インターネット俳句センター 2月の投句一覧


街角を僕が曲がれば春も曲がる   晃
深海を空に広げて月高し      晃
警報機止んで春闇深くなる     晃
春の月煤け窓より滲みおり     晃
煤けたる窓滲ませて春の月     晃
父母のいて煤けた部屋の春の月   晃

暖かい雨の予感に春香う      絵夫
猥雑を放吟しても息白し      絵夫

とつおいつ無聊の床の寒夜かな   てつじ
節分に福となるかや振興券     てつじ
氷雨降る露地裏そっと梅開く    てつじ
日向ぼこ目白も雀も餌に来る    てつじ
春雷に地震と続く忙しき日     てつじ

笹鳴きを聞いて散策の足を止め   けいじ
白梅や花の向こうは青い空     けいじ
春昼の大木に凭れ故郷を      けいじ
早春の空へ街路樹グー・チョキ・パー けいじ

トロ箱のままの鯛の眸朝の光(かげ) 弘子
坂道を春の光で人が来る      弘子
よき事を耳にとめつつ鳥雲に    弘子
昇る日の離れては来て犬ふぐり   弘子
霽れてくる蚕豆花を開かせる    弘子
二月尽空の涯へと雲は溶け     弘子
美しい陽光鳥は帰るらし      弘子
足元の春草摘んで歩く人      弘子

つくづくと見上げる昼の山笑う   隆博
うかうかと読めぬ本あり二月尽   隆博

足元はパンジーそこからも歩く   弘子
春の昼インクの匂う小冊子     弘子
花苺雨は小降りを繰り返し     弘子
夜が来る瓶に濃を増す桃の花    弘子
春の夜モノクロ写真に目を休め   弘子
春雨に音をくぐらせ警報機     弘子
夜の雨椿色濃くして上がり     弘子
幹青むけさの柳は芽を揃え     弘子

芽吹くものこぶしとなりて地を押し上げ 泰子
芽吹きては空を目指して伸びんとす 泰子
雛飾る部屋ほのぼのと紅染まる   泰子

風を借り空はく竹に春の雨     隆博
良い香り振り向けば梅花の玉    隆博

雛飾る窓に楽しき光り来て     けいじ
五人囃鳴り出す去年のオルゴール  けいじ

春寒や咳込む妻の背の細し     牛庵
残雪の岩を残して瀬の早し     牛庵
枕辺に句集積み上げ二月尽     牛庵
一時間早く帰りて春夕焼け     牛庵
しばらくは春夕焼けを見て帰る   牛庵

無粋とは春眠やぶる誤電話か    ふゆひと
春眠に遠くの電話近づきて     ふゆひと
春眠に高鳴り来る遠電話      ふゆひと
春眠の電話いつしか消えて行き   ふゆひと

まるをよく蕗の薹ある雨上がり   弘子
引かれゆく畑の周りの春の草    弘子
明るい日恋猫畦に現るる      弘子
夕暮れに一本引かれ春大根     弘子
カーテンは厚手に引いて春の夜   弘子
よくなると思う天気に雛飾る    弘子
雛の部屋開ける障子に南あり    弘子
花屋から提げて帰りぬ桃の花    弘子

机上には花鉢届く卒業期      和章
雛飾る祖母への思い夜を更かし   和章

春水を手になみなみと顔洗う    晃
杉板の明るく湿り立て掛けられ   晃

山に添う雪解け水の道つづく    隆博
山洗う静かな里の春の雨      隆博

机には千代紙もあり受験生     けいじ
コーヒーにミルク輪を描く2月尽  けいじ
春雨は止んで観覧車止まりいる   けいじ
(伊豆半島遠景)
伊豆半島先端春の海に入る     けいじ

朝刊を拡げる窓辺春の風      佐夜子
箸置きの桃の小枝の花ふふむ    佐夜子
桃の花せめて活けよか老いの家   佐夜子

春の雨たっぷり吸って幹つたふ   登美子
今朝の雨桜の蕾ひかり呑む     登美子
鳥曇グラス磨かれ軽やかに     登美子
はっきりと返事大きくチューリップ 登美子
ふらここや遠く海見え昼の月    登美子

雨と風ひひな祀る日の近し     弘子
ひひな祀れば招いてくれるという  弘子
ふとぬくい風が抜けゆき春の昼   弘子
灯が揃うひねもす東風が吹いて夜  弘子
春灯書いてうすいろフェルトペン  弘子
仏壇の部屋春眠より覚める     弘子
草萌える捨てられ濡れて情報誌   弘子
春草の先へ先へと車椅子      弘子

