子守りバトル

 

 

・・・・・・これはずっと前の話・・・・・・

まだバブが生まれる前の話である

 

 

 

 

 

「ランパス、カーバ。悪いけどちょっと小さいのを見ててくれないか?」

いつものゴミ捨て場に普段はあまり来ないマンカスが顔を出した。ボーっとしていたせいもあるが、普段現れない人にいきなり声をかけられるというのはやはり少なからず驚くものだ。

「なんだよいきなり。」

寝転がっていたランパスが体を起こす。

「急用ができて教会を空けなきゃいけなくなったんだ。今、みんな昼寝中だから静かに入る事。おばさんにも頼んでいるけど何せ忙しい人だから。夕方には戻る予定。」

用件だけさっさと話すとマンカスはくるりと背を向けて行こうとした。

「待て。何で俺達なんだよ。スキンブルにでも頼めばいいだろ。」

カーバがぶっきらぼうに言った。正直言って面倒くさい。

「スキンブルは今留守なんだよ。今回は2泊3日だと言っていた。」

「ミストは?」

「その急用を作った張本人だ。マジックを失敗してマキャをどこかに飛ばしてしまったんだ。だから一緒に探しに行くんだよ。こっちの方を行ってもらってもいいんだけど。」

「いや。それは絶対嫌だ。」

カーバが勢いよく断った。というのも、マキャが小さいときに同じように行方不明になって探しに行き、ひどい目に遭ったからだ。思い出したくもない・・・・・。

「だろ?」

マンカスが溜息混じりに言った。この短い言葉の中には「その大変な方を俺がやるんだから四の五の言わず子守りしろ」という、長い言葉を差している。

しばらくそんなやり取りを見ていたランパスが座りなおして言った。

「ボンバルとかディミがいるんだろ?俺達に任せるよりそっちの方が安全じゃないのか?」

「よりによって2人揃って二日酔い。他に面倒見ることができそうなのって言ったらお前らしかいないんだよ。」

「そういや、タガーは?」

カーバが思い出し言った。がマンカスと目が合っただけで聞くだけ無駄だなと思った。

目は口ほどにものを言う。

「あいつに頼んだら取り返しの付かないことになりかねない。」

差当たりそんなところだろう。仕方がない。行くか。

ランパスとカーバは仕方なく教会へ行く事にした。

 

 

 

 

「わぁぁ〜〜〜ん!あんかちゅ〜!あんかちゅ〜」

教会にものすごい泣き声が響いた。

「ジェム?!なんで泣いてるんだよ。起きちまったのか?」

カーバはジェムを抱き上げた。今までおとなしく眠っていたジェムがけたたましい泣き声と共に起きてしまったのだ。

「ぽんぽん、空いたのでちゅか〜?」

ランパスがジェムの目の前におやつをちらつかせた。しかしそのおやつに目もくれずジェムはひたすら泣き叫ぶだけだった。

「あ゛〜!あんかちゅ〜!!」

「どうやら腹減ったんじゃないみたいだな。くっそ〜。よりによっておばさんがいない時に起きんなよな。」

ランパスは溜息をつき、おやつを持った手を下ろした。

「いったい何がしたいんだよ。」

カーバも抱いたままオロオロするばかり。2人とも小さな子供の世話はほとんどしたことがない。そのためなんで泣いているのかがわからないのだ。

苛立ってきたランパスをよそに、カーバは何とかしてあやそうとした。

クイクイ

誰かがカーバの尻尾を引っ張った。

「ん?」

カーバが振り返るとついさっきまで寝ていたヴィクが座ったまま両手を差し出している。

「どうした。お前も抱っこされたいのか?」

カーバの問いにヴィクは首を振った。そしてジェムを指さした。カーバはヴィクに問い直した。

「ジェムを貸せって言うことか?」

ゆっくりとヴィクは頷いた。

「貸せって言ってもな・・・これはままごとじゃないんでちゅよ。」

ランパスはヴィクに目の高さを合わせていった。しかしそんなランパスに視線を合わさず、ずっとカーバを見つめて自分の横に置くように指示した。

「わかったよ。置けばいいんだな。」

カーバは泣き続けるジェムをヴィクの横に寝かせた。するとヴィクは自分も横になりトントンとゆっくりと、そして優しく叩いた。みるみるうちにジェムの恐竜のような鳴き声は静かな寝息へと変わっていった。

