インターネット俳句センター 12月の投句一覧


<年移る静かに移る深き闇       信之>

水槽のエンジェルフィッシュも年を越す 正子

つがい鳩晦日の昼の羽づくろい     緑丘

消えてゆくオフィスの灯かり年が去ぐ  緑丘
木の葉落ち自由に伸びる小枝かな    緑丘

晦日(みそかび)のつがいの鳩の羽づくろい 芳福

地下街を上がって餅屋餅を買う     弘子
夜が明ける大年の山見えて来る     弘子
平成十年十二月三十一日寒波      弘子
一声が鋭い禽の大晦日         弘子
一枚の葉書投函大晦日         弘子
大晦日声のきれいな人と会う      弘子
風を切ってきて蕎麦屋に年越し蕎麦   弘子
親の家子の家大年の塵燃やす      弘子

<東の窓からしらしら曉けて大晦日   信之>

新年の花を生け願う何もなき      陽子

去る年の来る年ありて羽ばたける    隆博
句の歳も一つ取りたし兎の年に     隆博
ありがとう今年一年大晦日       隆博

一年分の手紙束ねて年惜しむ      泰子

木漏れ日の中にひとつの竜の玉     なべ
丹念に冬の日を詰め吊し柿       なべ
つごもりの夕日が松の上にある     なべ

注連飾取り付け帰える義兄かな     佐夜子
除夜に鐘遠く近くに協和音       佐夜子

弟が兄に呼ばれつ冬休み        弘子
さらさらと土冬耕の人は去り      弘子
ゆっくりと翔ってゆく鷺年は逝く    弘子
<逝く年の空へ鷺翔つゆっくり翔つ>
正月がいつきてもいい家々       弘子
竿売りが西を来ている年の暮れ     弘子
家へ向き歩く輪飾りを買ってから    弘子
雷の心地よき音年の逝く        弘子
こちら見る納屋に飾りを作る人     弘子

蜜柑剥く一房取られ甘さ生む      隆博
年の瀬の活け花映えて空のもと     隆博
玄関のろう梅匂うたたずまい      隆博

菜をくくる藁の青くて年暮れる     正子

<歳末の包みと乳児エレベーターへ   信之>

数え日や冬の蜂など見ていたり     なべ
窓拭きの窓の向こうの山眠る      なべ

マフラーに隠してしまうきょうの首   弘子
雑巾を川に洗って煤払い        弘子
年の瀬の何かしている画家の家     弘子
正月の物の買い物晴れてくる      弘子
年の暮れ提げて帰るはドンゴロス    弘子
一面に枯れ葉の見えて来る向こう    弘子
南天の少し小さな実と思う       弘子

足音の絶えて澄む川冬ざるる      晃
冬ざれの川澄んでいる音真空      晃
ちょっとそこの角を曲がって冬の顔   晃
しばらくは故郷に声師走の夜      晃
山の夜大つごもりの声笑う       晃
帰省車の続々冬の里の道        晃
冬耕の畝立てられている日暮れ     晃
古校舎新年の子らを待っている     晃
また冬が来て最後の冬ぞ古校舎     晃
教室に声して冬の風抜けて行く     晃

車洗う最後のしずく仕事納め      隆博
休憩室皆の笑顔のおでん鍋       隆博
飛んでいる冬鳥空に白い胸       隆博

<年の瀬のそこに身を置く静かな刻   信之>

声交わし冬菜畑へ入りゆき       弘子
年中に冷える肉屋の室の花       弘子
冬陽受く昔ながらの農の家       弘子
樹の下に水仙こちらを向いて咲き    弘子
忘れ物の手袋のいつまでも白      弘子
綿虫の消えては現れついに夕べ     弘子
行く川の水嵩調節年の暮れ       弘子
南東の風に太陽御用納め        弘子

孫の手の座して指図の年用意      佐夜子
カトレアや何処へも行けぬ妻なれば   佐夜子
薬飲む刻を守りて寒蜆         佐夜子

女房の弟子となりたる年の暮れ     なべ

<冬の樹の樹液満たして根を張って   信之>

重ね着をじゃまにほうる配達日     隆博
夢の朝ひろがる冬霧の中        隆博
<冬霧のぼうぼう夢のひろがる朝>

すす払いする傍らのキーボード     なべ
仕事納めしてより向かうキーボード   なべ
仕事納めしてより届くEメール     なべ

ジャンパーの子ら来る先頭車輛から   弘子
晴れ渡る中を流れる冷えた風      弘子
星からも月からも冴えてきて夜明け   弘子
正月は電車に乗って行くつもり     弘子
駅前の冬のぬくさに石大き       弘子
アパートの二階三階干し布団      弘子
冬の禽小さい方が高く行き       弘子

年の瀬や社務所に人の影あらず     なべ

炬燵にて古き言葉の拾う意味      隆博
冬の鳥声の間をおき川向こう      隆博
狸罠残飯だけでよいものを       隆博

<師走なれば一日をゆっくり終わらせ  信之>

いくつものみかんの皮が轢かれ道    弘子
温室の加温へ灯油満たされる      弘子
日の過ぎて掻き干し大根よき縮れ    弘子
宙(そら)疼く霜の朝の日が昇り    弘子
年の暮れあそこの本屋に買って読む   弘子
狂い咲き玻瑠戸にゆるく見える道    弘子
就寝を遅らせていて月冴える      弘子
問屋きて整理してゆく冬の服      弘子

