続木枯し紋次郎
1972年 全20話
監督 鍛治昇ほか
出演 中村敦夫ほか
破れた三度笠に、汚れた縞の合羽。くわえ楊枝が風に鳴り、木枯しのような音を立てることから、誰ともなくその男を“木枯し紋次郎”と呼ぶ。1972年市川崑劇場に登場するや一大ブームを巻き起こした『木枯し紋次郎』の続編。「あっしには関わりのねえことでござんす…」といいながらひたすら急ぎ旅を続けるが、一度かかわった人間への仁義を通す。訪れる先々で、長脇差が、時には口にくわえた長楊枝が、悪の息の根をとめる・・・。主演の中村敦夫が自らメガホンを握ったエピソード(第8話)。毎回の豪華ゲスト。そして前回同様、リアルな時代考証やストップモーションを多様した映像の面白さなど見どころ満載。 (「時代劇チャンネル」解説より)
第1話「馬子唄に命を託した」
木枯し紋次郎が正義の味方になってます(笑)。渡世人に襲われたお政(新藤恵美)を助けに行ってしまうし…。その後、お政の義理の母と義理の兄を助けるために現れるときも思いましたが、気配もなく敵に近づき、ヒュ〜と楊枝を鳴らす紋ちゃんのカッコ良さったら。正座する紋ちゃんの膝に長脇差を突き刺すシーンは痛い!なんてことをするの、おばあちゃん!?歩けない紋ちゃんを馬に乗せ歩くお政が眩しかったですね。「おめえさんを男と見る者の目は、節穴でござんしょう」。さり気なくて、カッコ良くて、優しくて、たまらないよ、紋ちゃん。
第2話「暁の追分に立つ」
お梶姐さん(渡辺美佐子)がカッコ良かったですね。ナヨナヨしたタイプじゃなくて、暗い影を背負った威勢の良さ。紋ちゃんとのやり取りもいい。お梶姐さんを応援していたので、田舎くさいお清がどうしても気に入りませんでした。女の戦いは見所がありましたけど(笑)。立ち回りで何故かお気楽な「だれかが風の中で」。全体的には、駄作の空気が漂ってましたね。「世間でザラにありそうなことはよそうじゃありやせんか」。きゃあ、たまりませんよ、紋ちゃん。
第3話「水車は夕映えに軋んだ」
お縫(大原麗子)の憎々しさ!最初から怪しかったんですよ、言動が。「女は惚れた男のためなら、どんなひどい事だってできるんだ…」。確かに出来るけど、わたしならその前に死ぬでしょうね、たぶん。冒頭に悠木千帆こと樹木希林が出てましたが、これがまた上手い!このたびの紋ちゃんは怪我だらけ。足も背中も痛い、痛い。一緒に顔をしかめてました。でも、怪我をおして、お鶴夫婦を助けようとした紋ちゃんの立ち回りは、かなりカッコ良かったです。合羽を翻す音がたまりません。「昨日という日のねえあっしには、忘れられねえことなんかござんせん」。少しは覚えていてよ、紋ちゃん。
第4話「地獄を嗤う日光路」
第5話「夜泣石は霧に濡れた」
飢えてどうしようもないときに、泣くに泣かれず、こんにゃくづくし(笑)。特に貸元勘八の家でのごはんには「そりゃないよ〜」と笑いました。4年前に女を手込めにしたと言い切られる場面には、紋次郎よりもビックリしました(笑)。紋次郎にピッタリとくっついてくる男の子が可愛くて。自分のご飯まで紋次郎にあげようとする健気な姿には涙しそうになりました。紋ちゃんもお礼くらい言わなきゃ!「その弁蔵の弟が間引かれるのをあっしは覗き見しちまったんですよ…弁蔵と一緒に…六つのときに」。トラウマですね、紋ちゃん。
第6話「女郎蜘蛛が泥に這う」