新築校白木に春の光あり      和章
大屋根の起伏濡れゆく春の雨    和章

春灯のつやつや廊下の影の揺れ   晃
春曇り山のしっとりする中に    晃

梅海原ギターの音色に春をのせて  正人
登校児きょろきょろ歩く春見つつ  正人

ピーチクパー朝日の中の朗らかさ  隆博
山里にゆきわたる声蜆売り     隆博

春星座妻と見上げて鈴鹿越す    けいじ
満天の春の星座や一号線      けいじ
太陽系も小さきものよ春星座    けいじ
春北斗頭上に斜め鈴鹿越え     けいじ
鈴鹿越え枯木にかかるオリオン座  けいじ

グランドのぽっかり声消え春茜   晃

剪定の傷濡れており春の雨     牛庵
外回り二月の雨の中を行く     牛庵
春雷や二月四日を余すのみ     牛庵

庭造り石も春陽の中へくる     弘子
物の芽の次々見えて三学期     弘子
まるくなる胸元霞は遠く見え    弘子
降りて鳩端まで歩く春の畑     弘子
春の夜星の話しが詳らか      弘子
引っ越して桜残って芽が揃い    弘子
雨の東風始発車市内へ走り出し   弘子
麦青む止まっては行き集塵車    弘子

朝食と昼食兼ねて雨暖かし     佐夜子
春の雨初めて頼むボランテァ    佐夜子

しだれ梅しだれる先の水の空    泰子
やわらかな春陽さざなみ大楠に   泰子
大楠の葉ずれに春の陽も踊り    泰子
誰の肩にも日差しあたたか参拝す  泰子
参道の人ごみの上春の空      泰子

春の日や閉校記念誌発刊す     和章
記念誌の発送作業凍て返る     和章

春大根大盛りの甘き二つ椀     隆博
蜆売り計り升にて袋づめ      隆博
カサカサと淡雪の音傘に重ぬ    隆博

春空や鳶もつれて舞い上がる    牛庵
顔見せに戻りしだけか恋の猫    牛庵
凍解けの大地密かな音を立て    牛庵

和らげる気圧配置と種袋      弘子
絵本どのページも淡色花菜風    弘子
工事場に畦は続いて焼かれる日   弘子
鳥の恋ボール蹴られてポンと音   弘子
二階へも上がってみると春の朝   弘子
雪の果てカリフラワーをひとつ抱き 弘子
一本の茅花が見える田が続く    弘子
停電に入りし時間百千鳥      弘子

寒バヤを釣って肴に酒を酌む    宗利
雪どけの谷間にでてる山葵の芽   宗利
梅咲いて人人人の花祭り      宗利

白黒と交互に分けて春田かな    和章
積みゆくや地蔵の額春の雪     和章

教室の声あって屋根の雪落ちる   晃

真っ先に暖かくなり雨戸開け    隆博
親離れ岸より解けるうす氷     隆博

雪見ての夜の目の裏になおも雪   牛庵

明けて来る明るさにある春の雪   弘子
かたちよく斑雪嶺たてて風は行く  弘子
温泉(ゆ)帰りの声が広縁抜けて春 弘子
桜草雑木林に近き店        弘子
大切に心音放ち春炬燵       弘子
よい土に育っておりぬチューリップ 弘子
風呂沸てる煙へも舞い春の雪    弘子
目にするはこれ程広く春の霜    弘子

義満の栄華を揺らす春の池     けいじ
鳳凰が水面に揺れ浅き春      けいじ
青苔の庭軟らかに春夕陽      けいじ
異国人指差す金堂春入り日     けいじ
宮人の遊びし船や春の池      けいじ
春光を増す金堂背に写真撮る    けいじ

華師匠フリージアの香抱へ来し   佐夜子
つくねんと昼の出窓の恋の猫    佐夜子

白梅の芳香ありや梅見茶屋     和章
春の雪おもわぬ寒に町静か     和章

夕暮れの屋根の丸さや春の雪    晃
春の夜の雪に消さるる里の音    晃
一人居の夜のしんしんと春浅し   晃
父さんを越したねと母の声二月   晃
黒髪に溶け入るほどの春の雪    晃
一歩ずつ我が背を伸ばす春の雪   晃
淡雪のひとひら頬の温かき     晃
枝川を急ぎ浸すや春の水      晃
惜しみつつ山遠ざかる春の水    晃
山里に行きつ戻りつ春の来る    晃
海苔掻きの潮の深さの足赤し    晃
海苔を引く石臼音を回しおり    晃
寝転んて春の音聞きく炬燵かな   晃