一抹の寂しさまとう冬椿        登美子
十字架に夕日まっすぐ冬薔薇      登美子
讃美歌と星降る教会燭ともり      登美子

寒烏天守跡より街望む         なべ

たわわなる蜜柑に日差し暖かく     緑丘
数え日や人事異動の多かりし      緑丘

虫食いの白菜貰い箱を抱く       隆博
ふる里の一回だけの煤払い       隆博
部屋の隅明るく広く年用意       隆博

年の瀬や椿一木赤い花         緑丘
冬の朝山に向かいて深呼吸       緑丘

蕪村の忌日の暮れかかる小買い物    佐夜子

ジャケットを脱がしてもらい指を吸い  弘子
何もないと見ていた広さ芽麦の濃    弘子
甘味醸しつつの晩柑とクリスマスイブ  弘子
馴鹿をいまだに知らずクリスマス    弘子
クリスマス子供の様に思いつつ     弘子
残照の内より生れて冬三日月      弘子
冬の芽がするするすると伸びて行き   弘子
霜の朝嗚呼というものどこからか    弘子

北風やポール打ちつつ社旗泳ぐ     なべ

玄関をはき清めたり注連飾る      和章
ストーブの灯油をぬいて冬休み     和章
早々と遠路の友に賀状書く       和章

こわごわと白子食う夜の凍てており   晃
牡蠣鍋を贅沢と思う母を思えば     晃

<柚子三つ浮いて安心冬至の湯     信之>

伏して読む冬陽の当たる同人誌     けいじ
理髪師がソファーに居眠る冬うらら   けいじ
嫁ぎし娘のセーター羽織り書く便り   けいじ
車窓から冬至の斜陽老夫婦       けいじ
日が沈む後幾たびの冬至かな      けいじ
家々にそれぞれの灯冬至の夕      けいじ

どちらへも柚子の動いている湯船    弘子
冬菜畑かがんで背を見せる人      弘子
如露にいるだけ汲んで冬の水      弘子
乙組の屋根に声して冬雀        弘子
街の中高さを足りて枯れてをり     弘子
花束の出来たばかりを提げて冬     弘子
開演へ五分を待って椅子も冬      弘子
細く冬月歌声を聴きしのち       弘子
弁当を買って夕餉の冬至過ぎ      弘子

駄菓子屋の聖樹灯しの五つむつ     なべ
役終えてサンタの夜が更けて行く    なべ
聖の夜やサンタ今年も現れず      なべ

冬澄んで踏み切り音の遠くまで     泰子
マフラーをたたみ開演待つ緊張     泰子
合唱の声うららかに冬忘る       泰子
冬銀河人の虚実の小さかり       泰子

数え日のチラシの端に走り書き     佐夜子
寒四郎駄菓子の如く受く薬       佐夜子
術痕の綺麗に浮かぶ初湯かな      佐夜子
沙汰無しは元気の印し三寒の日     佐夜子

学舎の高き天井煤払い         和章
煤竹をかつぎ歩くや長廊下       和章

小春日やサッカーボールけってみる   茂由子
新校舎白木のまぶし冬至かな      茂由子

冬至きて隣家からきたかぼちゃかな   佐代子

疲れとるほっと一息柚子の風呂     万里子

冬星の数万に勝る子心一つ       正人
冬の夜涙の説教子も父も        正人

人はイヴと言う親にもらった誕生日   晃
とうなすのおすそ分け長屋の冬至かな  晃
とうなすが煮えたと母の冬夕日     晃
麦飯にとうなす冬至の幸のある     晃
とうなすの煮物冬至の湯呑酒      晃

影伸ぶ田狭しと子らは土まみれ     隆博
配達前妻は私のマフラー巻く      隆博
縄をゆうごつい手の生むしめ飾り    隆博

ストーブを抱え人待つ百円市      なべ
白菜のどれもがずしり百円市      なべ
白菜に問わず語りのレシピ付く     なべ

何よりも妻の声する師走かな      晃
薄氷のバケツに今朝の冬がある     晃
米粒の白々冬至の濁り酒        晃

煤逃げのゲイトボールの日本晴れ    佐夜子
<煤掃き逃げゲイトボールの空の晴れ>
電動車松飾りして行きぬ        佐夜子
<電動車も松飾りして行きぬ>

枯れ竹葉木枯らしに乗る空をゆく    隆博
休日の椿のつぼみ家を見る       隆博
懐の寂しき歳末見て歩き        隆博

判こ押す机の上に冬至の日       なべ

湯たぶさの湯が飛び霜の朝となる    けいじ
息災を願い湯を浴ぶ霜の庭       けいじ
霜の道へ美女を追いかけ厄払い     けいじ
奥三河霜降る夜も踊り続く       けいじ
霧氷林に囲まれ続く踊りかな      けいじ
強霜にも踊りは止まず奥三河      けいじ
霜の夜を踊り続けし美少年       けいじ
霜の山に朝陽来たりて祭り終わる    けいじ

星寄せて朝兆してくる寒さ       弘子
どこからかトタン打つ音霜消えつ    弘子
ここから行く枯葉の音が丸い中     弘子
温室に二人が動いている気配      弘子
星は瞬きをイルミネーションは聖樹   弘子
冬灯住んではおらぬはずの家      弘子
何か言い冬至南瓜を買うてゆき     弘子
日の出日の入りの時刻の空冬至     弘子