北林谷栄婆さんが凄すぎる!人間とは思えない“鬼婆”です。あれじゃあ、息子千代松(寺田農)も可哀相。千代松が悪さばかりするのは、鬼婆に強制されていたからで、だんだん千代松が可哀相になりました。その千代松とお勝の関係も純粋でしたし。このたびの紋ちゃんはすべて峰打ち。珍しい優しさを見せてます。「!…いけねえや。会いたくねえのに遇っちまった」。ほんと、後味悪すぎですよね、紋ちゃん。
第7話「海鳴りに運命を聞いた」
『木枯し紋次郎』に海辺が登場するとは想像してませんでした。旅なのだから、海岸線にも行きますよね。それも女を背負って歩いているし。ただそれが死体だとわかったときに納得しましたけど。紋ちゃんはやたらに仏に優しいですもの。紋次郎の眠る小屋に若いカップルがやってきます。紋次郎じゃないけど「早く出てけ〜」と思いました(笑)。このたびの紋次郎はふんだりけったり。だいたい死体の近くに楊枝を突き刺せば、「疑ってくれ」と言っているようなものじゃないですか!普段にも増して関わりすぎ(笑)。頭に手ぬぐいを載せている銀蔵のキャラもどこか変で面白かったです。「明日(あす)という日のことは…考えたこともござんせんよ」。虚しくもクールな紋ちゃんです。
第8話「獣道に涙を棄てた」
中村敦夫初監督作。敦夫のせいとは言い切れませんが、お世辞にも傑作には程遠い1編でしたね。噂のラグビーファイトは見ごたえがありましたが、如何せん上條恒彦の歌声がバックでは…。今までの『木枯し紋次郎』とは何かが違う…。鰐淵晴子はまさにお人形のようで、その妹お菊の肌は逆に艶めかしく対照的でした。赤い布を首に巻きつけて登場する紋ちゃんには笑いました。微妙にカッコ良くない…(笑)。
第9話「錦絵は十五夜に泣いた」
お紺(小山明子)とお糸(光川環世)というふたりの美女を連れ歩く紋ちゃんの姿は妙に浮いてましたね。「あっしには関わりのねえこって…」の紋ちゃんが厭々お紺の重そうな荷物をかつぐシーンが可愛くてたまりませんでした。言葉にはしないけれど、紋ちゃんは本当に優しい。変態若旦那しか知らないお糸が紋次郎に惚れることは必然。お糸が紋次郎に惚れているということをお紺の口から聞いた紋ちゃんが「からかわないでおくんなさい」と困惑するのが可愛い。ラストは珍しく本気で怒った紋ちゃんが印象的でした。
第10話「飛んで火に入る相州路」
甘ったるい声がすべてをコメディにしてしまうので、吉田日出子は好きじゃないんですよねえ。クレジットを見た瞬間がっかりしましたね。しかし、物語はかなり面白い。このたびは、姉お光の思い出がちらついてました。強盗の人質を単身助けに行くという設定は、紋次郎に似合わない。まあ原作が別物なので仕方がありませんけど。似合わないけれど、カッコいいのはそのまま。紋次郎に関わる者はすべて不幸になる。疫病神みたいな人なんですけど、ずっとついていきたいと思わせられます。
第11話「駆入寺に道は果てた」
紋ちゃん、冷たい!同じ名前の紋次郎さんが命の危機にさらされていても知らんぷり。助けなくても事件に巻き込まれるのなら、助けてから巻き込まれてもいいじゃないですか(笑)。賭場で遊ばせてもらい涼む紋ちゃんも素敵。お染とお松が紋ちゃんの好意を無視して、三度笠と合羽を盗んだときは「返してよ!」と思わず叫んでしました(笑)。女性陣は揃いも揃って美女。おまけに不幸な展開に。だから、紋ちゃんがもう少し関わってくれたら死ななくてもすむんですって(笑)。それにしても、傘から覗く紋ちゃんの目はたまりませんね。
第12話「九頭竜に折鶴は散った」
