蛙なく声よ懐かし故郷の秋 絵夫
犬の死を伝える秋夜のインターネット 正子
For Keiji's beloved dog
Autumn night internet says the death of the dog.
(inu no shi wo tsutaeru shuuya no intahnetto)
ひまわりの括られ描きたい花になる 正子
Sunflowers bundled become the flowers I want to draw.
(himawari no kukurare kakitai hana ni naru)
馬追の声と姿は一致せず 隆博
馬追の納屋の隅から庭の木へ 隆博
日傾き家族総出の稲架組や 隆博
組体操少年は秋の空に有り なべ
秋空に組体操の塔伸びる なべ
帰燕舞う今宵の宿の定まらず なべ
雀蜂だんだらのまま永眠す なべ
眠られぬ夜虫の音の時刻む なべ
病院の審判下る秋日和 なべ
目標の定まり蝗大地蹴る なべ
夕月夜琴流るるや旅の宿 登美子
涼新たコーヒー匂うテラスかな 登美子
読みかけの本のページや小鳥来る 登美子
畦みちを織り成して咲く曼珠沙華 和章
晴れ間みて庭はく音も気ぜわしく 和章
遠山も雨にくもりてしずみおり 和章
秋雨の蛙を鳴かせそぼと降る 晃
白曼珠沙華赤をよそ目に空つかむ 隆博
土手に島となる膨らみ曼珠沙華 隆博
川岸に二本の帯ひく彼岸花 陽子
やわらかく白一面のそばにおう 陽子
虫の音を待って息止め歩み止め 緑丘
虫の音が歩みを止める夜の散歩 芳福
店先の初富有柿に足止まる けいじ
ミラーウォールから鰯雲流れ出る けいじ
肩車の孫の手温し涼新た けいじ
<祭近づく子どもらの話にも 信之>
熟れ稲の葉先一面日に透ける 正子
晴天のどこかを冷やし貝割れ菜 弘子
運動会道からばかり見る学校 弘子
健やかな松の立ち様新松子 弘子
色づいてゆくものが音をして野分け 弘子
子へ葉書ケーキレシピを書く九月 泰子
新米のつやつやこがねに炊きあがる 泰子
金婚の父母それぞれの秋稔る 泰子
馬追の足一本を置いて行く なべ
気がつけば背よりも高くすすきの穂 和章
妻の手に香り高ぶる茗荷竹 和章
彼岸花首傾けている空き家 晃
瑞々し潔癖の白い彼岸花 晃
顔洗う暖かき水朝の露 隆博
少年のことごとく打つ曼珠沙華 なべ
グランドを我が者顔で赤トンボ 和章
秋桜の手まねきうれし朝散歩 正人
玉入れの秋空の下笑顔おどる 正人
攻撃目標定めるうんか隊 隆博
実り田の刈られし夕べ藁匂う なべ
秋時雨病犬我を追い越せず けいじ
病める犬の歩幅にあわせ秋に入る けいじ
寝姿のままで愛犬秋に逝く けいじ
愛犬の想い出多き小屋しまう けいじ
愛犬の永久の眠りやすすきの穂 けいじ
すすき野へ愛犬忽然と姿消す けいじ
日焼けした顔に笑みある運動会 和章
応援の声の高まる団リレー 和章
伸びやかにクラリネットの行進曲 和章
秋光のまぶたの裏に温もれり 晃
朝は朝夕には夕の秋の声 晃
爽らいや気をひかれつつ橋わたる 晃
風つれて農夫歩みゆく野路の秋 晃
風つれて農夫歩みたる野路の秋 晃
風つれて農夫歩むかな野路の秋 晃
敬老を祝う花火や秋の雷 晃
芋の蔓枯れ枝印に振り返る 隆博
久しぶりに転がす単車秋満風 隆博
鳴く虫に名を問う返事は虫の声 隆博
風呂上がりギーチョンと涼む一時 隆博
競うもの無く悠然と秋夕日 なべ
眠れぬ夜柱時計とちちろ虫 けいじ
風呂しまう音止んで近く虫の声 けいじ
山すべて一時の赤鰯雲 てつじ
窓の辺に一葉舞い来る小さな秋 てつじ
ふるさとの福井は美し黄金波 てつじ
名月に昔を偲ぶ左内像 てつじ