原っぱの缶コーヒーの缶も枯れ     なべ
椋鳥のラマダン前の大空襲       なべ
川底は銀杏落葉の涅槃宿        なべ
城跡の石垣幾度冬越せる        なべ
今日ひと日今日一日の師走過ぐ     なべ

寝つかれず車道の音聞く隙間風     和章
ストーブのそば恋しきや空返事     和章

葉牡丹の斜面に浮かぶ干支の文字    隆博
猟夫集う声高し夕暮れの家       隆博
本を借り楽しさ増して年暮れる     隆博

北風の田をかけまわる子らみとれ    陽子
湯冷めする満天の星両手あげ      陽子

枯葦の中に雀のかくれんぼ       なべ
鶺鴒の尾を振っている石も冬      なべ
小春日や目指すはゲートボール場    なべ

小春日やサッカー少年ジャンプする   茂由子
ベランダに四角い布団とシクラメン   茂由子
ただそこにいるだけ大き冬木かな    茂由子
<ただそこにいるだけの大きな冬木>

開ききりきょうは山茶花散ってゆき   弘子
クリスマス造り確かなワイン抜き    弘子
輪ができる焚き火に人が寄るときは   弘子
日の当たる机私と冬の蝿        弘子
スニーカー三足干され日は短か     弘子
冬日の出登校時間の通学路       弘子
幾玉も見える白菜信号待つ       弘子
短日の入日見る日がよく続き      弘子

冬に建つドゥオモのごとき体育館    佐代子

登校の防寒着姉妹前後する       和章
着膨れて集団登校の元気よさ      和章

小春日のペダルこぎこぎ風とたわむる  正人 
冬中日風に押されし散歩道       正人
小春日につい誘われてペダルこぐ    正人
冬の河口流るる水の旅の終わり     正人

職員室ストーブの前でだるまなり    七重

綿虫に誘われて舞う幼き子       孝昌

故郷の朝清くして霜の降る       晃
山里の霜降る朝の音のなし       晃

寄り添って枯れ芒穏やかにゆれ     隆博
海の香に追われたどりて冬の山     隆博
中潮の船出づ港冬かもめ        隆博

冬晴れて竹とんぼうなる小さな空    晃
散策の足緩やかに冬帽子        晃
襟巻きのチェックの似合う子街を行く  晃
冬の川音も水面も透きとおる      晃
葛の葉の斜面一面枯れて冬       晃
漁火の灯のあるところ冬の海      晃
沿岸を大燭光の船冬の漁        晃

集荷場奥にも同じ様な冷え       弘子
光よき星の時間の限り冴ゆ       弘子
冴える日は五体あることよく使い    弘子
狂い咲き足首程の丈で足り       弘子
一かごの赤いくだもの師走の夜     弘子
冬の夜の淋しいことに星がない     弘子
盛り土の幾年巡る十二月        弘子

寒椿配達楽し村の道          隆博
校舎より一路離れる石焼き芋      隆博
黄昏の冬の川なり湯気の立つ      隆博

半鐘にきのうの火事のホース干し    弘子
がらがらという音もする工事冬     弘子
鉋屑丸めて乗せて冬の草        弘子
高鉄棒低鉄棒の冬の張り        弘子
冬うらら売ってはくれぬ花並べ     弘子
温室を出てきて苺頭が尖り       弘子
売り家の裸となりし二本の木      弘子

枯れ菊の焚かれし後の夜を通る     なべ
冬晴れて一族郎党鳩の舞う       なべ
野良猫の孕みて妻の野施を待つ     なべ
葉の落ちて舗装路時に華やげる     なべ
裸木となり神苑に差す光        なべ
飛機ひとつ冬の入日を目差し飛ぶ    なべ
優しさは捨てたし道の氷割る      なべ
短日の終鈴の鳴る五時十分       なべ
底冷えの枕冷たく明け遠し       なべ
夜の更けてやがてツリーの灯を落とす  なべ
葉のままの柚子を加えて香の新た    なべ
闘病の始まりとなり極め月       なべ
弔いの花輪密かに霜の朝        なべ
ストーブを囲む饒舌待合室       なべ
郵便の師走を駆けるバイク音      なべ
表紙絵の原画の見たし寒椿       なべ

冬木立残る枯れ葉をいつくしみ     緑丘
山茶花の咲きたる道をゆっくりと    緑丘
ストーブの炎をじっと一人見る     緑丘

若い人長いコートをひるがえし     泰子
マフラーのカラフル高校生長身     泰子

花柊空はりつめて香満つ        登美子
それぞれの風過ぎゆくや冬木群     登美子
黄落や真夜の静まり靴の音       登美子

冬すでに落とす葉もない日暮れかな   和章
朝練の冷え厳しくとも勤しめり     和章

冬の鵙すばやく二羽飛んでゆく     隆博
雨戸あけ二階に冬日貰い受く      隆博

<奥三河花祭り>
青鬼の吐き出す白い息天に消え     けいじ
赤鬼が白い息吐き見栄をきる      けいじ
息災を願い霜夜を里の人        けいじ
神降りて来る霜闇は恋の場所      けいじ
地固めの幣白く立つ霜の闇       けいじ
熱狂を側にイカ焼く屋台店       けいじ