折鶴を手にする紋ちゃんという構図はなかなか良いものですね。それから、女郎と共に歩く紋ちゃんという構図もなかなか。頼まれたとはいえ三十両を持ち女郎の受け出しに行く紋ちゃんの姿も珍しく。今回はスパイ紋ちゃん。赤座美代子に奪われた三十両と長脇差を取り返すために忍び込む姿はスパイ大作戦でした。そもそも、お秀(赤座美代子)とお春姉妹が幼い頃に助けていれば、こんな事件に巻き込まれることもなかったんですよ、紋ちゃん。紋ちゃん、冷たいよ(笑)。
第13話「怨念坂を螢が超えた」
毎度のことながら、高橋長英は本当に芸達者ですよね。一瞬誰だかわからないんですけど、やっぱり高橋長英。3歳の頃に別れた姉を思い、健気に奮闘する姿が哀しく『木枯し紋次郎』の場合、良いひとは必ず不幸になるので、見てる途中から可哀相になりました。太地喜和子は妙に色気がありますよね。はまると凄いのですが、ときどき鬱陶しくなります。今回はそれ。「何かを探している。誰かを待っている。そんな人の目はあっしにはよくわかるんでござんす」。それも寂しいよね、紋ちゃん。
第14話「明鴉に死地を射た」
同じ場所をグルグル回っている紋ちゃんがお気の毒。こんな村とはさっさとおさらばしたいのに…。知り合った老婆がせっせと持ってきた煮物のゆげが美味しそうでした。紋ちゃんはお熊ばあさんに義理立てをして浪人たちを斬らなかったのですね。「とっとと斬れ!」とイライラさせられました。浪人相手にグルグル回る紋ちゃんが間抜けに見えました(笑)。「あっしのドスは女の血を吸ったことがないんですよ」。ここのところにシビれます。
第15話「木っ端が燃えた上州路」
小さな達磨さんがすべてのきっかけ。しかし、終わってみても、誰が悪者だったのか釈然としないのはわたしだけ?紋次郎よりも三下の伝八のほうが主役でしたね。とことん彼を追うカメラ。伝八も弱いくせに何故渡世人になろうとするのか理解できず。「仏が鬼の命を狙う。世の中逆さまじゃねえですかい」珍しくカッコつける紋ちゃんでした(笑)。
第16話「和田峠に地獄火を見た」
市原悦子さんが再登場。お歯黒をしっかり塗り、奥方様がピッタリ。それも辛い役どころでしたね。今回の紋ちゃんは珍しく自分から関わっちゃいます。手込めにされそうになった娘を助ける(!)時点で何かが違う(笑)。それも「娘さんには関わりありませんが…」と言い訳してるし。やくざが岡引きを兼ねる。“二足の草鞋”の由来がこんなところにあったとは…。「甘ったれるんじゃありませんよ」紋ちゃんに言われるとグッときますね。痛いことを物怖じしないで言葉にする男には心から惹かれます。
第17話「雪に花散る奥州路」
雪山の崖から転落したところを越堀の貸元・仁五郎の娘に助けられたら紋次郎は、その娘のお絹に逗留を勧められるが、傷も完治せぬまま仁五郎宅を後にする。その後、お絹と関係を持ったため、5年前に仁五郎に盃を返された三下の勘助が姿を現わした。お絹は歓迎するが仁五郎はこれを追い返す。その頃、山道を行く紋次郎に、紋次郎を殺して名を挙げようとする竹蔵一味の者が襲いかかる!

紋ちゃん(中村敦夫)の目が良い。あの目で見つめられると、女性なら誰でもクラクラすると思います。それから、どんなことにも関わらないようにする紋ちゃんの生き様もやっと理解できたような気がします。誰かを助ける代わりに、自分を危険にさらすことになるんですもの。雪の中の立ち回りは、敵側の方が寒そうで気の毒でした(笑)。勘助(大林丈史)とふたりで泊まった旅籠。宿場女郎をからかう勘助を無表情で見つめる紋ちゃんにもシビれました。壁に寄りかかりながら座る紋ちゃんが大好きです。「女を抱いてちゃ、ドスを抱けませんからねぇ」キャー、紋ちゃん!
