木枯し紋次郎
1972年 全18話
監督 市川崑ほか
出演 中村敦夫ほか
手には長脇差(ナガドス)。口には長楊枝。「あっしには関わりのねえことでござんす…」という名ゼリフと共に、あの男が時代劇専門チャンネルに登場する!72年のテレビ初登場以来、ファッションからライフスタイルまで、若者を中心に一大ブームを巻き起こしたヒーロー 時代劇の傑作「木枯し紋次郎」。笹沢左保原作の面白さに加え、市川崑の斬新でスタイリッシュな演出と、ニヒルでクールなヒーローの活躍に日本中が熱狂。主演・中村敦夫の人気を決定づけ、紋次郎の名は 不滅となった。(「時代劇チャンネル」解説より)
第1話「川留めの水は濁った」
お勝(小川真由美)が可愛い。嫉妬を集めそうな役柄なのに、なんともコミカルで粋です。紋次郎を騙そうと殊勝なフリをしたり、文句を言いながら弟を可愛がっていたり…。ニヒルなはずの紋次郎が何故かお勝には絡みます。嬉しくなっちゃいます。旅籠にふたりっきりになった紋次郎とお勝のやり取りがとても良い。戸惑いと焦りを見せる紋ちゃんの可愛いこと!それにしても、絡むチンピラが火野正平さまとは…(笑)。「あっしは、面倒なことに関わりを持ちたくねえんでさあ」。お勝にはめちゃめちゃ関わるくせに、紋次郎(笑)。
第2話「地蔵峠の雨に消える」
紋次郎、喋りすぎ!「あっしはこうして、明けても暮れても、あちこちを旅して歩いておりやすが、おかみさんほどの器量の女には会ったことがねえんです」とは、紋次郎が十太(高橋長英)の奥様お千代(宇都宮雅代)に言う台詞。ひっくり返りそうになりました(笑)。地蔵峠での雨の立ち回りは、まさに芸術。こんな時代劇、見たことがありません。中村敦夫も初々しくて魅力たっぷり。「あっしも、骨の髄から渡世人だからでしょう」。こんなにも悲しいんだ、紋次郎…。
第3話「峠に哭いた甲州路」
片腕の源太(原田芳雄)が若いし、野性的だし、カッコいいしと三拍子揃った素晴らしさを見せてくれます。敵役が大物だと、それだけでドラマのレベルが1つ上がりますね。片足のお妙は時代劇には珍しいタイプ。着物の裾から覗く片足が不思議な感じ。彼女から花を受け取る紋ちゃんには大笑いしましたね。「花、もらってるよ〜(笑)」。「あっしには、たった一人、会いてえ人がいる。会えっこねえんだ。死んだってことですからね…。だけど、あっしの胸からは、どっかへ行きゃあ、ひょっとしたら会えるかもしれねえって、そんな気持ちが消えねえ…」。そんなにお姉さんが恋しいの、紋次郎?
第4話「女人講の闇を裂く」
「あっしには関わりのねえ…」の紋ちゃんが、何故お筆親子につきあっちゃうのか不思議でした。「女の足につきあわせて…」と恐縮するお筆(藤村志保)には好感が持てましたけど。探偵よろしく解説する紋ちゃんには抵抗を覚えましたけど、カッコ良さは変わりませんね。畳に座っているときの無防備そうな紋ちゃんが本当に大好きです。「二度とお目にかかることもねえでしょうが、  どうか達者で暮らしておくんなさい」。「行かないで」って言いたいよ、紋次郎。
第5話「童歌を雨に流せ」
間引き。子供が絡むと何故かやる気を出す紋ちゃん。似合わないよ(笑)。
第6話「大江戸の夜を走れ」
「“十六夜(いざよい)の為吉”。どんでん返しが凄すぎる。赤い扱き(しごき)帯をびよ〜んと出す紋ちゃんの間抜けな姿にはウケた(笑)。
第7話「六地蔵の影を斬る」
小判鮫の金蔵(佐藤充)が悲しいの。思わず泣きそうになった。今回のどんでん返しも凄い。凄いぞ、笹沢左保!そして、紋ちゃんの早抜きにも鳥肌が立った。
第8話「一里塚に風を断つ」
加代の手ぬぐいの匂いをかぎ「あめえ匂いだ…」と呟く紋ちゃんに思わず「おお!」と興奮。長脇差が折れるという絶体絶命のハプニング。「神戸の里まであと9里。 どうやら冥土への一里塚になりそうだぜ…」 カッコ良すぎるぜ、紋ちゃん!立ち回りも凄い。カッコ良くないけど、地味だけど、本気がある。凄いよ〜。
第9話「湯煙に月は砕けた」
温泉につかる紋ちゃんも可愛い(笑)。暴れ馬を押さえるために足に怪我をする紋ちゃん。これがまた痛い!自分の惚れた男に犯される。それは良いとして、それを見る紋ちゃんの無表情さがいい。そのくせに紋ちゃんがお風呂につかっているときに、入ってくるお市に一瞬だけギョッとする紋ちゃんも可愛いよ〜。
第10話「土煙に絵馬が舞う」
「鍬しか持ったことのない百姓しか叩っ斬れねえのかい」いいよ、紋ちゃん!またまた怪我。おまけに縛られて柱に括りつけられて…。痛い目ばかりに合うのに、それでも旅を続ける紋ちゃん。
第11話「龍胆は夕映えに降った」
いきなり木枯し紋次郎の偽者が出現。割と強そうな雰囲気だったのに、あっさりと瀬川の仙太郎(川地民夫)に殺されてしまいます。労咳を病んだ八蔵(内田勝正)が自分の命を仙太郎に売ったのです。誰も彼も可哀相。お美代ちゃんと一緒になるために男を上げようと必死になる仙太郎も、妹のために死んでいく八蔵も。紋ちゃんの出番が少なくて寂しい思いをしましたが、仙太郎の今わの際の頼み(28両を八蔵の妹に届ける)を快く引き受けるところに男気を見ましたね。立ち回りには合羽が大活躍。「喜連川の八蔵は、ひところはちょっとは名の知れた渡世人だった…。死ぬときぐらい、てめえの名前で死にやがれ」。やっぱりイイです、紋次郎!