新校舎古き校舎も冬めきぬ       和章
西日差す古き校舎に冬の虫       和章
日を受けてカメ虫の飛ぶ冬廊下     和章

もう一度干して柚子の実湯に使う    晃
しわしわに干され柚子の実湯に沈む   晃
山里の午後のストーブ音長く      晃

山茶花のあまりに見せる開きよう    弘子
後便のあるということのっぺい汁    弘子
駅前に年賀はがきの発売中       弘子
新しい辞書のある部屋冬陽くる     弘子
全くないきのうは干されていた大根   弘子
日が過ぎる竿にも紐にもある干菜    弘子
冬の芽の高い処にあるが丸       弘子

懇談日落ち葉掃きつつ時計見る     泰子
くぬぎ林枯れが激しい音と色      泰子

海を撮る波音冬空に響かせて      隆博
寒椿配達先の庭静か          隆博
冬の朝楽しみながらカミソリ音     隆博

<冬木となり軽がる枝を宙にからませ  信之>

夕暮れを石焼き芋の遠ざかる      なべ
遠火事や夜をサイレンの遠ざかる    なべ

世を憂ふ若き行員由紀夫の忌      佐夜子

<奥三河東栄町花祭り>
花祭り火の粉シリウスへ舞い上がる   けいじ
舞い上がり火の粉は冬の星になる    けいじ
「テーホヘ」を遠くに聞いて流れ星   けいじ
流星に乗りて神来る山の里       けいじ
オリオン座も見下ろしている花祭り   けいじ

要らぬ藻を底から掻いて冬の川     弘子
曇天は冬の気温をすぐ下げる      弘子
晩柑の柔き色づき十二月        弘子
大根を干して太くて古い竿       弘子
掌の中に柚子のしまりのどことなく   弘子
穴を掘る犬は冬毛に耳しっぽ      弘子
白菜巻く雑木林の中の畑        弘子

<桜の冬芽よ空青く雲白く       信之>

冬の日や懇談待つ母落ち着かず     和章
暮早し懇談後の母くもりなし      和章

一言の言葉の温み霜の朝        茂由子
白い息声かけようか迷う朝       茂由子

霜や霧の山里つつむモノトーン     正人

まゆみの実ばかりなり散るすべもなし  隆博
千両の密かに小粒知らぬ家       隆博
遠い雪の待ち遠しい冬の雨       隆博

<奥三河東栄町花祭り>
子らの「テホヘ」まだ恥ずかしげ霜の庭 けいじ
花の舞にカメラが迫る霜の夜      けいじ
性善説を確信している囃子方      けいじ
白装束が地を払い舞う花祭り      けいじ
庭は踊り火の粉は天へ花祭り      けいじ
踊り子を励ます声に霜が来る      けいじ
酔漢が踊り子励ます霜の夜半      けいじ
禿の人茶髪も「テホヘ」花祭り     けいじ

山茶花が咲いて待ち人現れず      茂由子
登校の子等追いかける落葉かな     茂由子
おかえりとむかえてくれるツリーかな  茂由子
つまずいて転んで仰ぐ冬の星      茂由子
冬空や鴉は人に目もくれず       茂由子

冬木立簡素がゆえの強さかな      晃
年賀状デンと置かれているばかり    晃
懇談の親子のため息冬の空       晃

坂下りて暮色濃くなる紅侘助      登美子
真っ白な猫がまつわる冬の雲      登美子
静まりてイブの灯とポインセチア    登美子
ためらいつ背かれし人に書く賀状    登美子

霜覚ゆぱんとどこかを打たれつつ    弘子
水強しはるかに見える方も霜      弘子
霜晴の塀に出てくる貎一つ       弘子
音があるのでは短日の落ちゆく日    弘子
青空市きれいな色の冬の花       弘子
どれひとつ偽りのなき星冴える     弘子
真夜中の五分の目覚め室の花      弘子

サルビアを葉牡丹に替え十二月     なべ
換気扇はずし我が家の事始め      なべ
十二月鳥の声するだけの朝       なべ

短日や部活の声もそそくさと      和章
朝の寒流しも居間も湯気立てり     和章

ストーブの音止んで残業終わる     晃
成績をつける手迷う冬の月       晃

笑み交わすお歳暮ですの一言で     隆博
ぎんなんの青透きとおる師走空     隆博
大根の菜同じ向きの無人市       隆博

<雑誌が刷り上がる師走の緊張を少し  信之>

<奥三河東栄町花祭り>
花祭りへ真っ暗闇の道急ぐ       けいじ
踊る人見る人夜に白い息        けいじ
穢れ無き星空の下花祭り        けいじ
神座(かんざ)前火鉢を横に笛太鼓   けいじ
母の膝に眠る子もいる花祭り      けいじ
黒足袋のわらじが凍てつく庭を蹴る   けいじ
「テーホヘテホへ」老いも若き     けいじ
踊り子の吐く息白し竈前        けいじ
今晩はの言葉も白い息となる      けいじ

幾本も伐られてしまい冬木立      弘子
楽しみのような太陽干布団       弘子
眠る山ところどころの紅い彩(いろ)  弘子
ぼんやりと歩いてしまい冬の道     弘子
葉の枯れた大きい小さい木が並び    弘子
星疼き朝は霜に生れてくる       弘子
輝いて車を洗う冬の水         弘子