ラーメン屋のカウンターの上に梅の花 雅夫

パソコンへ想いふくらむ初日記   花乱

老眼鏡掛けてパソコン覗く春    久蔵

大伸びの空を飲み込む春きげん   隆博
川沿いのしばしの友の雀の子    隆博

道の駅ビロードタッチの猫柳    けいじ
山門をくぐればすぐに梅の香来る  けいじ
少年の絵馬少し揺れ紅白梅     けいじ
梅香るでんでん太鼓を孫へ買う   けいじ
天満宮露店の呼び声梅開花     けいじ

青空は薄きを見せて冴え返る    弘子
昏さくる芽吹きの中を通る時    弘子
揺れている花菜数える七つある   弘子
クレーンのこれも角度に春の空   弘子
調いつつ春を大雪らしき      弘子
足元をはこべの青さにも埋め    弘子
日曜の集団登校木の芽風      弘子
羽衣のような雪の日春の山     弘子

梅の香の和服人待つ公民館     隆博
朝の雲雀誘い合わせて藪の中    隆博

対き合って深さ違えて山笑う    弘子
鳥の恋日に日に遅れてゆく時計   弘子
こだまする鴉の声と青い麦     弘子
春の雪積もることはなき予報    弘子
玻璃よりも透けて割られて春氷   弘子
あかい椿静かに硬い風の中     弘子
春の草図鑑広げてみたりして    弘子
アドバルーンいよいよ上がり多喜二の忌 弘子

剪定の後の小枝の一山に      牛庵
剪定の後の明るく山の見ゆ     牛庵
剪定や餅は餅屋の勘所       牛庵

菜の花の坂行く電車軋みつつ    泰子
電話ボックス灯りて春の闇深し   泰子

朝刊に喜び満載春の雪       和章
春の日に子ら歓声のニュースあり  和章

淡雪の清濁全てに等しく降る    晃

春立つや高空ゆっくり飛機一つ   けいじ
春一番出張へ発つ交差点      けいじ
春一番ビルの1階駆け抜ける    けいじ
春一番母は子供の釦かけ      けいじ
春一番押されて列車近づけり    けいじ

青空と二つ色分ける春の山     隆博
春霞穏やかな山平たくて      隆博

すれ違うセーター春の日の匂い   牛庵
ベル鳴らし自転車過ぎる春の暮   牛庵
ちりめんの残り少なし粥美味し   牛庵
薄氷や馬穴斜めに置いたまま    牛庵
雪雲も雨雲もみな東へと      牛庵

春雨に傘低くする老尼さま     佐夜子
春の雨昼を灯してひとりの餉    佐夜子
春一番吾を追越すペダルかな    佐夜子

水温み妻も洗車に意欲みせ     和章
柳芽を水面に移し春の川      和章

健やかな春草のこと言い朝     弘子
こちらへも歩く斑雪嶺肩へ置き   弘子
曲がり角ちらちら白く豆の花    弘子
百千鳥どこか淋しい葉書くる    弘子
ころころと捨ててある壜草萌える  弘子
春灯冷たきものを口へ入れ     弘子
まなかいに舞って春雪それで止み  弘子
芽のほぐるもの運ぶ花屋の車    弘子

ひとふしの初音海より風まろび   登美子
ローカルの車窓きらめく春の海   登美子
手に掬う浜辺の砂や春日向     登美子
風光る少女の像や「赤い靴」    登美子
春一番モーセ五書より始まりぬ   登美子
天窓の一すじの光復活祭      登美子

裸婦像の足下も春の花となる    けいじ

濃い靄の春の峠を北に越ゆ     晃
春動く靄の峠や杉木立       晃
寒もどる山からの雪吹きつけて   晃
雪吹きし古き校舎に寒返る     晃
薄赤き芽の色強き山座る      晃
赤い芽の山懐の深き村       晃
八方の春山の強さ身に受ける    晃

枯れ葦の陰に潜みてウグイ釣る   宗利
綿ぼおしかむりし地蔵母に似て   宗利

春正直約束のように昼のどか    隆博
雪ゆるむ谷川落ちる土の音     隆博

<春浅き夜半の灯うつる湯にしずもる 正子>
<春雨の辺りかくせば心見ゆ     正子>
<菜の花に浅蜊夕餉のつつましく   正子>
<高階に電気ストーヴつけて住む   正子>