第18話「雪燈籠に血が燃えた」
雪積もる宿場で、紋次郎は居酒屋から出てきた政吉を避けようとして、通りかかったお春を転倒させる。因縁をつける政吉。だが相手が木枯し紋次郎であることを知り逃げて行く。紋次郎は、お春を家まで送り届け、お春の母親が引き止めるのを辞して帰ろうとしていた。そこへお春の甥の秀太郎が紋次郎に手紙を届けに来た。手紙には「命を貰い受ける」と記されてあった…。

お春を演じる宇都宮雅代が本当に綺麗でした。自分をおぶって運んでくれた紋ちゃんに微妙に惹かれる表情が悩ましい。「行ってしまう人だからよ」。渡世人に関わらないほうが良い理由が哀しい。秀太郎がひとりで作ったという雪燈籠に泣きました。哀しすぎる運命にも泣きました。お春の気持ちがわかるぶん泣きました。「木枯し紋次郎は無益な殺生はしないって聞いたぜ!」「それが、今は無益な殺生がしたい気分でござんすよ」。自分を取り囲む男たちに凄んだ紋ちゃんがまたカッコいい!久しぶりにシビれました。「おめえは死ななくちゃならない人間だぜ」紋ちゃん、カッコいいよ〜。
第19話「冥土の花嫁を討て」
若侍の征之進が紋次郎に父の仇だと斬りつけてきた。それが誤解であったといったん刀を収めた征之進は、諦めきれずに紋次郎を尾行し始める。山間の細道に差し掛かったところで二人は抜刀した集団に襲われるがこれを返り討ちに。そこで発作を起こした征之進を介抱する紋次郎。そんな道中、二人は雪と寒さで震えるお咲たちと合流して山小屋へ避難するが、そこを雪崩が襲う!

個人的には大好きな密室劇。吹雪に震える6人というシチュエーション。話の仲間にはならず、ひとり裁縫をする紋ちゃんが愛しい。生き埋めになる恐怖におかしくなるのはわかりますが、あまりにも唐突。紋ちゃんなら信用できるのに…。紋ちゃんと温め合いたいと思うのは、わたしだけでしょうか(笑)。雪山を上る紋ちゃんの姿は凄すぎ(笑)。登りつめたところに、小平太(蟹江敬三)が登場。蟹江敬三が若くてカッコ良いです。紋ちゃんの殺陣はいつになくハードでした。
第20話「上州新田郡三日月村」
故郷の上州新田郡へ向かう紋次郎は、通りかかった木に雷が落ちて気絶したところを石切職人の与作の孫・お市に助けられる。与作の家で目覚めた紋次郎の元へ名主の徳左衛門が訪れる。盗人団が農業用の水を引くための千五百両を狙っており、紋次郎に助太刀を願い出る。しかし生まれ故郷を捨てた紋次郎は、幼少時の自分を知る彼等の頼みであるにも関わらずこれを拒む。

紋次郎が三日月村を訪れる。ただそれだけで、嬉しくて嬉しくてしょうがないのはファン心理でしょうか(笑)。この日が来るのを待っていたという感じ。幼い頃の自分を知る徳左衛門(大滝秀治)の登場など嬉しくなります。しかし、あくまでもつれない紋ちゃん。幼い頃の回想シーンが挿入されているので、姉のお光の存在がリアル。生きているお姉さんに出会わせてあげたかったと思うのもファン心理かもしれません。間引き地蔵を守ろうとする紋ちゃんが切ない。「今日が過ぎれば明日が来る。 そこに道があれば、歩くだけじゃいけねえんですかい」。これが紋ちゃんのすべて。最高にカッコ良すぎます。こんな完璧なドラマを製作してくれた市川監督、中村敦夫氏、スタッフすべてに大感謝。美術、殺陣、衣装、音楽…すべてが完璧でした。
※あらすじは、DVD解説から使用しました。

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