煌々と凍月朝の空にあり        なべ
月光の下に霜夜の家眠る        なべ
またひとつ曲がり角あり十二月     なべ

雪山に小さい雲の一つ寄る       ディミタール

花アカシヤゆたかに香る白ゆえに    ヤスミンカ
群れ蝶の一つ地に降り影をひく     ヤスミンカ
花のなか風の吹きくる気配なし     ヤスミンカ

杉木立冬の日差しを先に受け      和章
<杉木立冬の日差しを先ず受ける>
暖とって吹奏楽の朝練習        和章

電柱の形に残る屋根の霜        太

窓の外夕日にとけるつるし柿      正人

真っ白な町の全ての冷凍庫       万里子

てんてんてん部屋のあつさに窓の汗   英敏

山が暮れゆき灯る里の夜長し      隆博
忘年会終え気楽な我が家あり      隆博

<師走十五日のなんでもない日     信之>

<枯れきってより美しき空朝に     信之>

霧は今全てに白くふりかかる      晃
<冬霧の全てに白くふりかかる>

臥風居へ寒さが少しゆるむ午後     弘子
見えてくる臥風居あの頃の冬で     弘子
涸れ川を渡って臥風居こんなにも近い  弘子
臥風居の冬ざれ最中へ胸を向け     弘子
臥風居に落ちて松かさ冬ざるる     弘子
門に鍵かけて臥風居冬ばかり      弘子
臥風居に数えて落ち葉五六枚      弘子
拾い上げなんと落ち葉の美しい     弘子
年の瀬にまだある時間梅の本      弘子
本当に冬梅の本も臥風居も       弘子
臥風居を訪ねた日なり冬入日      弘子

白い空冬のかけらがほおに落ち     愛美
寒いよとみんなの声がそろってる    久美子
手ぶくろはサンタクロースの忘れ物   知奈津
「寒いね」と頬を赤めた友の笑み    美香
登校中友とみつけた冬の色       麻未
寒椿いつもとちがう雨が降る      佑妃
家に着く寒さでメガネが白くなり    愛
ちぎれそう私の耳が冬風で       千秋
音もなく紫に澄む西の空        麻未
ふり向くと窓には無数の水の滴     智
霜とかすホットミルクの湯気が立つ   亜衣梨
妹がテレビの雪見て空見上げ      裕佑
田畑らも薄化粧する冬の朝       宏樹
手のような赤いもみじに霜おりて    由美子
はく息の白さにまじる朝の白      新
凍る朝ふとんの中で時過ぎる      佳代
透明な氷に写る空の青         紫野
クリスマスサンタ持って来いプレゼント 浩二
トンボ引き冬の寒さが手にしみる    幸一

冬の日をまんべんに受け豆こなす    なべ

オペレッタ余韻をコートの襟に閉じ   泰子
集まりし縁者似ていし冬紅葉      泰子
冬の雲ちぎれやすきが窓を過ぐ     泰子
僧の説く自力他力へ椿咲く       泰子

山鳥の飛び立つ後や冬いちご      和章
キシキシと霜踏みしめて峠道      和章

山腹を登る轍の枯葉道         晃
ジャズピアノ弾けて若き冬灯      晃
ジャズ流るカフェカップの白い冬    晃
重低音響いてカフェの湯気の冬     晃

白菜半分高いと皆が言う        隆博
二人だけもんじゃつついて夜の長し   隆博
冬の子ら朝よりはしゃぐ半ズボン    隆博
柚子風呂に五つを沈め夜の流る     隆博

<卵を割って冬の空気の割られた音   信之>

玄関を開けた広さにクリスマスツリー  弘子
十二月これから窯へ入る陶       弘子
臥風居をうしろへうしろへ冬歩く    弘子

平井駅うしろの山の冬めきて      泰子
冬座敷並ぶ陶器の楽しげに       泰子
着膨れて迷えば遠くへ来たような    泰子

校長のマイク離さず年忘れ       なべ
滞ること知らぬ手の蜜柑むく      なべ
老犬の日向守りて一日過ぐ       なべ

薄氷子らのそっと踏みしあり      和章
連山の峰白々と冬将軍         和章

冬の陽の眩しくて薄青の空       隆博
年賀状それぞれの案前にする      隆博
耳当ての吹き抜ける風しらむ朝     隆博

<地下街の入り口柿を匂わせ売る    信之>

大霜の子らの赤い手赤い顔       正人

冬の水散る色々洗い上げ        弘子
竹刀振る冷え込みへ向き山へ向き    弘子
冷え込みの厳しい朝の冷凍魚      弘子
工事場の冬を包んで青いシート     弘子
室咲きが車一杯積み出され       弘子
大切に落ちてゆきつつ冬夕日      弘子
冬芭蕉訪ねてみたい梅の本       弘子

嬰児が小春にぎりて夢見てる      小夜子

草枯れてこんなところに道しるべ    和章
赤き実の見えかくれする藪柑子     和章
道すがら見えかくれする藪柑子     和章

山の端の朝日山里霜の屋根       晃
大霜の大股の子肩にラケット      晃
袈裟懸けのラケット子の背霜の朝    晃
窓越しの朝日の霜を覆わるる      晃
これほどの霜の朝日の大いなる     晃
建築の校舎も子らも霜の朝       晃