第12話「木枯しの音に消えた」
左の頬の刀傷。紋次郎の過去がちょっとだけ明らかになりました。重傷を負った紋次郎を助けたのが、花田源左衛門という浪人と6歳になる娘お志乃。当時紋次郎は18歳とのこと。若者じゃないですか(笑)。「お志乃は死んだよ」と語っていたお豊(十朱幸代)が、楊枝をくわえたお志乃ちゃんだったなんて!お豊が楊枝を笛のように鳴らしたときには、「さすが、笹沢左保!」と唸りました。恋だったのか、違ったのか、微妙なところが良かったです。「おめえさんのことは、思い出しもしねえが、忘れもしやせん」。カッコ良すぎです、紋次郎!
第13話「見かえり峠の落日」
輪姦されそうになっている女性を助けようともしない紋次郎。相変わらず、やってくれます。助けられないほど弱いのなら話もわかりますが、無茶苦茶強いくせに(笑)。被害者お八重と奉公人忠七の恋もひたすら悲しいのですが、お八重の姉お初(市原悦子)も悲しい。気が強くて凛々しくて、自分のほうが不幸なのに、妹を庇って…。「抱いていいんだよ」密室のシチュエーション、おまけに紋次郎が何を考えているのか全然わからないので面白い。「仏に頼まれりゃ、嫌とはいえねえ」。だから、仏になる前に助けてよ、紋次郎!(笑)
第14話「水神祭に死を呼んだ」
またまた今わの際の頼まれごとを律儀に行なう紋次郎。途中で洲崎の佐吉(寺田農)に出会い、宮田徳太郎(南原宏治)が助っ人を募っていることを聞くが、もちろん無視します。そして、相変わらず冷たく薬問屋のボディガード役を断った紋次郎だったのに、その娘がかどわかされたと聞くと娘を探し始めます。珍しいことに、妙に優しい(笑)。人斬り伝蔵の正体もどうでも良かったのですが、その死に様は心に痛いものがありました。走る、転ぶ、水を跳ね上げるの見事な立ち回り。紋次郎の真価はここにあり。「アテのない旅でござんすが、 先は急ぐものと決めておりますんで…ごめんなすって」。アテがないなら、ゆっくりしていってほしいな、紋次郎。
第15話「背を陽に向けた房州路」
木更津。居酒屋でならず者に絡まれている男と孫娘を助ける紋次郎。孫娘を見た瞬間に紋次郎が「みゆきさん…」と呟いた瞬間、「おおっ」と思いました。久しぶりの女性絡みのお話かと思いきや、全然違いましたけど(笑)。それでも、紋次郎が義理とはいえ、ふたりの助っ人として村に向かいます。いつも立ち姿と歩いている姿ばかりなので、畳の上でくつろぐ紋次郎はやたらセクシーですね。ずっとそばにいたくなります。「よさねえかい…今日はムシの居所が悪いんだ…命取りになるぜ!」 なんだか悲しい、紋次郎…。
第16話「月夜に吼えた遠州路」
す、凄い。凄すぎる立ち回り!それも『だれかが風の中で』が挿入されるのです。あまりのカッコ良さに鳥肌、思わず泣きそうになりました。ヤクザ一家を全滅させるなんて。紋次郎、凄すぎですって!浪人に絡まれた冒頭から最後の最後までカッコいい。水車小屋で眠る紋次郎が可愛い。かっ込むようにご飯を食べる紋次郎が可愛い。何もいらないからそばにいたい。そんな気分にさせられます。「帯を借りやすぜ」女の帯で応戦するのは、どんなもんでしょう、紋次郎?(笑)
第17話「無縁仏に明日をみた」
お父さんが大好きな一太郎。一生懸命で可愛い。紋次郎に食って掛かる様子も可愛い。だけど、その子に刺されるなんて…。ひとくせあるお母さん(野川由美子)が一太郎を守るために命を落とすところも、何だかんだ言っても母親。心を打つものがあります。「長く生きてえとは思ったこともねえ…死ぬときがきたら死ぬまでだ」。死んじゃいやだよ、紋次郎!
第18話「流れ舟は帰らず」
市川崑監督の紋次郎は、結構台詞が多いです。父親を殺され江戸に帰ろうとしている方向音痴のお藤に対し、かなり喋ります。いつもの紋次郎なら「あっしには関わりのねえこって…」で誤魔化してしまうのに、何故かお藤の面倒を見てるし…。ちょっと妬けますね(笑)。紋次郎ったら、なんて優しい目をするのでしょう。個人的にはお光のほうが好きでしたね。燃える橋をバックの立ち回りもイカします。孤独を癒してさすらう旅か、愛を求めてさまよう旅か(予告編の名台詞)。本当に大好き、紋次郎。

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