ミシガン湖の名月妻から知らせくる てつじ
櫨の実の遠き海見て揺れており 晃
蟷螂の腹ふくるるや草の原 晃
猪垣や蛇の衣をかけてあり 晃
秋燈の梢にのぞく声近し 晃
カナカナカナ潮騒山を越えられず 弘子
吾亦紅ガラスに透けるままを買い 弘子
芋畑雨が降らねば水を引き 弘子
いちじくに子等の幼き日刻まるる 満子
老醜の身に迫り来る秋となる 満子
朝風に蜻蛉ガラスの羽根をつけ 泰子
足洗い白露の草を踏む朝 泰子
虫音高しマンションの外壁を響かせ 信之
盆過ぎの静けき居間の畳拭く 洋子
盆帰り懐かしき景色に胸はずむ 雅子
夕顔の開けばものかげ映すかに 正子
面に映る仰ぐくちばし鷺の足 隆博
鍬かつぎ猪もくる道造り 隆博
タバコする清水冷ややか山の息 隆博
早稲刈りのきしむコンバインうれし泣き 隆博
風紋に白波よせる秋深む 登美子
台風一過定刻通り友の顔 登美子
飛機去りて真青なる空雁の棹 登美子
運動会の練習している竹に風 晃
「君のゆく道」行進曲に心を乗せて 晃
鶏頭の何れも紅く暮れ残る なべ
糸瓜水したたる女小分けにす 隆博
蓑虫の欲張る刀寂びている 隆博
名月の窓辺にそっと布団敷き 陽子
涼し滝岩打つ響き玉すだれ 隆博
満月の河口の村を青くせり 晃
月青き村を黙して影行けり 晃
村の灯を染めて月夜の青深し 晃
残業の声を照らして月淡し 晃
ガヤガヤと声帰り来る虫の道 晃
月沁みる刈田の道を通るとき 晃
朱を帯びた満月街の屋根に出る なべ
秋の蛾の屋台の灯り打ちて落つ なべ
鈴虫の野を知らず鳴くかご売られ なべ
薄穂の手を広げ初む中を行く なべ
青酢橘キーボード打つ目の先に なべ
孫自慢しあうもろこし剥がしつつ けいじ
流れ挟み鳴き交わしいるチンチロリン けいじ
車辞し徒歩出勤や今朝の秋 けいじ
秋ひっそりと我が素肌へ朝知らせ もりたけ
白菜の旨みキムチの赤になる もりたけ
満月の下を目指して帰り行く もりたけ
どの家も秋刀魚の煙の登らせる もりたけ
秋の夜ポツリ虫の音耳に入る もりたけ
リリリリリ僕の出番とこおろぎが 優也
カブト虫飼育ケースで大バトル 裕子
くりの実が秋のそよ風待ちぼうけ なぎさ
赤とんぼ差し出す指にとまってる 奈未
通学路ふとした所に秋の色 美緒
青色が少しかすれた秋の空 恵美
いつもより少し涼しげ秋の風 夕貴
ぶどう狩り光る粒がさそってる 美緒
やわらかに揺れる稲の穂秋薫る 綾香
秋の田は稲の香りでいっぱいに 鮎美
盆終わり祖母の横顔さみしそう 千秋
稲刈られ休む場なくしたとんぼたち 宏樹
夕焼けに緑の髪さえ染まるかな 由美子
店番と理科の宿題秋せわし 祐妃子
まだ早い待ちきれなかった秋の服 絵美
夜暑しまんまる月の花火かな 俊助
夕涼み父の手造り縁台で 孝一
風鈴の音色は風の魔法かな 恵里
少しだけ夏を忘れる夕立で 和人
川上でスイカを冷やして水遊び 直幸
焼きナスのこげるにおいが鼻をさす 慶彦
暑い夏ひそかな風がうれしいな 令佳
涼風の滝の裏側別世界 陽子
残る蝉日射しさえぎる滝の傘 隆博
炭焼きの煙り立つ山秋の雲 隆博
雲に乗る月の簪星ありて 隆博
榧の実の屋根打つ音や籠もり堂 なべ
榧の実の生きた重さの音で落つ なべ
山雀と榧の実を分け籠もり堂 なべ
またひとつ行事を終えて秋深む なべ
電気浮きのじわりとにじむ秋夜長 晃
船眠る船をゆらせる秋の風 晃
秋地蔵のっぺらぼうも笑んでいる 晃
真夜中や秋潮ゆらり船眠る 晃
秋潮の船縁たたき船寝せる 晃
ギチギチと船鳴く秋夜船溜まり 晃
秋潮のおとなしくなりて船眠る 晃
初潮や蝶すれすれに飛び暮れなずむ 晃
数隻の船身を寄せている秋の浜 晃