霜柱昨日の足跡踏み台に        隆博
白菜のぶつぶつ言うて切り漬けを    隆博
踏み石を踏みつつ門の寒椿       隆博

散歩道落ち葉の数だけ光さす      維希子
木の葉散り薄水色の空見える      維希子
葉が落ちて枝の隙間に冬の空      維希子
冬晴れに仲間とテニス心地よく     維希子
天からの二十歳の祝いに初雪降る    維希子

文化祭エプロン姿母に似る       越子
目前にイチョウ並木の町を過ぐ     越子
キシキシと落葉の中へ足運ぶ      越子
天仰ぐアッと言う間の流れ星      越子
流れ星アッと言う間のスピード感    越子
一夜明け辺り一面冬景色        越子
みかん剥く季節はいつも父母思う    越子
故郷の思いのつまるみかん箱      越子
冬の雨部屋が変身物干しに       越子
雪舞う日娘20才を迎えけり      越子

<天井の冬灯とは別パソコンが灯る   信之>

さくさくと歩いていると落ち葉のみ   弘子
落ち葉せぬ樹無人のような家がある   弘子
寒い風運動場から笛三度        弘子
冬の朝天気予報の風の中        弘子
佳い部屋へみかん一個を持ってくる   弘子
ベビーカーくるうしろには冬入日    弘子
日没やサンタクロースの話して     弘子

シクラメン窓辺に置きて空碧き     登美子
枯れ菊のくくられてなほ匂ひふかし   登美子
<枯れ菊のくくられてなお匂い深し>
バス亭のかたまって咲く冬菫      登美子
毛糸編む七色八色波模様        登美子

実演販売障子するする貼り終える    なべ
日溜まりにある日常と日向ぼこ     なべ
大木の銀杏落ち葉の降りやまず     なべ
年賀状前に思いの定まらず       なべ
戸を開けて出られずにいる冬の雨    なべ

ぬくもりをかすかに残し空き教室    和章
寒々と木々も裸の運動場        和章

自転車生のペダルに合わせて白い息   正人
お帰りなさい明かり一つの我が家あり  正人

冬の日の窓薄紫に暮れ泥む       晃
母の手強く握り紫の冬夕陽       晃

石畳音符を描いてる落葉かな      真佐子
散る木の葉舗道に音符描いてをり    真佐子
<散る木の葉舗道に音符描いており>

<師走来る玻璃の向こうもこちらにも  信之>

枯葉舞ひイヴ・モンタンの七年忌    百壷庵
岸洋子秋を歌ひて秋に逝き       百壷庵
虎落笛ピンと立ちたる猫の耳      百壷庵
「冬はつとめて」唸り始める洗濯機   百壷庵

冬の雲山が支えてそのままで      隆博
ポンポン舟夜明けの舳先冬の波     隆博
木船のゆりかもめ鳴く親子漁      隆博
寒釣りの汽笛に包まる糸の張り     隆博
寒釣りの習う結びのたのしさを     隆博
いい海をみて冬山の日暮れへと     隆博

歳末のレジ打つ音の限りなく      なべ
返り花在ったあたりを見て通る     なべ
鴨鍋の酔えば姿を忘れけり       なべ
赤き実を残して庭の落ち葉掃く     なべ
クリスマスソングばかりのレノンの忌  なべ

いい仲間零奈子の肴でシューベルト   けいじ
ポインセチア窓辺で聴いてるローレライ けいじ
窓に夕陽来て終わりけりコンサート   けいじ

広広と冬田きょうの野菜屑       弘子
日めくりのきのうの日付十二月     弘子
市場への花の車に冬の雨        弘子
ひとつだけ手折る芙蓉の帰り咲き    弘子
ドラム缶落ち葉その他燃やす物     弘子
更地一枚と落ち葉尽くした樹      弘子
農協を出てきて見える枯れ蓮田     弘子
吊るし柿真下に昔の林檎箱       弘子

車窓向き幼な子ジングルベル歌う    泰子
冬温し父母と歩けば子に戻り      泰子
餅つきの声響きたる晴れの空      泰子
にぎやかな市に父母少し老ゆ      泰子

黄に斑うっすら緑の蜜柑ある      森竹
寒き朝けんちん汁で体覚め       森竹
冬の夜に赤ワインで乾杯を       森竹
北風と細き路地を潜り抜け       森竹
川隔たて寒いですねの声交わす     森竹

我が足を立ち止まらせしポインセチア  和章
店頭を赤赤赤のポインセチア      和章

一人身も案外楽しゆず湯かな      晃
ゆず五つ湯にほり込んで今日暮れる   晃
ゆず軽く浮いている湯が沸いた     晃
山盛りのゆずもらう匂いも山盛り    晃
山盛りの匂いの籠のゆずもらう     晃
ゆずやろうか声してゆずの顔のぞく   晃

家計簿を閉じて師走の一日(ひとひ)閉じ 晋

<裸木となり大らかにずん胴を     信之>

日曜の仕事となりし荒起こし      なべ
小春日や洗濯物より蒸気立つ      なべ
さみしいね夕方にする落葉焚き     なべ
夕暮れてよりは寂しき落葉焚き     なべ

モミの木や腹に矛盾をかかえおり    茂由子
毛糸編む娘の口元は母に似て      茂由子

雪虫のふわりむこうの山は雨      晃
開戦の朝の師走の雨の降る       晃
歓声と軍靴を聞きぬ冬の雨       晃
進軍のラッパ卒青春の父の姿      晃
父の吹く突撃ラッパ大陸の冬      晃