アンテナに鳶ふたつ居り春の雨   牛庵
春燈や夕餉の家を見て通る     牛庵
豌豆の空掴みたき蔓伸びる     牛庵

トーストへ蜂蜜固し浅き春     けいじ
西の空春の雨持ち来る気配     けいじ
地に垂れて花咲く準備枝垂桜    けいじ

畑から人声けさは雲雀鳴き     弘子
耕しへ光の中へ吸われゆき     弘子
車大小高速道路うららかに     弘子
受験期の子らの朝夕通学路     弘子
帰る日の近づく鳥が庭へ来る    弘子
雲雀よく鳴いて先程より小雨    弘子
宙(そら)の中春雷聴けるかもしれぬ 弘子
提げ帰る鯛の彩にも雨が降り    弘子

春大根ほっこり抜けて穴丸し    泰子
草芳し農夫二人が話しおり     泰子
樹々の芽の総立ち空へ勇み立ち   泰子
木蓮の芽のつややかな銀鼠     泰子
椿花粉きらきら垣根ゆすられて   泰子

蕗のとう熱きうどんに香りたて   和章
木の膚も春の息吹が感じられ    和章

早春の山どっしりと置いてある   晃
ぐるっと回ると春の光も回る    晃
雪水の温んで里へ蕗のとう     晃
軽い音振り向けば春の海      晃

軽々と夜を押し上げる山の春    隆博
見ず知らず声を掛け合い村のどか  隆博

<若草のさかんな畦を女学生    正子>

人住まず庭に蝋梅盛んなり     けいじ
草青む畦道子等のランドセル    けいじ
百円のチューリップ孫の手が伸びる けいじ
鴨帰る富士の川から富士を背に   けいじ

裏庭を耕す人に鶏の声       弘子
電柱に人が登って涅槃西      弘子
どことなく肉薄鰆に灯がこぼれ   弘子
網袋蜆詰めるも大ざっぱ      弘子
音たてて袋から出る春大根     弘子
春日和家新しく建つところ     弘子
桜の芽ボールが白く宙に浮き    弘子
玻璃戸へ来軒へ移って春の蝿    弘子

あまご釣り春雪ふみて沢登る    宗利

木の香る校舎春の光あり      和章
菜の花や遠き里より便りくる    和章

山ふくらみ春へ心の移される    晃
春の池動いて鯉の口丸し      晃
のれそれの喉越しするりと白き肌  晃

雀の子屋根の裏ほど豊かな声    隆博
のど飴をほうばるそばの春の風邪  隆博

すれ違ふ新幹線や山笑ふ      佐夜子
春の土手少し数増す万歩計     佐夜子


いちご食む孫の口には大きすぎ   けいじ
草青む田の向こう列車すれ違う   けいじ
春日射す座席に替わり句を詠まん  けいじ
恋の猫朝は日だまり車庫の前    けいじ

春日和 スーパー マンション歩道橋 ふゆひと
自動ドアを出れば襟首春めきて   ふゆひと
「ケイタイ」に物言う娘二月尽   ふゆひと

食堂に若芽売り来て磯香る     牛庵
麦踏みや斜めに続く山の畑     牛庵
旧正の餅搗く三世代家族      牛庵

春の霜今する息の透けとうり    弘子
初雲雀太陽まるくあるしかない   弘子
初雲雀夜に入るまで明る気に    弘子
新しい柄杓来ている春の川     弘子
犬ふぐり響いてくるは男下駄    弘子
葬送の低き矢印風光る       弘子
春天を皮をはがれし樹が衝ける   弘子
真夜中の黒さに染みて冴え返る   弘子

雪解けやぬるいコーヒー飲んでいる 茂由子
菜の花を太く短く活けにけり    茂由子
春光や上履き一足はみ出せり    茂由子
春を待つ君への電話つながらず   茂由子
春近しチャイムの音もやわらかく  茂由子

川岸に絹銀色の猫柳        和章
雪山に春の夕日が色をつけ     和章

春泥の艶と匂いの中の朝      晃
背筋やや寒く蛇口の春氷      晃
閉校の近くなる日や雪残る     晃

ゆく鴨の大きく見える川の端    隆博
やすやすと川を飛び越え雲雀ゆく  隆博

亡き犬の駆けし里山まだ眠る    けいじ
散歩から帰る揺れているクロッカス けいじ
手折りきし梅の蕾を猪口に挿す   けいじ
エスカレータ勤め帰りに余寒風   けいじ