黒々と浦満たせて眠る秋の潮 晃
蝉穴に風抜けながら秋進む 晃
<あけび獲る高さに梯子立てかけられ 信之>
木の実一つ減りまた減る山雀の声 隆博
高速の音にほんわり曼珠沙華 隆博
結界になだれ咲いてる仙人草 真佐子
見し蛇にうるさき犬ゐて夏果つ日 真佐子
蛇を見し犬のこだわり見し残暑 真佐子
榧の実の手にしむ香り射し込む日 隆博
ボトリ打つお参りの間の榧の実や 隆博
俯いて歩きほおずきの朱に出会う なべ
鈴虫と煎餅並ぶ土産店 なべ
しばらくは静かな秋を室外機 なべ
国道を渡らんとする秋風と なべ
稲妻や闇夜に浮かぶ風見鶏 なべ
夕映えにしばしたたずむ暮れの秋 登美子
しみじみと読みつぐ便りちちろ虫 登美子
会堂にひびく讃美歌天高し 登美子
畦道の咲き染まりたる蔓珠沙華 登美子
父の背に眠る我が背を月照らす 晃
我が心を空っぽにして見る夜半の月 晃
月天心校舎の影のなつかしき 晃
校庭に子の声絶えて月の澄む 晃
虫の音も森も抱きて月の宿 晃
虫の音を澄ませて高し宵の月 晃
月影に抱かれて森も虫の音も 晃
門灯の上に出ている夜半の月 晃
虫達と二夜三日のこもり堂 陽子
二夜三日榧の実裂ける御堂かな 隆博
小さきバスの走りゆく稲穂道 隆博
稲の穂が道をつつみてバス走る 隆博
大水車収穫前の静けさや 隆博
山げら跳ねもぬけの殻を拾うやつ 隆博
秋没日ツインタワー今日も伸び けいじ
蟋蟀の鳴き声踏んで孫の守り けいじ
秋没日孫のお守りに急ぎけり けいじ
コスモスやそれぞれの色の澄める朝 晃
無花果の味は幼き日の思い 晃
古酒の酔い月に心の洗われて 晃
コスモスの色際だたせる風になる 晃
歓声も笑顔も秋気に生かされて 晃
湧水の今朝の姿の秋めいて 晃
八朔のラップに包んで置いてあり 晃
物の音の澄む夜となりぬ長電話 晃
秋日和運動会を待つ子らに 晃
弓張りの頃なり母の針仕事 晃
山の声乗せ下り来る秋の水 晃
<山の声乗せ秋水の下り来る>
<秋水の山の声乗せ下り来る>
<山の声乗せて秋水下り来る>
点滅の機影の灯り月に飛ぶ なべ
日を浴びて夫婦子連れの茄子熟れる 隆博
にらみ合い鼬すくみて威し銃 隆博
秋天に爆音吸われ単車去る なべ
目覚ましに勝ったと秋の朝に起き 森竹
秋の朝誰も居ぬ道ペダルこぐ 森竹
窓一杯開け秋の空気を我が部屋に 森竹
9月の顔して生徒らが登校す 森竹
秋水を買いし魚を煮る水に 森竹
山門の霧の中より開かれて 晃
青蜻蛉なれなれしくも肩に居り 隆博
草むしり工夫こらして草相撲 隆博
三世代揃ったビールの旨さかな てつじ
孫と食む西瓜に老いの幸おもう てつじ
「こわい話大会」食い入るまなざしあどけなし てつじ
夏休み明ければ孫の入学期てつじ
孫の日記「じいちゃばあちゃとかき氷」 てつじ
盆過ぎてシカゴへ去りぬ豆台風 てつじ
兜町怪談ばなしより恐し てつじ
一言で火傷しました夏の虫 てつじ
陽光の照りつく先に竹生島 てつじ
古さとのなす漬けの味母しのぶ てつじ
初柿をはらからと食む法事の日 てつじ
夕焼けの空は七色うろこ雲 陽子
鱗雲一枚になる日暮れ時 隆博
北の洪水身にしみる豊作や 隆博
天狗路二筋の畦猫じゃらし 隆博
初秋の風窓に来てパンを焼く けいじ
リストラの男の手料理八月尽 けいじ
スペインの土産話に西瓜喰う けいじ
来年はドイツへ行こうと西瓜喰う けいじ
水々し茄子切る刃先のリズム良く もりたけ
麦茶透かして半月がグラスで揺れ もりたけ
秋探し八百屋の店先ゆっくり歩く もりたけ
晩夏の夜干されし上着の静かなり もりたけ
夕陽に包まれ観葉植物の秋が来た もりたけ
二学期の始まり重き荷物手に なべ
始業式子供等の秋始まりぬ なべ