秋祭のぼりが高く背のびする      千幸
いちょうの葉散って広場のじゅうたんに 千幸
木の先のもみじの先は特に赤      千幸
秋の風落葉といっしょに旅をする    さち
寒いなあふと思ったら冬がきた     泰昌
お祭のもちをつこうと小豆ほす     陽子
サルビアをやさしい顔で見送って    なぎさ
ふと見ると枯葉もいっしょに走ってる  なぎさ
風の気持ち運んでくれる黄色い葉    なぎさ
校舎から北風来たよの合図ある     美緒
ほらね山の向こうに雪雲が       美緒
耳すます秋風すっと音がする      麻未
竹林にさわさわ響く北風がふく     麻未
帰り道夕日にりんごかがやいて     千佳
虫たちは落ち葉のふとんで丸くなる   千佳
風の笛落葉が走るどこまでも      真季
青空が少しだけ冬を忘れさせ      由宜

師走入る熱燗喉にしみとおり      ゆきお
生きていて良かったなあと冬の熱燗   ゆきお
健康が一番だよと秋刀魚食い      ゆきお
秋暮れてまだ新緑の一位かな      ゆきお
山茶花の色褪せてみゆ子叱る朝     ゆきお

インバネス袖膨らませ角曲がる     けいじ
工事場のヘルメット冷たく昼休み    けいじ
独り残る時想う風邪の床        けいじ

日照の全くあらず帰り花        弘子
丈高く群れていたはず枯れ芒      弘子
冬色を極めし菊の束ねられ       弘子
地を置いて落ち葉は昨夜(よべ)の風の先 弘子
即売会青い幟の冬日和         弘子
落ち葉時雨焼きたてパンは塩の味    弘子
木の葉髪日燦燦の昼下がり       弘子

<銀杏黄葉(もみじ)のぱっと明るい朝の出会い 信之>

籾殻の枯色軽し葱畑          晃
芋ふかす匂いの月の冴ゆる中      晃
大きな芋三つに切って蒸かしけり    晃
芋蒸かす湯気の流れて冬の月      晃
干柿のしわくちゃ一つ月冴える     晃

山肌に陰影つくり冬陽射し       緑丘
一本だけ光り輝く銀杏かな       緑丘

話しつづける大根を引く人ら      弘子
冬暮す山から聞こゆ朝の鐘       弘子
葱刻む犬にも飯(いい)の時刻きて   弘子
枇杷の花電車の行った離合駅      弘子
出入り口閉め切り温室とは丸い     弘子
見えてくる親戚の軒吊し柿       弘子
冬の月明日買い物の日曜日       弘子
古本を小銭に買って軽く北風(きた)  弘子
<古本を小銭で買って軽く北風>

<雲流れはつふゆの緊張を少し     信之>

大工さんの寒し夜あおるコップ酒    隆博
木の葉落ち静かに川の流れるを     隆博
大鍋のおでんきれいにくずも無く    隆博
香ばしい両手の中の焼き蜜柑      隆博

嵐過ぎて残る柿の実西日射す      てつじ
落ち葉から覗く根っこや蛇に似て    てつじ
坂道を学生鞄金木犀          てつじ
<金木犀の坂道を学生鞄>
長き夜もネット句会につながらず    てつじ
体育の日やハイクする俳句する     てつじ
栗きのこまだたわわなり能勢路行く   てつじ
雀一羽吹き飛ばされんばかりなり    てつじ
ズカ生徒折り目正しく落ち葉踏む    てつじ
名月に隠れ場もなし二人連れ      てつじ
利休故事「茶の本」で読む落ち葉かな  てつじ
翻訳のキー叩く音夜長かな       てつじ
仕事終え立冬朝の深呼吸        てつじ
中腹に紅葉が包む赤煉瓦        てつじ
鶏頭とベコニアぽつりガード下     てつじ

柚子ふたつ入れて日本一の風呂     なべ

辛味たつ要る程大根すりおろし     弘子
二階から降りてきし声冬帽子      弘子
色斑をひとつも見せず冬紅葉      弘子
短日の日没コロッケ出来上がり     弘子
通り道沢庵漬ける家も過ぎ       弘子
虫の穴見せて大きな葉が枯れる     弘子
晴師走即売会の準備中         弘子

バス停のツリーの明かりまたたけり   和章
初冬の景高原の駅客もなし       和章

<冬の太陽へこんなに近くまで登る   信之>

繰り返すネクタイ正す悴む手      隆博
湯上がりの明日の日照らす冬の月    隆博
松ぼっくり楽しく日暮れ焚き火の音   隆博

ジョギングの人冬靄に溶けて行く    なべ
冬靄の中より出でし耕耘機       なべ
原稿を書き終え寒き足の在り      なべ
しめ縄を老人の手は若く綯う      なべ
ストーブの年寄りの言う席に着く    なべ
芹の田に芹とる女の手の赤し      なべ
冬霧や朝日見えつつ隠れつつ      なべ
冬色と言う色の在り窓の玻璃      なべ
花八手信号待ちの側の庭        なべ
花八手信号青に変わりけり       なべ