藁を打つ音するそこに祖父の顔   牛庵

学校の時計が見える木の芽晴れ   弘子
いかなごを買っている日の夜になる 弘子
繊月の昇り終わって春の霜     弘子
広告に包んでくれぬ春大根     弘子
明るき日玻璃戸陽炎拒まずに    弘子
新聞広がっている青麦の中     弘子
春の屋根数えてみると鳩は9    弘子
木の芽晴れ車の流れ切れるとき   弘子

春が来てとなりのねこも声がわり  宗利
花がさき風が気になる花ふんしょう 宗利

春菊の香りをゆでし夕支度     佐夜子
春ショールパステル色を買ひにけり 佐夜子

春めきて庭の芝生の輝けり     和章
雲流れ水は静かに猫柳       和章

ワーという歓声あがる吹雪かな   佐代子

春灯の納屋の奥から藁の音     晃
春灯の小さき納屋の藁匂う     晃
藁匂う納屋に夜なべの春灯し    晃
川の音春灯の窓少し開け      晃
窓の影薄墨色の春灯し       晃

春見えて寝覚める山の雲なびく   隆博
毎日がご苦労様と朧月       隆博

右肩に髪を束ねて寒明くる     りゅうしょう

冬の朝土手をアベックあっさりと  耕平
北の風匂いの流れ夜となれば    耕平

「コツコツ」と春の裏道靴の音   隆博
ほのぼのと気付かぬ程に春流る   隆博
大空の山のくぼみに春夕焼     隆博

足裏の確かに踏んで春の雪     牛庵
熱の手に淡雪落ちて留まらず    牛庵
雪の日や窓の明かりに一喜一憂   牛庵

通行止め古草明るい径へ折れ    弘子
活け替えて新たに細く霞草     弘子
あっということにもならず春霰   弘子
メーター検針遠山は春の雪     弘子
春浅しカリフラワーの丸を見せ   弘子
春の雪きょうのもっとも軽きもの  弘子
春の雪音の大きい風の中      弘子
すくすくと育つ蒜畑も朝      弘子

暖冬を一人占めてる菜種花     宗利
残雪を分けて出ているふきのとう  宗利

空彼方からふわふわ雪の声たのし  正人

たえまなく舞い散る雪にただみとれ 佐代子
生徒等の黒い頭に春の雪      佐代子

風花の土に触るときの瑞々し    晃
妻の背の丸き姿やぼたん雪     晃

かれんなる梅盆栽の煮匂ひ立つ   和章
春の日や峠の雪を楽しめり     和章

ささ鳴きの鶯谷のささ濁り     晃
春の雪去って南の雪茜       晃
山鳥の庭の足跡春の雪       晃
二ン月の人もまばらに今朝の雪   晃

飛び出して余寒の風の歩く土手   隆博
雪解けの峰から谷へ鳥の声     隆博
目を奪う空に溶け込む春の鳥    隆博

一湾に帆明り揺れる春の宵     登美子
水温む瀬音やさしき昼の川     登美子
春昼や伸びする猫と戯れる     登美子

春の陽を浴びております駅の猫   弘子
芽吹く中うしろのことは忘れつつ  弘子
黝い夜明け力のある東風に     弘子
長靴で行く春雨は音もなく     弘子
雨が降るひとつ開いて枝垂れ梅   弘子
見えて来る向こう春雨の傘の内   弘子
季失し開きしものに春の雨     弘子
だんだらの翅のあきらか春飛ぶ蛾  弘子

静けさに目を覚まされて春の雨   晃
降り始むときを知らずに春の雪   晃
綿雪の湿り加減の春に降る     晃
傘の上にポタポタ重き春の雪    晃

淡雪の建国記念日白い里      隆博
山づたい建国記念日里の道     隆博
春夕日山の背中の温かさ      隆博

老梅のふくいく今に千早城     佐夜子
三寒の家居四温の髪染めに     佐夜子
石垣の宮裏行けば梅匂ふ      佐夜子
春昼の車椅子のむ昇降機      佐夜子

苗木畑ぬるみ始めし水を引き    弘子
地図に言う春雪深く降るところ   弘子
自転車に積まれて揺れる雪柳    弘子
黄水仙きょうも見ている店の前   弘子
春よりも明るい声できょうを言い  弘子
早口を灯りへ放ち春の服      弘子
日没すきょうのふくらみの桜の芽  弘子
柔らかな今朝の気温と沈丁花    弘子