「いったい何が原因だったんだよ。」

ランパスはひとり言のようにそう言うと、やれやれと腰を下ろすと持っていたおやつを口に運んだ。

「怖い夢を見ただけ。そういうときは呼吸するテンポを合わせて、添い寝するの。そうすると安心する。・・・・だから騒いでもダメ。」

「なんでヴィクがそんなこと知ってんだよ。」

カーバはおやつの入った袋を手にとった。

「・・・・・おばさんが言ってたの。・・・・・・それじゃぁ、おやすみなさい。」

そこまで言うとヴィクは目を閉じ、しばらくするとゆっくりとした寝息を立てた。

「なんか、ヴィクも理解しにくい性格だよな。歳相応に見えねぇし。末恐ろしい。」

「俺らよりも子守りむいてるかもな。あっ、ランパス。それぐらいにしとかねぇとジェムの分がなくなるぞ。」

「へいへい。」

ランパスは食べるのをやめると立ち上がって大きく背伸びした。

「しっかしムカツクよな。人がこんなに苦労してるのにさ。」

ランパスはグルッと見回すと何かを見つけたのか再びしゃがみこんだ。そしてそっとギルの鼻をつまんだ。どうやら遊び心に火がついたみたいだ。

1秒・・・2秒・・・3秒・・・ギルの口は開かない。

10秒・・・20秒・・・30秒・・・・目さえ開けない。

「こいつ・・・死んでんのか?」

人の鼻をつまんでおきながら心配になってきた。

「そんなことないだろ。ちゃんと脈もあるし。でもそろそろ離さないとやばくないか?」

とか言いつつカーバも助けようとしない。すると隣で寝ていたコリコがむくっと起きた。

「わっ!こっちが起きた!」

ランパスはビックリしてギルの鼻から手を離した。

「すぴー」

「なんか変な音してるし。」

ギルの不思議な寝息にカーバは苦笑した。しかしランパスはコリコの方が気になるらしい。

「コリコ。もう、おっきするのか?」

「・・・・・。」

返事のないコリコの頭をランパスは叩いてみた。

「ぐぅ・・・・。」

「・・・・・・。こいつ寝てるよ・・・・・。」

カーバはコリコの顔の前で手をヒラヒラとさせてみた。

「何のために起きたんだよ。寝るんだったらちゃんと横になって寝ろよ。」

「ん・・・・・」

ランパスのその声が聞こえたのかコリコは一言そう発するとゆっくりと倒れていった。

「何だったんだ?」

ランパスは首をかしげた。

「おばさんまだ来ないのかな・・・。」

カーバはくったりした様子で言った。すると次はギルが目を覚ました。そしてカーバをその視界に捕らえると

「カーバ、出かけてくる。」

そう言って、さっさと扉まで歩いて行ってしまった。

「どこ行くんだ!」

カーバがギルを捕まえた。

「武術のお稽古。」

そう短く答えると出て行ってしまった。

「あれって・・・・完全に目が覚めてんのか?」

「みたいだったけど・・・・寝覚めがよすぎるよな、あいつ。」

カーバは元のところに戻ってきた。

「なんか俺らも眠くなってきたよな。」

ランパスは大きなあくびをした。それにつられてカーバもあくび。

「ふわぁぁぁ〜。」

それにつられるコリコ。

「なんだ。今度は本当に起きたのか?」

いきなり立ち上がってフラフラ歩いていくコリコにカーバは声をかけた。

「ちょっと散歩・・・・・。」

コリコが壁まで歩いていくとそれに沿って歩き出した。

「おいおい。寝ぼけてんのか?」

コリコを回収しにランパスは立ち上がった。

ポテン

コリコは歩いてる途中で力尽きた。

「ZZZ・・・・・」

「夢遊病者かこいつは。」

ランパスはコリコを抱き上げて布団の中に戻した。

「なぁ。」

「なんだよ。」

カーバはコリコが置かれた事を確認して言った。

「子供って寝ていても目を離せないもんなんだな。」

「そうだな。」

「マンカスって毎日これ何だよな。」

「だろうな。」

「いつ寝てんだよ。」

その言葉にランパスは固まった。そして出てきた言葉。

「だからあんだけ白くなったんだよ。」

 

 

 

「ただいま・・・・・。」

マンカスはクタクタになりながら戻ってきた。なんとかかんとかマキャを発見できた。日はとっぷり暮れていたがまぁ、早い方だろう。

「ば〜ん!」

「うわぁ〜やられた〜」

「らんぱちゅ〜おきて!おきて!」

「ジェム、次は俺の番だよ!」

「ほらほらけんかしちゃいけないでちゅよ〜。」

「ば〜ん」

「らんぱちゅ、ちゃんとしんで!しんで!」

マンカスは目の前の光景に一瞬固まった。あの、ランパスがコリコとジェムと仲良く遊んでいる。

「おいカーバ。」

振り返ったがカーバがいない。

「ランパス。カーバは?」

「ああ。マンカス、やっと帰ってきたか。」

「わ〜い。あんかちゅ〜!」

ジェムはマンカスに飛びついた。

「カーバならヴィクとギルと一緒に裏に行ってるぜ。武術の練習付き合ってんじゃないのか?」

そう言うとランパスは寝転がった。

「マンカス。後は頼む。」

そう言うとランパスは一瞬のうちに眠りについた。

「あっ、マンカス。帰ってきたんだ。」

振り向くとそこにはギルとヴィク。

「カーバはどこだ?」

「・・・・寝てしまったわ。」

「稽古を見てもらってたらそのまま寝ちゃったんだ。でも、僕たちだけじゃ動かせないから。」

「・・・・・また仕事がひとつ増えたんだな。」

マンカスはそう言うと、カーバの撤収に入った。

 

それから暫らくは周りのみんながマンカスの手伝いを頻繁にやるようになった。

その理由としてこの体験をランバケコンビが話したと言われるが・・・・それは真か否か定かではない。

 

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黒薔薇さんから頂きました〜♪ 

ランバケコンビの子守り話!

なんかこう、兄貴の偉大さがそこはかとなく仄見えるのがよいですね☆

いっつもあんな激務を背負って…ああ、LOVEv ←阿呆 

ジェムはじめちびさんたちも可愛くて微笑ましいです〜。

どうもありがとうございました!!

 

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