冬月の大きく沈みそこが朝       弘子
冬蝶のなんと力のあることよ      弘子
いくつもの冬の蒲公英きょうは絮    弘子
冬を越す虫の卵が丸見えに       弘子
そこに葉捨ててあり大根引いてあり   弘子
店の奥聖樹の高さに透けてくる     弘子
昔からの塀柊は花盛り         弘子

南天の実のある家の壁白し       晃
冬菊の匂いの中に立とうと思う     晃
山茶花の黒い瞳の児に匂う       晃
冬空の盆地に青を満たしけり      晃
冬雲の波紋に角を丸められ       晃

冬の灯の音寂しげに鳴り止まず     森竹
白飯の湯気ほかほかに冬の夜      森竹
全開のシャワーで髪より冬流す     森竹

初霜や庭一面に陰りなく        和章
早朝のカバン持つ手もかじかめり    和章

冷ゆる夜の厨に液晶文字灯り      京子

<安らかに一日終わる卓の蜜柑     信之>

遠くから来た北風と土手をゆく     隆博
一つ椀海鼠噛みつつ夜が更ける     隆博
ふと仰ぐ透きとおる青師走空      隆博

薄日さす炬燵に二人だけの午後     なべ

耳に残るリズムで歩く冬の月      けいじ
冬満月照らす自販機でビール買う    けいじ

冬歩く小さな小さな松も見て      弘子
叢のなにかざわめき冬芒        弘子
太りゆく冬の落暉へ二人で向き     弘子
だらだらと枯れている蔓線路沿い    弘子
冬空に一枚干されベビー服       弘子
寒くなる友が訪ねてくるという     弘子
こなごなになってしまって落ち葉です  弘子

いくらでも散って落ち葉は地に帰り   泰子
散紅葉少し掃き残しておこう      泰子
気高くて冬没日を見送りぬ       泰子

枯菊になお愛着の水をやる       和章
菊枯れし愛着の念切り惜しむ      和章

息止めた瞬間枯葉枝を去る       晃
冴星に吊しの柿の色を増す       晃
吊し柿食べる夜の冷たさが喉に     晃
(吊し柿食む夜の冷たさ喉を越す)

冬の朝我が吐く息と川の活き      隆博
ファンヒーター窓にへのへの字を書いて 隆博
いつも見る裏の晴れ山十二月      隆博

<師走快晴今日一日を大切に      信之>

冬菜畑如露一杯の水注ぎ        弘子
出荷する冬の花々しきみの濃      弘子
温室に高く女の話声          弘子
勾配のあるらし町の枯れ二三      弘子
鉛筆を落としてしまい枯れの中     弘子
紅葉した桜が散った今一枚       弘子

ポインセチア鈴の音遠く待っている   登美子
ポインセチア神父の顔のほころびて   登美子
真冬日やひそと時間打つ鳩時計     登美子
千年の欅並木や冬日影         登美子
一陣の風落ち葉一枚石の上       登美子
コンサート終え縦に連なる冬星座    登美子

生え初めし前歯シュワッと林檎食む   けいじ
子のサドルも拭いて出勤師走入る    けいじ
柊の小さき白の自己主張        けいじ
己が形崩さず散り敷く銀杏落ち葉    けいじ
毛糸編む座席の人には陽が当たり    けいじ

落葉掃く鼻先にジャコの風におう    晃
まるい嶺まるい雲冬の陽もまるく    晃
南天の零れんばかりの息づかい     晃
山ありて森ありて家並みに黄葉かかる  晃

頬に笑み旋律もよし小春かな      和章
日溜まりの友求め来て昼休み      和章

冬光のざわめき苔にモズの影      晃
百舌鳥発ちて苔の緑の落ちつきぬ    晃
百舌鳥鳴きて苔の光の切り裂かれ    晃

採られずに枯れなつめの実黄昏れる   隆博
焚き火の粉ふわふわ冷えて頭に肩に   隆博
北風の青空のまま暮れてゆく      隆博

<師走の暖かな一日で楽しく歩く    信之>

真っ黄色が暗闇に映え銀杏立つ     眞弓
送られし丸ごとりんごシャッキリ歯む  眞弓
ボジョレ−ヌ−ボ味わいし夜穏やかに  眞弓

ストーブの音しかせぬ夜コップ酒    晃
七輪の火口新し炭熾す         晃
白熱の外灯昭和の傘をさす       晃
うどん屋の二階の宴の冬の夜      晃
土の道木の家冬の路地にある      晃

音のない風の厚さへ時雨くる      弘子
動物石鹸に湯浴み夜も落ち葉      弘子
順調に太る冬月颪聴く         弘子
あるだけの青い葉捨てる蕪を引き    弘子
冬陽受く作業事務所きのう建ち     弘子
十二月一日筆運びよき喪の葉書     弘子
セロファンの袋に六つ冬林檎      弘子

雑炊の行き渡り宴終い時        なべ
新聞と届く年の瀬易暦         なべ
帰ろうとする夕闇に冬の雨       なべ

冬の雨下校の足を早めたり       和章
はつ冬の古寺の鐘の澄みわたり     和章

木っ端炊く煙に話をあぶる朝      晃
よく枯れた枝一つくべ茶をすする    晃
茶をすする顔いぶされる朝の焚き火   晃

冬の畑耕されている土の匂い      隆博
<冬耕の鍬入れている土の匂い>
雨降って練炭の灰土となり       隆博
茹で上がる蟹の足それぞれにもぐ    隆博


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