春風にゆがんで流れて飛行雲    晃
窓開く春の気配のどっと入る    晃
窓開ければ春の気配のどっと入る  晃
春気配どっと飛び込む窓開ければ  晃
この山のその先の山に春がいる   晃
吹かれては身をもどしおり春の竹  晃
朴花芽ふくらむ春を吸い込んで   晃
霜柱の跡そのままに土の春     晃

あいさつも目も宙にあり受験生   和章
受験日は口数もなく二人づれ    和章

吐く息のだんだん薄く朝一つ    正人

眠る山から来る水澄む五十鈴川   けいじ
春動く原生巨木の梢にも      けいじ
階段は足裏に温し神楽殿      けいじ

消え残る雪を囲って藪閑か     隆博
今二月そして鴨の尾別れどき    隆博

早梅の香りをもらい客立ちし    和章
早春や茶の湯もてなす梅づくし   和章

二息目深々吸いて春浅し      晃
春光を切って駈け来る児の笑顔   晃

下り坂若草の香先に立て      弘子
庭掃除している人の春日和     弘子
玄関を開けた全てへ風光る     弘子
百千鳥ポストへ手紙のみこませ   弘子
カナリヤの喜ぶ草の茎立ちす    弘子
硝子戸の磨きの足りず蝿生まる   弘子
鳥の恋五分進んでいる時計     弘子
一日中あたたかだった寝る時刻   弘子

馬の吐く息にも春の力有り     牛庵

沈丁のつぼみの紅のいよよ丸    泰子
パンジーが気に入ったらし猫が掘る 泰子
囀りの朝いつまでも外が良く    泰子
囀りに小さく返事庭掃きつ     泰子

春の風邪電話口より処方箋     隆博
飛び廻る雲雀の下の川流れ     隆博
川の水ゆるく流れて朝がすみ    隆博

早春の日のゆらゆらと水の上    牛庵
早春の土埃上げダンプ行く     牛庵
春泥を踏み行く先の滝の音     牛庵

紐育のいとこにメール梅の事    けいじ
孫抱いて午後の光に梅探す     けいじ
明日咲くか孫の指す方梅蕾     けいじ

(ダラス)
凍てつける土を破りて起工式    緑丘
常春の町に移りて寒の朝      緑丘
この苗を育む決意春立ぬ      緑丘

草花の方から手入れ庭の春     弘子
飛ぶでなく刺すということなくて蜂 弘子
明け烏向かいに春の雪の山     弘子
けさは東風必ず晴れの雲の色    弘子
土が舞う音の届かぬ耕しに     弘子
軽く来て音のうらうらヘリコプター 弘子
草萌える昼通ってはならぬ道    弘子
幾度も霞の方へ開く玻璃戸     弘子

歯の浮いてきそうな話猫の風邪   りゅうしょう

梅林の香りほのかに空青く     和章
ほんのりと薄化粧する梅林花    和章

春の朝月の傾き受ける山      隆博
猫柳互い違いに向かい合う     隆博

主夫に馴れ二月の水に馴れしころ  ふゆひと
主夫稼業楽しさもありねぶか汁   ふゆひと
ふろふきや新米主夫の腕如何に   ふゆひと

夕景に落ちて椰子の実新芽ふき   三穂
散歩道冷たき手忘れ観る桜     三穂
観葉の部屋は年中新芽ふき     三穂
<観葉の部屋は一月新芽ふき>
街の海色をつけたい桜貝      三穂
クローバー葉の数かぞえ一時間   三穂

白い息宿題の冬みつけたと     静子
登園の黄色い傘にぼたん雪     静子
うす氷つきつつ子等のはしゃぐ声  静子
春浅し子供駅伝伴走す       静子

思うことあって彼方の春の雲    晃
登校の足軽くなり水ぬるむ     晃
雪の夜窓に影ゆく音消して     晃
星一つ山の端春の黒い色      晃
白梅の力を込めて咲いており    晃
雪消えて梅に真白の宿りけり    晃

帰る友見送る門の春北斗      佐夜子
救急車赤信号の余寒かな      佐夜子
書き出しに戸惑ふ梅日和      佐夜子
春めきてカラオケ喫茶に行くことに 佐夜子

空っぽの鳥屋のうしろを茎立ちす  弘子
囀りが離れようとせぬうしろ    弘子
神の杜囀り全くなき一瞬      弘子
青い日の空を弾いて梅の白     弘子
幾畝もじゃがいも植えるべく作る  弘子
洗われて全体肥えて春大根     弘子
冴え返る朝の畑青新た       弘子
卵焼き春初めての日曜日      弘子

雪かたくバス行く音の春の朝    隆博
両岸の似合いの白さ春寒く     隆博
早春に再び白き山冴える      隆博

嫁ぐ子に声かけて梅三分咲き    りゅうしょう

陽炎の中にいるらし歩を続け    弘子
陳列へ来ている問屋うぐいすもち  弘子
歯ざわりの優しき物や春炬燵    弘子
鳥の声開くということなき椿    弘子
青麦へ一足入れて下校生      弘子
日の光滴らせつつ柳の芽      弘子
沈丁花いくらか雲のある夜空    弘子
頷いて佇っている人春の冷え    弘子

雪のベールの街揺らしつつ接岸す  泰子
太田川埋め尽くさんとて雪雪雪   泰子
雪払うさらさら光落ちてゆく    泰子
雪が舞う空気の密度見せながら   泰子
街ひとつ消して雪ふる頭上にも   泰子
揺れながら雪に消えゆく電車音   泰子

春雷や忘れし仕事思い出す     研一
島椿海に背を向け一雄の碑     研一
伊予柑の匂う風あり能古の島    研一

<鉄路錆び都心にの春のすぐそこに 正子>
<駅吹雪きしずかな胸を抱いて佇つ 正子>
<明けて雪の家並みに明るき月かかる 正子>
<ポケットに雪の降り入る暮れゆく時 正子>
<立春の雪をうすうす千草の枯れ  正子>
<冬星に別れ去らんと坂の上    正子>
<実は朱に茨は春の雪に透く    正子>

春が空から降りてくる暖かい    晃

日が差せば綿菓子のよう春の雪   和章
綿雪の日差しとともに消えゆくや  和章

屋根よりの背中に伝わる雪解け音  隆博
小庭より鳥の声あり早春に     隆博
均一に地へしむ一面の雪溶ける   隆博

路地裏や昨日の雪を今日に踏む   牛庵

くれないの小さき冬芽も天を指す  けいじ
冬芽持つ街路樹と立つ交差点    けいじ

物芽よし車へ高く手を振る子    弘子
麦青しそこから離れてゆく程に   弘子
遠い太陽古草色を柔らかく     弘子
張り見せる薄氷砕きようもなく   弘子
暮れるまで囀るらしい丸い屋根   弘子
ぺんぺん草明日は摘んで帰りたい  弘子
種薯の注文受ける太い声      弘子
瓶の花花粉こぼして寒明ける    弘子

新雪を踏み分けし行く少年式    和章
立春や子らの誓いの誇らしく    和章
 

氷柱落つ厳しき昨日の跡の無く   もりたけ
吹雪く日の湯上がりの湯気同化する もりたけ
遠くには冬残りて今朝は晴れ    もりたけ

風を聴きつつ歩けば梅の香りくる  泰子
ポストまで歩く垣根に雪残る    泰子

立春の陽を浴び温く雪かきを    隆博
水たまり昨日の風運ぶ薄氷     隆博

少年はまだ知らぬ恋シクラメン   りゅうしょう

雪だるま菜屑の目鼻つけて座す   研一
深雪を分けて碁敵集まりぬ     研一

節分の大阪の空鳩が舞う      牛庵
大阪に御堂筋あり雪曇り      牛庵
風花の窓より望む生駒山      牛庵
風花や頭上を滑るモノレール    牛庵
凍雲の動きし後の夕日かな     牛庵
雪晴れのすべて眩しい朝となる   牛庵

春の海さざ波とおく光呑む     登美子
スイートピーバロック流れ揺れてをり 登美子
雲一つ湾の青さや揚雲雀      登美子
薄氷やぶれる刻に空映る      登美子
立春や浮き立つ心風まとう     登美子

雪が紛れ込む春目前の庭      弘子
豆を撒く胸も背中も軽くなり    弘子
白粥にほのと甘味の冬終わる    弘子
下校する少年少女冬終わる     弘子
しんしんと空気立春の日付なる   弘子
押し戻されそうな冷え込み春は立つ 弘子
春迎う靴の音よく走る人      弘子
定刻を違わぬ電車春の雪      弘子

雪晴れて煎餅かじる音弾む     泰子
立春の空どこまでも晴れ光る    泰子

幼子の福豆をまく鬼は外      和章
桝かかえ子が走りゆく鬼やらひ   和章
鬼やらひ鬼逃げゆくは風の音    和章

初午や岩の頭の雪帽子       晃

鉄びんの音のみ高く寒明くる    佐夜子
雪覆ふ日本列島今朝の春      佐夜子

春の予感する西風に向かい行く   けいじ
柊さす破れ戸の穴や遠き故郷    けいじ
年の豆片手をこぼれ街にいる    けいじ

遠山の闇ひたり来る春隣り     隆博
寒戻る白一面に鳥が飛ぶ      隆博
夜半よりしっとり重ねる雪ふわり  隆博

菜の花や入江の奥の真珠棚     研一
菜の花や指呼に金印志賀の磯    研一
息白しオランダ坂の人力車     研一
沈黙の海あおあおと寒椿      研一
探梅や普賢岳の裾の火山灰ぼこり  研一
梅が香の春風楼や瀬戸の海     研一
石塀は砦のひとつ梅屋敷      研一
水仙の千万本の中に居る      研一
オペ室の灯の煌々と寒すばる    研一

冷えびえと硬き机の傷無数     泰子
風に鳴る木戸へ霰の音混じり    泰子

新雪や肩に頭にとけてゆく     茂由子
グランドのまっさらの雪まぶしいな 茂由子
雪明りタイヤチェーンの音がする  茂由子
窓の雪読みたい本がここにある   茂由子

福豆を買って川越え帰る人     弘子
春はくるはず風の昏さにも     弘子
ただれた雲おそらく雪が降るだろう 弘子
おそろしさ春が明日の催い     弘子
なんと地のここ節分の雪が降り   弘子
雪舐めて犬は明るく歩き出し    弘子
チンチンと鳴く鳥鳴いて冬終わる  弘子
塩鰯福豆行き来する厨       弘子

節分や福だけに買ふ一升枡     佐夜子
予報外れ雪は降らずや今朝の空   佐夜子

目覚めさす氷霰打つ寒の内     和章
朝明けを屋根に激しく氷霰     和章

薄曇り朝の寒さをそのままに    隆博
月を残し雪降る気配今朝の空    隆博
投票日冬の陽そそぐ投票箱     隆博

郷愁の石炭匂う冬日和       牛庵
風邪ひきの喉にカプセル通らざる  牛庵
出張を控えし夜の雪便り      牛庵

きりきりと風の日寒明け近し    弘子
枝打ちの跡のしづけさ梅並び    弘子
南側春待つ光受ける人       弘子
花も実も食べる春の近き鳥ら    弘子
くしゃくしゃの面(おもて)に山の春隣 弘子
調べ流れて道も春隣        弘子
春の来る声の鴉が又黒い      弘子

あたたかき一草庵や冬の梅     和章
露天商切り枝に一輪梅の花     和章
愛犬と深呼吸する菜の花道     佐和子
春の空味噌汁の匂い幸せの匂い   理栄子

単線のカーブの先の春確か     泰子
三方に山うずくまる梅早し     泰子
時刻む音のくぐもり冬の雨     泰子

<石垣の真上に棲んで冬の星    正子>
<笹団子食べいて雪の匂いがする  正子>
<上野にて寒のみどりの笹団子   正子>

梅が香に背伸びしているランドセル けいじ
竜の玉こぼれる坂を二人して    けいじ
一隅に春の香流る名古屋駅     けいじ

冬少し行って変わりし鳥の声    牛庵
笹啼きの川向こうまで来ておりぬ  牛庵
風邪ひきの夢朦朧と限りなし    牛庵
堰越えの底まで澄みし寒の水    牛庵
寒鯉のゆるりと岸を離れたる    牛庵

落ち着きのなき日差し春は近いはず 弘子
やや濡れる雨降る冬の終わる頃   弘子
雪柳揺れていた日の入日見る    弘子
てのひらに名刺をもらう春待つ日  弘子
どこからか楽しい二月来し朝    弘子
二月一日向こうの友に会いに行く  弘子
命日の樒に花が咲きそうに     弘子
竹薮の騒ぎに抱かれ寒梅紅     弘子

冬草の厚みたっぷり陽を吸いし   泰子
土温し庭仕事よくはかどりぬ    泰子
冬草のよく延びどれも南へ     泰子
夕暮れてたちまち暗き枯野道    泰子
月のぼる東の山の端のおぼろ    泰子

車検上がり十年目の春が来る    隆博
こじんまりてっぺん丸く山眠る   隆博
ちらちらと雪花小さく土の上    隆博


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